連載「政官財の罪と罰」
古賀茂明2020.7.7 07:00週刊朝日#古賀茂明#安倍政権
都知事選が終わった。永田町では、秋の臨時国会で衆議院解散、10月25日投票という話が流布している。その真偽に関わらず、議員たちはボーッとしているわけにはいかない。もちろん、各政党にとっても今や選挙準備が最優先課題となった。
安倍政権の支持率が大きく下落し、不支持率が過半を超える世論調査も出ている。素直に読めば、政権交代もあり得る。野党にとっては願ってもないことだが、日本維新の会以外の野党は必ずしも楽観できる状況にない。
先の通常国会では、立憲民主党と国民民主党などの統一会派による一貫性のある安倍政権追及が行われ、かなりの成果を出すことができたのは事実だ。
しかし、自民の支持率が下がった分、野党の支持率が上がったかと言えば、維新以外はそうなっていない。国会での統一会派という「共闘」は、一般庶民にはわかりにくいからだ。
選挙となれば、政権選択が有権者にとって最大の関心事だ。統一会派はもちろん、選挙期間限定の野党共闘でも、政権交代のイメージは浮かばず、投票率も上がらない。どうせ結果が変わらないと思えば、投票に行こうと思わないのはある意味仕方がない。
選挙となれば、政権選択が有権者にとって最大の関心事だ。統一会派はもちろん、選挙期間限定の野党共闘でも、政権交代のイメージは浮かばず、投票率も上がらない。どうせ結果が変わらないと思えば、投票に行こうと思わないのはある意味仕方がない。
逆に、野党側が「政権交代可能な勢力」を具体的に明示すれば、安倍政権への不満のマグマがたまっている現状では、野党側に一挙に票が流れる可能性は高い。
そのためには、野党が政党として一つに合流するのが一番効果的だ。
だが、都知事選では、野党共闘はできず分裂選挙となった。山本太郎氏率いるれいわ新選組とはもちろん、国民との共闘にも失敗したのは大きな痛手だ。
今、立憲と国民両陣営の関係者に話を聞くと、おもしろいことに、「野党の政党としての合流が必要だし、その覚悟はできている」と一致する。しかし、その先を聞くと、相手側の事情でなかなか難しいとなり、さらに自陣内でも考えが割れるという内輪話も始まる。
そのためには、野党が政党として一つに合流するのが一番効果的だ。
だが、都知事選では、野党共闘はできず分裂選挙となった。山本太郎氏率いるれいわ新選組とはもちろん、国民との共闘にも失敗したのは大きな痛手だ。
今、立憲と国民両陣営の関係者に話を聞くと、おもしろいことに、「野党の政党としての合流が必要だし、その覚悟はできている」と一致する。しかし、その先を聞くと、相手側の事情でなかなか難しいとなり、さらに自陣内でも考えが割れるという内輪話も始まる。
共産党との関係・憲法改正・脱原発などの基本政策論での対立もあるが、それよりも実は、両党を解党して対等合併の形を取るのかどうか、党名を立憲民主とするのか民主党にするのか新しい党名にするのかというような議論にこだわっているような印象を受ける。新党ができた後の主導権争いがその背景にある。
また、選挙区で当選できず、比例復活しかないという国民の議員は、立憲で選挙をすれば惜敗率が非常に低くても当選できるので、何でもいいから統合してほしいと考える。逆に比例復活の立憲の議員は、国民からの合流が増えると自分が比例復活できなくなるという理由で統合阻止に動く。
さらに、連合の支持がなければ当選できない議員も多く、連合の各産業別労組の利権との関係で政策論が混乱する傾向もある。
各議員の当落があらゆる課題と関連するため、統合問題は、そう簡単には解決できない。れいわまで話を広げればなおさらだ。
過半数を狙うのなら、それを相当超える数の候補が必要だが、10月選挙の日程を考えれば、今すぐ結論を出しても遅いくらいだ。もたつけば自民の準備が進み、維新も40議席を狙う態勢ができる。一方で有権者の野党への期待は、苛立ちへと変わり、やがては失望へと転化するだろう。
もはや時間がない。立憲の枝野幸男、国民の玉木雄一郎両代表は、泥をかぶって党内を説得し、一身を賭す覚悟で英断を下すべきだ。
※週刊朝日 2020年7月17日号
さらに、連合の支持がなければ当選できない議員も多く、連合の各産業別労組の利権との関係で政策論が混乱する傾向もある。
各議員の当落があらゆる課題と関連するため、統合問題は、そう簡単には解決できない。れいわまで話を広げればなおさらだ。
過半数を狙うのなら、それを相当超える数の候補が必要だが、10月選挙の日程を考えれば、今すぐ結論を出しても遅いくらいだ。もたつけば自民の準備が進み、維新も40議席を狙う態勢ができる。一方で有権者の野党への期待は、苛立ちへと変わり、やがては失望へと転化するだろう。
もはや時間がない。立憲の枝野幸男、国民の玉木雄一郎両代表は、泥をかぶって党内を説得し、一身を賭す覚悟で英断を下すべきだ。
※週刊朝日 2020年7月17日号