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山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信:インドから広がったB.1.617変異   2021.05.22

2021年05月23日 19時23分31秒 | 感染症

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

インドから広がったB.1.617変異

2021.05.22

インドで感染者が急増し、病院で患者があふれ、多くの火葬が行われている映像が連日のようにメディアで報道されています。このインドで広がっているのが、B.1.617と命名されている新しい変異型ウイルスです。5月11日、WHOはこの変異型ウイルスをVOC(Variant of Concern、注視すべき変異)に指定しました。
Weekly epidemiological update on COVID-19 - 11 May 2021 (who.int)
同変異型ウイルスには、3種類のサブグループ(B.1.617.1、B.1.617.2、B.1.617.3)があります。

  B.1.617.1 B.1.617.2 B.1.617.3
報告されている国 34 31 4
G142D変異
L452R変異
E484Q変異
P681R変異


インドでは当初、イギリスから広がったB1.1.7株(N501Y変異)と共にB.1.617.1株が主流でしたが、現在ではB.1.617.2株が増加しています。イギリスではB.1.1.7株に替わってB.1.617株の割合が増えつつありますが、やはりB.1.671.2株が中心です。インド型の変異株はL4522RとE484Qの2重変異と表現されることも多いですが、インドやイギリスで増加しているB.1.617.2株はE484Q変異は持っていませんので注意が必要です。
B1.617変異株の感染性や病原性については、査読後の論文はまだ公表されていませんが、査読前のデータや論文は複数あります。
英国公衆衛生庁は、B.1.617.2株の感染性は、B.1.1.7株(N501Y変異)と少なくとも同程度であると報告しています。イギリスではワクチン接種の広がりとともにB.1.1.7株の収束に成功していますが、B.1.617.2株は徐々に増加しています。
病原性については、ハムスターへの感染実験から、従来株よりも病原性が高いという報告があります。
ワクチンの効果に関しては、試験管内の実験では従来型ウイルスに対する効果よりも下がるが、実際の人ではそれでも十分な効果があると考えられるとする論文が複数、報告されています。
論文1論文2論文3論文4
これらの論文はいずれも他の研究者による評価(査読)を受けていませんので、さらなる検証が必要です。

インドで医療が崩壊していることもあり、B.1.617変異型ウイルスに対する警戒が高まっています。しかし、人口当たりの感染者数(図1)や死者数(図2)を見ると、今年初頭のアメリカや、N501Y型変異が蔓延したイギリスやイスラエルは、今のインドよりはるかに厳しい状況でした。
5月12日に公開された論文によると、ファイザー社製のワクチンは、L452R変異や、E484Qに近いE484K変異に対しても、試験管内ではありますが、十分な効果があることが示唆されています。
B1.617変異ウイルスの影響については、今後も冷静に注視する必要があります。


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