総裁選、菅官房長官の擁立論浮上
岸田、石破氏らも有力
安倍晋三首相の退陣表明を受けた自民党総裁選を巡り、複数の派閥内で29日、菅義偉官房長官の擁立論が浮上した。岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長も立候補に前向きな意向を示しており、3氏を軸に候補選びが進む公算が大きい。「ポスト安倍」を目指す各候補は党内情勢を見極めながら、週明けにも出馬の可否を判断する見通し。選挙構図は9月初めにおおむね固まる可能性がある。
総裁選は9月上旬告示、15日を軸に投開票する日程を調整している。1日の総務会で決定する。
菅氏は新型コロナウイルス対策など政権の継続性を保てると期待され、危機管理の手腕にも定評がある。自身は無派閥。
新政権、来月中旬に発足へ…自民総裁選「全国一斉の党員投票」行わず
安倍首相(党総裁)の辞任表明を受け、自民党は、9月19日からの4連休前に臨時国会を召集して新首相を選出し、新内閣を発足させる方向で日程調整を進めている。総裁選では、時間がかかる全国一斉の党員投票は行わず、両院議員総会で新総裁を決める考えだ。
二階氏は29日、大島衆院議長、森山裕・同党国会対策委員長と相次いで会食し、今後の日程について情報交換した。
両院議員総会での総裁選では、同党の国会議員394人(衆参両院の議長除く)と各都道府県連の代表者各3人(141人)による投票で決まる。国会議員票と同数の「党員票」で争う正式な総裁選に比べ、国会議員票の比重が高まる。
このため、国民的な人気は高いものの、自らの派閥の所属議員が19人にとどまるなど党内基盤が弱い石破茂・元幹事長にとっては、両院議員総会による総裁選の実施は不利に働くとの見方が強い。各都道府県連が独自の党員投票を行い、国会議員の投票動向に影響を与える可能性はある。
後任選び、スピード重視 党員投票見送りに異論―自民総裁選
2020年08月30日07時09分 jiji.com
党則は、総裁が任期中に欠け緊急を要するときは両院総会で後任を選べると定める。この場合、有権者は党所属国会議員と都道府県連代表各3人で、100万人を超える一般党員は対象外だ。
過去には2007年に安倍氏、08年に福田康夫首相(当時)がそれぞれ辞任した際にこの規定を適用。告示から10日程度で両院総会を行った。国会議員票と党員票を同数で扱う通常形式より議員票の比重が格段に重くなり、「派閥の論理」が色濃く反映される。
総裁選の形式を一任されている二階俊博幹事長は28日、「時間が十分あれば党員投票は考えるべきだが、そこに至るかどうか」と述べ、慎重姿勢を示した。下村博文選対委員長は29日、都道府県連が党員への調査をしているとして「党員の意向を含めた選挙はできる」と強調した。
二階氏周辺も「コロナがあるので大規模な総裁選はできない」と指摘する。執行部が簡易な形式を選ぶ背景には、出馬を目指す石破茂元幹事長が全国的に根強い人気を保っているため、石破氏が有利な状況になるのは極力避けたいとの思惑もあるようだ。
これに対し石破氏は、日本テレビ番組で「国会を今やっているわけではなく、首相は次が決まるまでやると言っている」と語り、党員投票は可能と主張した。
執行部への異論は石破氏だけでなく、若手からベテランまで広がっている。小泉進次郎環境相は28日、党員投票を提唱。小林史明青年局長もブログで「党員投票は郵便。コロナ禍でも密を避けながら意思表示は可能だ」と指摘した。青年局長経験者は連名で党員投票実施を求める署名活動を始めた。ベテラン議員は「次の衆院選で勝つには党員投票で有権者に人気のある人を選ぶべきだ」と訴える。