とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

裁判員制度 3

2008年07月26日 19時42分22秒 | 時事問題(日本)
[編集] 制度比較論
裁判員制度は、職業裁判官と一般人の裁判員の協同による制度といえるが、問題点は主に旧来の日本における職業裁判官のみが裁判に関与する制度と比較される。裁判制度には、他に、アメリカで行われている、事実認定に職業裁判官が関与しない陪審制があるが、陪審制との比較を元に裁判員制度を評価する見解は少ない。裁判員制度の問題点の指摘の背景は、多くの場合、現行制度の変更をする必要があるのか、という視点に基づく場合が多く、現行職業裁判官制度が良好に機能しているという意識がある。

裁判員制度導入前の日本の司法制度の問題は、主として、時間がかかりすぎるように思われていること、裁判制度が過度に専門化されているために一般人に理解されにくいことが中心で、判決形成過程に国民が関与できないことに批判があったとはいえない。裁判員制度のメリットの一つとして、審理時間の短縮が挙げられることは、その意識を物語っている。ただし、長期化する裁判は一部に限られていて、一般的に日本の裁判は他国と比べて長いとはいえない。

裁判員制度の問題点は、本来、職業裁判官にも当てはまる問題である。これまで裁判官は社会から隔絶された存在として、心証形成に関する人間的限界があることは、政治的影響が強いケースなどの特殊例を除き、あまり一般には論じられてこなかった点で、放置されてきたが、裁判員制度として問題がある場合は、職業裁判官に裁判を行わせれば問題がなくなるものでない。


[編集] 適用範囲
裁判員の適用は重大な刑事事件に限られている。

裁判員制度が米国の陪審員制度とは異なり「民事事件に適用されない」とされたのは、米国資本の日本進出にあたってアメリカの国益を守るために、米国企業が対象となる可能性の少ない殺人などの刑事事件に絞ったという指摘がある。アメリカ企業が外国企業と争う裁判で、アメリカの陪審員がアメリカ企業に有利な判決を下すケースが多く、日本企業の多くが特許裁判などのアメリカの裁判で米国民の陪審員に不利な判決を下され巨額の賠償金を取られてきたことから、裁判員制度において日本においてアメリカ企業が逆の目に遭うことを心配しているということである[12]。
世論調査で、国民の抵抗感が最も大きいものの一つは「自分の判断で被告人を裁くのは嫌だ」という理由である。そのような観点からは、国民参加は刑事裁判より民事裁判でのほうが抵抗感が薄いと考えられるところ、最も心理的負担の重い重大な刑事事件に限ることで困難が増しているともいえる。裁判員制度の適用範囲については、法律自体において「重大な刑事事件」に限定していることから、どのような種類の事件なら国民が参加の抵抗感が少ないかという点についての議論が、ほとんどなされていない。
特に、労働裁判においては職業裁判官は雇用主寄りの判決を出しやすい傾向にあるとして、米国などでは労働裁判についても陪審制が採用されている。日本においても、従前から労働裁判については選択陪審制の導入が労働弁護士らにより提案されてきたものの、経済界(雇用主側)の反発が強く実現には至っていない[13]。労働裁判は、最も民間感覚が生かせる場と考えられるのにもかかわらず、今回の裁判員制度の導入に際しても労働裁判への裁判員制度の導入は見送られている。

[編集] 裁判員制度の国民への周知・広報
裁判員制度導入に至って、それを国民へ周知させるための広報活動を行っている。

WEB(HP)での紹介・解説。
パンフレット等の設置や配布。
ビデオ作品等の制作・公開。
ゆるキャラの導入。

[編集] ゆるキャラ導入に関する問題点
裁判員制度の公式キャラクターが存在せず地方の個性を尊重した広報活動を推奨したため、各裁判所が個々に裁判員制度を広報するためのキャラクターを作成する事態となった。また、日弁連も独自のキャラクター「サイサイ」を導入したため、広報する側の連携がとれていないとの批判を浴びた[14]。


[編集] 裁判員制度を題材にした作品
いずれも裁判員制度オリジナルビデオである。

審理
裁判員〜選ばれ、そして見えてきたもの〜
評議
広報用ビデオ「裁判員制度—もしもあなたが選ばれたら—(ダイジェスト版)」
あなたも参加する刑事裁判〜裁判員制度が始まります〜

[編集] 関連項目

[編集] 法律・制度・施設など
陪審制
裁判所
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
日本国憲法第18条
検察審査会
辞退不可能な点と守秘義務を終生背負う点で類似している。

[編集] テレビ・映画・ゲームなど
相棒 season6
テレビ朝日が放送している社会派刑事ドラマ(テレビ番組)。第一話「複眼の法廷」にて裁判員制度が取り上げられている。あくまでドラマであるため留意が必要だが、裁判員制度を考える上で参考になる。
裁判員制度が試験導入されるのだが、それが原因で事件が発生。法務省が想定し得なかった、制度の施行を脅かすほどの不測の事態が続々と発生してしまうという内容。
NHKスペシャル『21世紀日本の課題・司法大改革 あなたは人を裁けますか』
NHKが2005年に裁判員制度を取り上げてテレビ放送したドラマとドキュメンタリーの作品。
行列のできる法律相談所
日本テレビが放送している法律を題材にしたバラエティ番組(テレビ番組)。2007年10月7日放送分にて、裁判員制度についてのミニドラマを作成し放送。出演者が現職の検事に裁判員制度に関して質問するQ&Aのコーナーを設けた。
裁判員~決めるのはあなた日本弁護士連合会が制作した裁判員を問うた作品
12人の優しい日本人
十二人の怒れる男
ほぼ全編が陪審員の議論で構成されたアメリカの映画。陪審員制度の問題点を描く。

[編集] 文献
井上薫『つぶせ!裁判員制度』新潮新書、2008年3月
西野喜一『裁判員制度の正体』講談社現代新書、2007年8月、ISBN 9784062879033
生田暉雄『裁判が日本を変える!』日本評論社、2007年8月、ISBN 9784535515857
田中克人『殺人犯を裁けますか?-裁判員制度の問題点-』駒草出版、2007年4月、ISBN 9784903186368
五十嵐二葉『刑事司法改革はじめの一歩 裁判員制度導入のための具体的手続モデル』現代人文社、2002年4月、ISBN 4877980903
五十嵐二葉『説示なしでは裁判員制度は成功しない』現代人文社、2007年4月、ISBN 4877983341
池田修『解説裁判員法 立法の経緯と課題』弘文堂、2005年5月、ISBN 4335353456
伊佐千尋『裁判員制度は刑事裁判を変えるか 陪審制度を求める理由』現代人文社、2006年5月、ISBN 4877982817
河津博史、池永知樹、鍜治伸明、宮村啓太(共著)『ガイドブック裁判員制度』法学書院、2006年4月、ISBN 4587216151
北尾トロ『裁判長!ここは懲役4年でどうすか 100の空論より一度のナマ傍聴』鉄人社、2003年11月、ISBN 4990073037
九州大学法学部刑事訴訟法ゼミナール(編)『裁判員が有罪、無罪を決める 裁判員裁判の実験と成果 実践ガイド模擬裁判員裁判』現代人文社、2003年9月、ISBN 4877981640
久保内統(文)、藤山成二(絵)『あなたも裁判員 漫画で読む裁判員制度』日本評論社、2003年7月、ISBN 4535514089
小池振一郎、青木和子(共編)『なぜ、いま代用監獄か えん罪から裁判員制度まで』(岩波ブックレット)、岩波書店、2006年2月、ISBN 400009369X
後藤昭ほか『実務家のための裁判員法入門』現代人文社、2004年12月、ISBN 4877982345
小林剛『みんなの裁判 マンガでわかる裁判員制度と重要判例60』柏書房、2006年4月、ISBN 4760128883
小林英明『イラストと事例でわかる裁判の仕組み 裁判員が判決を下す時代の到来!?』かんき出版、2003年12月、ISBN 4761261366
四宮啓、西村健、工藤美香『もしも裁判員に選ばれたら 裁判員ハンドブック』花伝社、2005年1月、ISBN 4763404326
最高裁判所(編)『裁判員制度ブックレット はじまる!私たちが参加する裁判』最高裁判所、2005年10月
自由人権協会(編)『裁判員制度と取材・報道の自由 討議資料』自由人権協会、2003年10月、ISBN 4915723240
高山俊吉『裁判員制度はいらない』講談社、2006年9月、ISBN 4062136007
辻裕教『裁判員法 / 刑事訴訟法 (司法制度改革概説)』商事法務、2005年7月、ISBN 4785712430
東京弁護士会法友会『徹底討論・裁判員制度 市民参加のあるべき姿を展望して』現代人文社、2003年3月、ISBN 4877981551
内閣府大臣官房政府広報室(編)『裁判員制度に関する世論調査』内閣府大臣官房政府広報室、2005年
鯰越溢弘『裁判員制度と国民の司法参加 : 刑事司法の大転換への道』現代人文社、2004年10月、ISBN 4877982140
新倉修(編)『裁判員制度がやってくる あなたが有罪、無罪を決める 市民参加の裁判』(Genjin ブックレット)、現代人文社、2003年2月、ISBN 4877981497
日本弁護士連合会(編)『裁判員制度と取調べの可視化』明石書店、ISBN 4750319848
日本弁護士連合会ニューヨーク州調査報告団(編)『市民が活きる裁判員制度に向けて ニューヨーク州刑事裁判実務から学ぶ』現代人文社、2006年7月、ISBN 487798299X
堀部政男(ほか編)『刑事司法への市民参加 高窪貞人教授古稀祝賀記念論文集』現代人文社、2004年5月、ISBN 4877981888
丸田隆『裁判員制度』(平凡社新書)、平凡社、2004年7月、ISBN 4582852327
三谷太一郎、佐藤博史、白取祐司、登石郁朗(共著)、北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター(編)『『国民の司法参加』の過去・現在・未来 : 陪審・参審・裁判員制度をめぐって』北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター、2003年10月46106179
季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.41(2005年春)連続特集・裁判員制度と刑事弁護 1 公判前整理手続・連日的開廷が始まる! 特別企画・「取調べ可視化」実現へのプロローグ Part2、ISBN 487798240X
季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.42(2005年夏)連続特集・裁判員制度と刑事弁護 2 選任手続はどうなるのか、ISBN 4877982418
季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.43(2005年夏)特集: 連続特集・裁判員制度と刑事弁護 3 公判手続はどうなるのか? 特別企画・再審事件の現状、ISBN 4877982426
季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.44(2005年冬)特集: 連続特集・裁判員制度と刑事弁護 4 量刑はどうなるのか? 特別企画・記録の取扱い、ISBN 4877982434
季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.45(2006年春)特集: 模擬裁判員裁判を検証する 特別企画・「取調べ可視化」実現へのプロローグ Part3、ISBN 4877982841
法と心理学会機関誌編集委員会(編)『法と心理』第5巻第1号、日本評論社、2006年8月、ISBN 4535067252

[編集] 脚注
[ヘルプ]
^ 裁判員制度:来年5月21日開始 7月にも初の法廷(毎日新聞)
^ [1] 「罪名別に見た裁判員制度対象事件」(最高裁判所ホームページ内の裁判員制度解説文)
^ 俗に言う「お礼参り」のこと。特に暴力団や黒社会、マフィア、過激派、テロ組織、宗教団体など組織犯罪の場合、その危険性が高まる。米国においては証人、陪審員に対しては国家による保護が付く場合がある。「沈黙の掟」、証人保護プログラムを参照のこと。
^ 「裁判員制度の対象となる事件の数(平成17年)」(最高裁判所ホームページ内の裁判員制度解説文)
^ 裁判員制度、刑事裁判の充実・迅速化及び検察審査会制度に関する意見募集の結果概要
^ a b 2007年3月30日付配信 読売新聞
^ 毎日新聞2005年5月2日社説から。「仕事に支障」「面倒」が「判断が難しい」「人を裁きたくない」よりも負担が重いという論理の論調で記載されていた。「仕事に支障が出る」という理由が「判断が難しい」という理由より負担が重いというのはその人の状況次第で可能性があるが、論理的に見て「面倒だから」という理由が「判断が難しい」「人を裁きたくない」という理由よりも負担が重いというのはどう考えても100%の嘘である。
^ 内閣府が2005年2月、2006年末に裁判員制度に関する世論調査を行ったが、裁判員への参加意欲項目について、2005年調査は「参加したい」「参加してもよい」「あまり参加したくない」「参加したくない」だったのが、2006年末調査では「参加したい」「参加してもよい」「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」「義務であっても参加したくない」に変わっていた。それを受けて、「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」を参加容認派と解釈して、見出しで毎日新聞インターネットサイトや日経新聞本紙では65%前後が参加するという報道姿勢をとった。
^ 2006年末に発覚したやらせタウンミーティング(タウンミーティング 小泉内閣の国民対話)問題。教育改革タウンミーティングでのやらせ問題は各マスコミが大きく取り上げたが、次いで発覚した司法制度改革タウンミーティングでのやらせ発覚については極めて扱いが小さかった。特に、裁判員制度と絡めた報道はほとんどなかった。
^ 2008年日本弁護士連合会会長選挙を受けての各新聞社社説。「司法制度改革は国民の期待」という論調の社説を掲載した新聞社が複数あった。しかし、2006年末の裁判員制度に関する内閣府世論調査で8割の国民が消極姿勢を示したこと、また、日本司法支援センター(法テラス)や法曹増員問題に関する世論調査データは存在しないことから、「司法制度改革が国民の期待である」というのは根拠のない捏造世論と言うしかない。
^ 最高裁が2008年2月に行った「裁判員制度に関する意識調査」では、内閣府の2006年末の裁判員制度に関する世論調査と同様、参加意欲項目は「参加したい」「参加してもよい」「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」「義務であっても参加したくない」であった。しかも、それを受けた報道姿勢について、2006年末内閣府調査では「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」を参加容認派と解釈したのは一部メディアだけだったが、今回の最高裁調査についてはほとんどのメディアが「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」を参加容認派として「6割前後が参加する」「参加しないは3割」という報道姿勢を取った。
^ 『拒否できない日本』(文芸春秋)関岡英之
^ 労働裁判改革のための意見書 (自由法曹団)
^ 参照「らっか正義君」「信ちゃん」…裁判員PRでキャラ乱立 読売新聞WEB2008年5月24日14時39分

[編集] 外部リンク

[編集] 制度
最高裁判所・裁判員制度
法務省・あなたも裁判員!
日本弁護士連合会・裁判員制度コーナー
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(総務省・法令データ提供システム)
裁判員の参加する刑事裁判に関する規則(最高裁判所規則)
首相官邸キッズルーム・国民に身近な司法を目指して - 「裁判員制度って何だろう?」

[編集] 関連情報
東京高等裁判所 裁判員制度用モデル法廷
司法制度改革審議会
司法制度改革推進本部
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%81%E5%88%A4%E5%93%A1%E5%88%B6%E5%BA%A6" より作成
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最終更新 2008年7月1日 (火) 09:55。
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