北朝鮮、ミサイル発射と核実験中止を表明 核実験場廃棄も
BBC 2018年04月21日
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は21日、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの発射実験を21日以降は中止し、核実験場を廃棄すると伝えた。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が前日の党中央委員会総会で、「いかなる核実験も中長距離、大陸間弾道ミサイルの発射実験も必要なくなり、北部の核実験場も使命を終えた」と述べたという。
KCNAによると、金委員長は北朝鮮の核能力が「検証された」ため、これ以上の実験は不要だと述べた。
KCNAはさらに、核・ミサイル実験中止と核実験場廃棄の目的について、経済成長と朝鮮半島の平和を追求するためだと伝えた。金委員長は、国内の社会主義経済の進展に「全精力を集中する」と約束したという。
金委員長は1週間後の27日には、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と軍事境界線の板門店で会談する予定。
ソウルで取材するBBCのローラ・ビッカー特派員は、核実験を6回重ねた北朝鮮は、これ以上の兵器刷新は不要だと考えているかもしれないと指摘する。
2007年以来となる27日の南北首脳会談に続き、金委員長は6月初めまでに前代未聞の米朝首脳会談をドナルド・トランプ米大統領と開く予定。実現すれば、米国の現職大統領が北朝鮮の最高指導者と初めて会うことになる。
金委員長の声明発表を受けて、トランプ大統領はツイッターで、「北朝鮮があらゆる核実験を中止し、主要な実験場を閉鎖すると合意した。これは北朝鮮と世界にとって、とても良い知らせだ。すごい進展だ! 首脳会談を楽しみにしている」とツイートした。
韓国大統領府は北朝鮮の発表を受けて、「有意義な進展」と評価。「近く行われる南北首脳会談と米朝首脳会談の成功のため、非常に前向きな環境づくりに寄与する」と声明を出した。
韓国の文大統領も19日、北朝鮮は「完全な非核化」の用意があると述べたと明らかにしていた。文大統領は、南北首脳会談と米朝首脳会談の成功を確実なものにするため、「大胆な想像力と創造的な解決策」が求められていると呼びかけた。
<解説> それでも重要な一歩――ローラ・ビッカー、BBCニュース(ソウル)
北朝鮮の国営通信は今回、6点の劇的な箇条書きでミサイル実験中止を発表した。
金委員長は、核武装を達成したのでこれ以上のミサイル実験は不要だという姿勢だ。これは、自分たちは核保有国になったと自信を示した「新年の辞」と同様の論調だ。
核実験を6回重ねた北朝鮮は、すでに手にしたミサイルを刷新しなくてもいいと感じているのかもしれない。
これは国際社会が求めている非核化ではない。北朝鮮は、核実験場の廃棄を表明したが、核兵器の廃棄は約束していない。
それに北朝鮮はこれまでも、こうした約束を破ってきた。
それでもなお、文大統領との会談を前にして、そして実現するかもしれないトランプ大統領との会談を前にして、これは重要な一歩だ。