森友関連の文書、検査報告の前日まで財務局が提出せず
木原貴之
朝日新聞 2018年1月30日05時45分 https://www.asahi.com/articles/ASL1Y5H18L1YUTIL03N.html
学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題をめぐる会計検査院の調査で、財務省近畿財務局の検討内容を記した文書を同省が検査院に提出したのが、検査報告の前日だったことがわかった。検査院の河戸光彦院長が29日の衆院予算委員会で明らかにした。検査院は約7カ月前に資料の提示を求めていた。
学園側との交渉内容について、財務省は国会で説明を求められるたびに「記録がない」などと答弁。交渉経緯を調べていた検査院に対しても、検査がほぼ終了して報告がまとまった段階で資料を提出していたことになる。法律に基づく検査に対する姿勢が問われそうだ。
問題となったのは、2016年3~5月、近畿財務局内で法律的な対応への相談内容を記録した文書など。土地取引が難航して開学が間に合わなかった場合、損害賠償を求められる恐れがあることについてのやりとりで、学園側の要望にも触れられていた。
財務省はこの文書を特別国会の会期中で、検査院が検査結果を国会に報告する前日の昨年11月21日に提出。情報開示請求していた大学教授には今月公開して明らかになった。
検査院は昨年4月、近畿財務局への実地検査を実施。損害賠償請求の可能性について法律的に検討した資料を提示して説明するよう求めていた。だが、財務局から具体的な説明はなされず、検査報告書には「具体的な検討内容は明らかではなかった」と記載された。報告書は財務省から文書が提出された段階でまとまっており、提出を受けて書き換えられた内容はなかったという。
この日の衆院予算委で、麻生太郎財務相は「(検査院の)検査の過程で、法律相談の記録があることに気付く状態に至らなかった」と認め、「その後の情報開示請求への対応の中で文書の存在が判明し、可能な限り速やかに提出した」と釈明した。(木原貴之)