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自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

新天皇・新皇后の外交デビューは見事な作戦勝ち  NEWSWEEK 【ちょっと長い要約】

2019年06月01日 16時37分07秒 | 地理・歴史・外国(時事問題も含む)

新天皇・新皇后の外交デビューは見事な作戦勝ち

2019年05月30日(木)17時10分  NEWSWEEK   冷泉彰彦

 【要約】少したくさん引用しすぎたかもしれません。

<世界中で批判的に見られているトランプ大統領とメラニア夫人を、知性と品格をもった大統領夫妻として厚遇したことが成功の鍵>

 

大統領夫妻の表情、ツイート、さらにはアメリカでの報道などを総合すると、即位後初の国賓接遇については、大変に高い評価がされているようだ。

この新天皇皇后の外交デビューの最初の相手がトランプ大統領というのは、非常にやりにくい巡り合わせだったと思われる。まず、トランプ流の「ホンネ丸出しのガサツなスタイル」を持ち込まれるのは、ハーバード・アルムナイ(卒業生)の皇后としては抵抗があるだろうし、何よりも皇室の威厳、さらには国家の威信に関わる問題を生じる。だからと言って、両陛下が高飛車に知性を見せつけるのも良くない。皇室の「お家芸」である全方位外交が崩れてしまうからだ。

そこで私は、両陛下の即位のタイミングで本誌に寄稿した際に、次のように記した。

「とりあえず見事な英語で品格と教養を示しつつ、大統領の持つ庶民性も『立てる』ことで関係を円滑にする、そのような儀礼の実務に徹してはどうだろうか。それ自体が簡単ではないかもしれないが、周到な準備を行うことで、一歩一歩を踏み固めることが肝要であると考える。」

驚いたのは、結果的に今回の皇室外交はこの期待感を「100%」いやそれ以上に実現したということだ。

具体的には2つのポイントが指摘できる。

1つは、周到な準備で、これは、恐らくは小田野展丈(おだの・のぶたけ)侍従長が中心となり、両陛下、そして内閣や外務省とも調整の上で、アメリカサイドの事務方とも実務的に緻密な計画が練られたのだと思われる。

例えば、トランプ大統領は天皇陛下には「ビオラ」を、皇后陛下には「文具セット」をプレゼントとして持参したとされている。ところが、その中身が凄いのだ。アメリカで報じられているところでは、その「ビオラ」というのは、ウェストバージニア州で1938年に作られたハンドメイドの逸品であり、そこに作曲家アーロン・コープランドの真筆サインが添えられていたというのだ。

ウェストバージニアというのは、それこそ石炭産業の衰退で苦しむ中で、ヒラリーを嫌い、トランプを選んだ代表的な州だ。またアメリカのクラシック作曲家の真筆サインということでは、亡くなったバーンスタイン(指揮者でも有名)、現在の世界のクラシック音楽界の寵児とでもいうべきジョン・アダムズなども考えられるが、それではリベラルなイメージになってしまうので、「アパラチアの春」で有名なコープランドというのは絶妙な選択だ。

また皇后陛下向けの「文具セット」には、手彫りの万年筆が入っていたそうだが、その材料には「ハーバードのキャンパス内にある樫の木」が使われている。つまり、トランプ大統領側として、雅子皇后がハーバードの卒業生であることにリスペクトを込めたプレゼントというわけだ。

また、宮中晩餐会において、トランプ大統領が元号「令和」の出典となった万葉集の話を、「おざなりではない」内容のある形で堂々と述べたというのも驚きだ。

 

結果的に、トランプ大統領サイドに、「いつものベランメエなスタイル」ではなく、知性と品格のある大統領だと持ち上げることで天皇皇后とのバランスを取った格好で、これは大統領本人も悪い気はしないでしょうし、外交シーンとして全体を俯瞰した場合に、とてもバランスが取れた格好になる。

こうした芸当は、現在、アジア太平洋担当の国務次官補が空席のままであるアメリカの国務省や駐日アメリカ大使館だけで、手配のできる話ではないだろう。外務省の儀典長を経験している小田野侍従長が、両陛下と相談の上で、先方との緊密な調整に動いたとしか考えられない。

2つ目は、これも両陛下の深謀遠慮としか思えないのだが、「メラニア夫人への重点的な接遇」を心がけられた、これが成功の秘密であると思う。

メラニア夫人は、近代以降のアメリカ史の中でも非常に存在感の薄いファーストレディで、アメリカでは、とかく夫の女性問題を騒ぎ立てられ、欧州などではファッションモデルからの「成り上がり」という暗黙の非難もあるようだ。自身が移民でありながら、夫の政策は移民排除に近いものであり、さらには夫の支持者の多くは反移民であるという難しい立場でもある。

何よりも、「夫が合衆国大統領になってしまった」ために、晴れがましい舞台に立たされていることに、一種の居心地の悪さを感じている、そんなイメージも確立してしまっている。

そのメラニア夫人に対して、両陛下は徹底的に配慮を重ね、アットホームな雰囲気を醸し出し、最後にはこれまでアメリカでは誰も見たことのなかったような笑顔を引き出していた。

結果的に、奥さんがハッピーであれば、旦那もハッピー。これは大きな効果があったと思う。また、世界中で毀誉褒貶に晒されているトランプ大統領を持ち上げすぎるのは皇室の威厳にはマイナスだが、メラニア夫人であればその点も心配はない。

そんなわけで、今回の皇室外交は周到な準備に加えて、夫人を「ターゲットとした接遇」に注力したことが成功の鍵であったと思われる。


     Shangri-la10 @7Shangrila10                    15時間15時間前           


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