【執筆原稿から抜粋】
人生はタバコと同じ。
タバコは煙にならないと良さは分からない。人間も、火葬場で煙にならないと本当の価値は分からない、死んでどう記憶されるかが勝負だよという意味です。
中国の古典では
棺を蓋いて事が定まる
(蓋棺事定)といいます。
中曽根康弘元首相も、政治家は「歴史法廷の被告」たるべきだと考えていました。たとえ同時代の人間に理解されなくても、数十年後、歴史家の批評に耐えられるような政治をするべきだ、という気概です。
歴史を学ぶと、ある時代の正義が数十年後には悪になっている事例がたくさんあります。ナチス・ドイツや戦前の皇国史観などです。
歴史を学び、歴史の批評に耐えられるかという数十年単位の歴史観を持ちましょう。それがいい意味での無常観です。