昨日の夜は、浅田次郎の小説『シェエラザード』を読んでいました。
太平洋戦争末期。
軍に徴用され病院船とされた国産の豪華客船弥勒丸は、捕虜の為の物資を連合国側から受け取り南方の捕虜収容所に配る任務に就く。
南方は制海権も制空権も敵方に握られているが、緑十字の任務に就いている弥勒丸は指定されている航路を外れない限り敵方から攻撃を受けることはない。
しかし弥勒丸は二千三百人の民間人と共に米軍潜水艦の魚雷により沈んでしまう……。
数十年後、元銀行員で今は闇金融の社長をしている主人公のもとに、弥勒丸の引き上げ話を持ち込む台湾人が現れる。
この話を持ち込まれた者達が謎の死を遂げていく中、主人公は何故弥勒丸は沈んだのかを調べ始める……。
弥勒丸に関わった人達の語りで弥勒丸の任務の真の目的が分かってくる仕掛け。
当事者たちの置かれている立場で知っている事のレベルが違っていて、終戦末期の混乱ぶりが窺えます。
情報が錯綜する中では、良かれと思ったことが裏目に出ることもあるし、自分達の都合で考えて多くの人を死に導く輩も出てくるって事なのかなぁ。
話の展開はやや強引。幾つか気になる点も描かれていない。
でも面白いです。
お勧めですよ。