昨日の夜は、京極夏彦の小説『数えずの井戸』を読んでいました。
岡本綺堂の『番町皿屋敷』や多くの資料を基にして「皿屋敷」の怪談を再解釈した物語です。
何故、お菊という女性の亡霊が皿を数える怪談が生まれたのか? が核心の部分で幽霊は出てきません。
物語はお菊が旗本青山家の屋敷に奉公する前から始まります。
各章で視点が変わりながら、まずは登場人物達の紹介と核心の周辺の説明。
徐々に核心に迫っていきます。
結末は最初に明示されていて、どのようにそこに行きつくか? そして何故、お菊という女性の亡霊が皿を数える怪談が生まれたのか? というお話。
幽霊話ではなくどのような事件が起こったのか? というお話なのですが、怖い。
主要人物達が抱えている考えかたや悩みは誰しも少なからず持っているもので、しかも単独では大したことはない。悪いものと言い切れないものもある。
しかし重なり合って組み合わされると大きな力を持ってしまい、誰にも抗うことは出来ず皆で破滅に向かう。
暗くどんよりとしたお話で、最初はゆっくりと途中から加速度を増して惨劇へと向かいます。
面白かったですよ。
お勧めです。