野に撃沈2

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。(k10D→k7→k30→)k‐5Ⅱsを忍ばせ、人気のない野山や公園、路地裏を彷徨い歩く

秋色に染まる大菩薩峠

2011-10-23 | 登山

 

 

 紅葉の便りを聞き大菩薩峠上日川峠まで車を走らせた。峠に着いたのは8時半を少し回った頃、ロッジ前の駐車場にはすでに車が十台ほど止められていた。

 

 

 素早く靴をはきかえ、必要なものだけサックに詰め替え歩き始める。カラマツ林はもうすっかり色づいている。

 

 20分ほどで福ちゃん荘。

 

 ここからやっと本格的な登りが始まる。ひときわ鮮やかなモミジの紅葉

 

 

 

 

 紅葉の林の中を歩いていると、自分の心までが染め上げられ、妙にしみじみとしたしかも華やかな気持ちになる。このしみじみとウキウキという二つの相反する気持ちをなんと言い表したらいいのだろう。古語の「あはれ」にちかい、物悲しい高揚感とでも言ったら良いのだろうか。

 聞こえるのは落ち葉を踏みしめる自分の足音と、時折聞こえる小鳥たちのさえずりだけ。さえずりの終わった後、辺りに静けさがさっと広がる。 

 

 

 

 シジュウカラの一群がカラマツの大木にやってきた。

 

 

 登り始めてちょうど一時間。森林限界を超え、視界が急に開けてきた。

 

 南西側には富士山が見える。とうに冠雪していると思っていたが今年はまだのようだ。

 ススキはすっかり枯れかかっている。

 

 

 急な登りをジグザグに登りきると大きな雷岩が見えてくる。

 背後にたなびく秋の雲が何とも清々しい。疲れは感じなかったので、休まず大菩薩嶺までピストンしてからその後休憩することにした。

 

 今日は高速を使ってきたので思ったより時間に余裕がある。その時間をのんびりとした尾根歩きに使うことにしよう。

デッドツリーの右隣に見える山は南アルプスの甲斐駒だろうか。

 

 登山口付近はまだ5分ほどの紅葉だったが、頂上付近は今が紅葉酣のようだ。何とも美しくてため息が次から次へと洩れてしまう。

 

 

 南アルプスの名峰たち甲斐駒ケ岳、北岳、農鳥岳などがくっきりと雲上に並んでいる。

 

 

 富士山の手前の湖は以前は上日川ダムと呼んでいたが、最近は大菩薩湖と呼ぶ人が増えたようだ。まぁそのほうが名前としては趣があるとは思うのだが……。

 

  妙見の頭から賽の河原をみる。賽の河原の避難小屋は紅葉の真っただ中だ。

 

 登っている最中、ずっと探していたのだが見つけられず、諦めかけていたリンドウを稜線でやっと発見、うーん嬉しい。結局今回の登山中、見つけられたリンドウは合計3株だけだった。

 

 

 弱弱しく岩に止まっていて、一向に飛び立とうとしなかったヒオドシチョウ。花がないということは、チョウにとっては食べ物がないということ。命を終えるまでの間少しでも花の蜜にありつくことができるだろうか。

 

  10分ほど歩いては適当な岩に腰掛け、紅葉と富士と南アルプスと流れゆく空の雲を眺めている。 風も心地よい。

 

 

 ナナカマドの赤い実がふもとから吹き上げてくる風に揺れている。

 

 

 振り返った妙見の頭方面。

 

 左上に見える二つの鳥影はカラスと鳶。巣を守るためか、縄張りを守るためかしばらく争いを続けていた。

 

 

 雲の形が素晴らしいので腰を落として空を見上げているとつい時間を忘れてしまう。

 

 

 

 賽の河原を超えたあたりからポツリポツリと登山客に出会うようになってきた。

 

 

 

 時刻は11時を回ったころ、眼下に介山荘が見えてきた。

 

 この後は石丸峠、小金沢山へと回ったのだがそれは次回へ。

 この辺で。