平成22年5月1日()
今年の桜の開花は北国ほど遅れているとのことで、ゴールデンウィクの混雑覚悟でJTB主催
の『八甲田雪の回廊と桜春爛漫2日間』の旅に参加しました。
上野から8時2分発の東北新幹線・はやて5号に乗り,北上に10時34分到着。
列車は全席指定でしたが,立ち席覚悟で乗る人もいて,この時期の混雑覚悟の旅行客もいるようでした。
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北上駅では待ち受けていた観光バスで出発しました。
ところが『北上市立公園展勝地』へ向かう道路に出ると,途端に渋滞となりました。
普段ですと10分ほどで行ける場所が、中々前へ進むことが出来ません。
それでも車が北上川を渡リ始めると,対岸の展勝地の桜並木が見えてきました.延々2kmに
亘る桜並木はどうにか五分咲き程度になっているようで、多くの見物客がそぞろ歩いているのが目に入ります。
しかしながら長い車の列は殆ど動きません。
ガイドの話によると、一般車の駐車場が既に満杯の状態であることと、片側1車線の道路のため、バスの駐車場は空いているのに動けないということです。
何ともイライラさせられる時間が過ぎて行きましたが、今日の予定もあって、これ以上待っていることもできず、バスを降りて現場まで歩くことになりました。
右手の桜並木と、その彼方奥の雪を被った焼石連峰を見ながら歩くのも良い思い出になるなどと言いながら現地へ。
結局駅から一時間かかってしまいましが、ここには既に大勢の花見客で溢れています。
現地の方々は思い思いの場所に陣取って宴会を始めていました。
桜の巨木が両側に並び,その花のトンネルの中を歩く。吹く風は冷たいが人いきれでムンムンしています。
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北上市立公園展勝地
北上川に隣接する展勝地は、弘前公園と角館に並んで『みちのく三大桜名所』の一つに数えられ、東北有数の名所として知られています。
293haの公園には、ソメイヨシノやベニヤマザクラなど約1万本のさくらがあり、『日本の桜名所100選』にも選ばれています。
北上川沿いには樹齢80年を超える約2kmの桜並木があり、頭上に覆い被さるようなサクラのトンネルは圧巻で、多くの観光客で賑わうようです。
この時期には道路の混雑を避けて,北上川の川面を春風に吹かれながら、雄大な桜並木を遊覧船や渡し船でゆったりと見物する方法もあるとのことです。
また、冬には珊瑚橋付近に数百羽のハクチョウが飛来し,市民の憩いの場所となっているようです。
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『展勝地』は、大正9年(1920)、当時の黒沢尻町長・沢藤幸治氏が設立した和賀展勝会が桜の植栽事業を行ったことに始まり,翌10年に開園しました.
北上川の洪水の被害などに見舞われましたが,90年近くの間,地域住民に支えられ,現在のような桜の名所となっています。
『展勝地』という名前の由来は,沢藤氏の親友・風見章氏(後の司法相)が事業団体の名称を展勝会と命名したことと、陣ヶ丘からの眺めが素晴
らしいことから、展望のきいた名勝・景勝の地という意味で名付けられたとのことです。 【北上観光協会HP】より
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桜並木を終り近くまで歩くと,大分花見客も少なくなり,ゆつたりした気分でお花見をすることが出来ました.
北上川を遊覧船で花見をする人や、対岸から渡し船でこちら側へ来る人などがあり、またこの川を横断して鯉幟が多数吊るされており、風に靡い
ているのも彩りを添えていました.
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北上川は岩手県岩手郡岩手町御堂の湧水『弓弭(ゆはず)の泉』を源流として,東に北上山地,西の奥羽山脈間の岩手県中央部を北南に流れ,登
米郡津山町付近で新北上川と旧北上川に分かれる.新北上川は石巻市北上町で追波湾に注ぎ,旧北上川は迫川・江合川と合流して石巻湾に注いで
いる.全長249kmで、全国第5位。 【北上川下流河川事務所】資料より
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上の左の写真は、北上川の奥に見える焼石連峰の山々、右の写真は展勝地入口にある『サトウハチロー記念館』です.
バスは12時30分にここを出発しましたが,依然として車の長い行列が続いており,この車で来た方々は一体何時に駐車場に入れるのかが,心配になるほどでした。
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昼食は展勝地の売店で購入した赤飯と胡麻入りの餅、桜見物中での食事時間がないのでバスの中で食べることになりました.素朴な味の赤飯が美味しかった。.
バスは東北道の北上江釣子ICから上り線に入り,北上JCTから秋田自動車道の大曲ICへ。
秋田自動車道は1車線の対面交通の場所が多く,普段はそれでも空いているそうだが,今日は車の数が多いとガイドの佐藤和子さんの話。
車窓から見られる桜は未だ2、3分咲きの樹が多く,角館もどうにか見られるようになったばかりとのこと。
心配された角館付近の道路混雑はさほどでもなく、14時20分過ぎに角館のバス駐車場に到着。
駐車場は桧木内川の堤防沿いにあるので、目の前に開花したばかりの桜並木が目に入る.何しろ昨日開花したばかりとのことなので,蕾の赤い膨
らみが目立ち,いわゆる桜色の景観になっていません.
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桧木内川堤ソメイヨシノ(国指定名勝)
桧木内川堤(ひのきないがわつつみ)ソメイヨシノは,昭和9年(1934年)に今上天皇御誕生記念として植えられました。
2kmに及ぶ花のトンネルは,そぞろ歩く人たちに、北国の短い春を満喫させます.そして、一斉に散る様は,正に爛漫たる花の舞……。清流に映
える夜桜の景観も見事です.
現在、老化した木々に対しては,市教育委員会文化財課が中心となって管理,保護を行っています。
桜は手を尽くすほどにその見事な姿を見せて,人々の心にかた語りかけてくれます。
平成2年,武家屋敷通りと共に『日本さくら名所100選』に選ばれました。
【仙北市資料より】
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今日のハイライトである角館の町並みに入る.ここも人出が多い.先ず目に入ったのは『角館樺細工伝承館』通りのシダレザクラ。殆ど満開に近
く薄いピンクから濃い色の花までが咲き揃っている。
全体的には五分咲き程度と言われていましたが、ここは南向きの通りなので一足先に満開になっていたようです。
次いで重要伝統的建造物群保存地区に指定された『武家屋敷通り』を歩く.
かって夏にここを訪れた際に何軒かの屋敷を拝見していたので,今日はただ彩りを添えているシダレザクラを見ながらの散策となりました.
何しろ観光客が多く,満足な場所での写真を撮ることが難しかったのですが、何枚かの写真を載せておきます。
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角 館
深い木立と重厚な屋敷構えが今もなお藩政時代の面影を残す街,角館。東北の小京都と呼ぶのに相応しい風情を、街全体に漂わせた桜の名所です。
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この街は1620年(元和6年)角館地方を治めていた芦名義勝によって造られました.
豊かな仙北平野の北部に位置し,三方を山々に囲まれ、西は桧木内川、南は玉川に沿った地形で,城下町を形成するのに最も適した場所でもありました。
城下の縄張り(設計)として最も注目されるのは、南北に延びる町の中央に土塁を築いた「火除け」を設け,武家居住区の「内町(うちまち)」
と町人居住区「外町(とまち)」とに分断したことです。武家屋敷は生活の場所であると同時に,ひとつの城郭をなしていると言えるでしょう.
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古城山山麓の国道46号から火除け前までの通称「武家屋敷通り」と呼ばれる区域が、昭和51年9月,重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
角館のシダレザクラ(国指定天然記念物)
明和の頃(1770年頃)秋田の藩士で、勝れた国学者として知られる益戸滄洲が、角館の学者の門弟の許を訪ねた際の形容の一節で、
「千百の糸を垂れている桜は、その長きこと百尺,霧を帯び雲を裁って下にむかう。恰も万片の雪が軽く綿の様に風前に舞い,又千仞の飛瀑が大
空にひるがえって半天にかかる」(原文は漢文)とあります。
この記は、東勝楽丁入り口西側にあった古梅津定右衛門屋敷内の枝垂桜を書いたものです.
「長きこと百尺」という形容から想像される樹齢は、おそらく100年は経過していると思われるため,佐竹北家が入部して「所預かり」となっ
た明暦2年(1656年)からほどなく桜を植え始めたとみられていすます。
角館のシダレザクラは、この風雪に耐え、地域住民が優しく気を配った貴重な遺産です。
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1時間40分余りの角館の桜見物を終えて,バスは角館街道から盛岡ICに向かい,ここから東北道で松尾八幡平ICへ。
途中岩手山が見えてきましたが,生憎山頂付近が雲に覆われており,全容を見ることができませんでした。
安比高原の『ホテル安比グランド』には薄暗くなった18時少し前に到着。
前森山(1305m)のスキー場はまだ滑走が可能な状態で,ホテルの周囲には除雪した雪が残って、気温が大分低くなっていました。
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安比高原 標高 810m
八幡平市にある安比高原は、日本を代表するオールシーズンのビッグリゾートとして人気があるようです。
冬はアスピリンスノーのスキー場,全長5.5kmのダウンヒル,3kmのナイターコースなど21コースがあります。
総面積100haの安比高原牧場は、酪農を中心としての一面と,アスレチックやファミリー広場など、観光牧場としての一面を持つ総合牧場とのことです。
また『森林浴の森・100選』に選ばれたブナの二次林、ブナ原生林を巡るトレッキングコースがあり、初夏になると各種ハーブやワイドフラワ
ーの群落が見られる8haのお花畑もあるとのことです。
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既に夕食の時間となっており、部屋に落着いて間もなくレストラン『竜ヶ森』へ。
バイキング形式の夕食は,東北の名産品を集めての料理が並び,目移りがして困るほどでした。
夕食後は、広大な駐車場での花火大会があり,合計1000発の花火が打ち上げられ,気温が一段と低くなったところで、寒さに震えながら見物しました。