nemo 折々の自然

折に触れて観察した自然などの記録

隠岐・西ノ島

2011-05-10 00:00:00 | 旅行記
西ノ島 面積 : 55.98?、周囲 : 116.5km、標高 : 452m(焼火山)、人口 : 3666人

 大断崖や奇岩が続く國賀海岸は、隠岐を代表する景勝地。そしてその荒々しい断崖の上には草原が広がり、牧歌的な世界が広がる。そんな対照的
 な光景が見られるのも、西ノ島ならでは。
 また、かってこの地へ流された、後醍醐天皇にまつわる史跡も残っている。
       *
Img_2240
       *
 昨夜から降り出した強い雨が続いており、窓から見える湾内にも泥水が流れ込んでいる。
 天気予報では、隠岐地方は[大雨、洪水、波浪注意報]が出されており、終日続く見込みと知らせている。
 これでは今日の観光は無理だと思いながら、朝食に行くと、添乗員の石上氏から、
 「ご覧のような天候なので、國賀海岸のパノラマウォークは中止します。出発を9時に延ばして、様子を見ながら観光することにします」と知ら
 される。
 重い気分で朝食を済ませ、この分ではフライトも欠航するのでは、と帰りの心配をするようになる。
       *
 集合時間になっても、一向に雨の勢いが収まらない。念のためレインウエアの上下を着用する。
 バスの運転手さんも、
 「この雨では、赤尾展望所へ行ってもガスの中で何も見えないと思いますが、取りあえず行ってみます」
 と最初から我々の微かな望みを叶えることが難しいことを言われる。
       *
  ‘’篠突く雨‘’というが、まさにワイパーも役に立たないような降りに、外の景色も霞んでいる。
 展望所への上りにかかると、道半ばにしてガスの中に入り、白濁の世界に到着する。
 ここで再び運転手さんから、
 「この展望台が標高200mですが、次に行く予定の摩天涯は257mありますので、もっと厳しい状態になっていると思います。それでも行ってみ
 たいと思われる方はいらっしゃいますか ?
 もしいらっしゃらなければ、國賀浜へ行くことにしたいと思います。そこは海岸ですので、景色は必ず見ることができると思います」
 と提案される。
 車内は静まり返って、どなたも摩天涯へという方はいなかった。
 この雨では、どうしようもないことが分かっていたのだ。
 石上氏がその後を引き取って、
 「どなたもいないようなので、國賀浜へ行くことにしましょう」
 と運転手さんに告げる。
       *
 まぁ、普段の行いが悪かったのだと諦め、配られたパンフレットを眺めることにする。
赤尾展望所
 摩天涯や、巨大な岩の掛け橋・通天橋など、國賀海岸の絶景を見渡すことができるスポット。
 赤茶色の鉄分を含み、日の光によって変化する通天橋は一見の価値あり。
 また、断崖の上には、草原に牛がくつろぐのんびりとした風景が広がる。
Matengai
摩天涯
 垂直にそそり立つ高さ257mの大断崖。海蝕崖では日本一の高さを誇り、身の縮むようなスケールを感じ取ること
 ができます。
 その反面、断崖の稜線一帯は穏やかな平地が広がり、一面緑の草地となっていて牛馬が放牧されています。

通天橋(つうてんきょう)
<ahref="http://nemo.blogzine.jp/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2011/05/15/tsutenkyo.jpg"onclick="window.open(this.href, '_blank', 'width=220,height=146,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false">Tsutenkyo
 海に大きくせり出した巨大な岩の架け橋。岩石の中央部が海蝕作用によってえぐりあけられたもので、大自然が創
 り出した造形の妙を見ることができます。
 約7kmにわたって粗面玄武岩の海蝕崖や海蝕洞が続き、国立公園に指定されている隠岐最大の景勝地、国賀海岸に
 ある代表的な奇岩です。 
      *
 バスが高度を下げると次第にガスが取れ、國賀浜の駐車場に着くと、目の前の海岸に奇岩が連なる景色が広がる。
 運転手さんは、
 「折角ここまで来たのですから、是非海岸まで降りて、通天橋を見てきて下さい。往復30分ほどで行けますよ」
 と言われる。
 とはいっても、外は相変わらず強い雨が降っている。海岸までは少しきつい坂を降りて行かなければならない。
        *
Img_2271 Img_2272意を決してバスを降りて歩き出したが、下り坂な
 ので雨水が川のように流れており、靴がびしょ濡
 れになる。
 これではとても海岸まで行けそうもないので、坂
 の途中の見晴しの良い所でストッブ。
 確かに奇岩が連なる風景は見応えがある。ゆっく
 り見物したいところだが、この雨では、写真を撮
 るのも容易ではない。カメラに雨がかからないよ
 うにしながら何枚か撮る。
 ここでも川から泥水が流れ込み、海が茶色になっ
 ている。
                 * 
Img_2275 Img_2276上の画像にある尖った岩はローソク岩で、国賀海
 岸の奇岩の中でもひときわ細長く(海抜約40m)
 そびえ立っています。
 海上からは、百済観音の姿にも見えることから
 音岩
とも呼ばれているとのことです。
 陸上からは、岩の先端に日が沈むころに、火が灯
 ったろうそくに見えることから「ローソク岩」とも
 呼ばれていますが、島後のローソク岩のように船
 から撮影するのとは異なり、タイミングを取るこ
 とが非常に難しいようです。

       *
 雨に濡れながら、何とか國賀海岸の景勝を見ることができたところで、今日の観光予定時間が余ったので、昼食までの間、何カ所かに立ち寄る
 ことになる。
       * 
Img_2277 Img_2269 最初は由良比女神社
 この神社は延喜式神名帳に見える古社で漁業神、
 海上守護神として島内の信仰を集めているとのこ
 と。
 鳥居が海中に立ち、その入江にイカの大群が押し
 寄せることで知られております。
 その昔、神社の前の海岸には毎年12月から正月に
 かけてイカの大群が押し寄せたという。イカを
 「拾う」というのもこの地域だけで、カゴですく
 ったり、手づかみでイカを取ったようです。                                      *
 次は黒木御所へ。Img_2278
 別府港の東、湾に突き出た丘の上にあり、元弘2年、後醍醐天皇が配流になられ、約1年間住まわれ
 たといわれる伝承の地で、島を代表する史跡となっています。
 丘の上には御所の史跡の他、天皇をまつる黒木神社があり、昭和33年に県史跡に指定されました。
 丘の登り口に黒木御所の資料を展示する碧風館があります。
 関連する史跡としては、別府地区に三位の局館跡、判官屋敷跡、千福寺御座所跡。小向地区に御腰
 掛けの石。赤ノ江地区に赤崎などがあるとのことです。
       *
 最後に西ノ島ふるさと館へ。Img_2279
 西ノ島の自然と人の暮らしを集めた展示館。漁具や民具・文化財
 などが展示されています。
 中でも故木村康信氏が隠岐近辺で採取した『木村コレクション』は貴重な生物資料として高い評価を受けていま
 す。
 中でもアワビやサザエの年代別の殻を集めた展示は、まさにそれぞれの成長記録といったもので、興味深く見る
 ことができました。
       *
 これで隠岐の観光を終え、ホテルへ戻り、ヒオウギ貝の炊き込み御飯と隠岐そばの昼食。
 石上氏の情報によれば、隠岐からのフライトは1便は若干遅れたが運行され、2便も現在のところ予定どおりと
 いうので一安心。
       *
 Img_2281_2ホテルのバスで別府港へ送って頂き、フェリー『くにが』に乗船。
 往路より混んでいる。
 海は川からの泥が流れ込んで茶色になっている。
 船室に落ち着くと、雨のためデッキに出られないので、大半の方は寝てしまう。
 大型フェリーなので、海上での揺れも無く、予定どおり西郷港に到着。
 ここからバスで隠岐空港へ向かうことになっていたが,フライトまでの時間があるので、フェリー
 ターミナルの隣の『隠岐の島町観光協会』の建物内にある物産館でショツピング・タイムとなる。
       *
 隠岐からのフライトは予定どおり伊丹から到着して一安心。
 この時期に観光されたという記念に、観光協会から『さざえ』のお土産を頂戴する。
 確かにまだまだ観光地はお客が少ないようだ。
       *
 伊丹からのフライトも時間どおりで、3日間の旅を終えた。
       *
 9時00分 ホテル発(観光バス)→ 9時30分 赤尾展望所 9時35分 → 9時50分 國賀浜 10時20分 → 10時25分 由良比女神社 10時35分 → 10時50分
  黒木御所 11時05分 → 11時10分 西ノ島ふるさと館 11時25分 → 11時35分 ホテル(昼食)12時05分(バス)→ 12時10分 別府港 12時20分
 (フェリー・くにが)→ 14時00分 西郷港 14時10分(バス)→ 14時15分 隠岐の島町観光協会・物産館 14時45分 → 15時00分 隠岐空港
 15時45分(JN2336)→ 16時35分 伊丹空港 17時25分 (JL128)→ 18時45分 羽田空港着
       *
【確認した野鳥】  28種類
   1.ウミウ            2.アマサギ          3.ダイサギ
   4.コサギ            5.アオサギ          6.カルガモ
   7.ト ビ           8.ノスリ           9.キ ジ
  10.コジュケイ        11.オオバン          12.ウミネコ
  13.トケンs.p.         14.アマツバメ          15.ツバメ
  16.ハクセキレイ       17.セグロセキレイ       18.ヒヨドリ
  19.イソヒヨドリ       20.ウグイス          21.マミジロキビタキ
  22.ヤマガラ         23.シジュウカラ        24.ホオジロ
  25.カワラヒワ        26.スズメ           27.ハシボソガラス
  28.ハシブトガラス                  

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隠岐・島前

2011-05-09 00:00:00 | 旅行記
 Img_2200起床後、朝食までの間ホテルの近所を探鳥。昨日も感じたが、思っていたより野鳥が少ない。
 今朝もキジとウグイス、コジュケイ、それにイソヒヨドリの鳴声が聞こえていたが、姿が見えた
 のはイソヒヨドリのみ。
 部屋から見える湾内にはウミネコ、上空にはツバメが飛んでいる。
       *
 今日は先ず、岩倉の乳房杉見物へ。
 昨日はバスの最後部の座席だったが、今日は運転席の後の最前列で、何かと好都合だった。
 バスは島の東海岸沿いのカーブと上り下りの厳しい道を走る。
 朝方雲が多かったが,次第に青空が広がり、絶好の天気となってくる。
 『春日の浜海水浴場』を過ぎて間もなく、南谷林道に入り、杉林の続く狭い道の中を高度を上げ
 て行く。
 途中のクヌギ林では、シイタケ栽培用のクヌギの切り出し作業を行っている。   
 林道は大満寺山への登山道にもなっているのだ。
 バスは乳房杉の前で止まる。何とも不思議な形をした杉だ。

Img_2201 乳房杉は、隠岐の最高峰である大満寺山(608m)山中にひっそりと生き続ける巨木で、岩倉神社の御神木。
 根回り約16m、地上約3mのところで主幹は15本に分岐し、地上20mのところからは、大小24個もの鍾乳石状の乳房
 根が垂れ下がっている。長いものは約2.6m、周囲2.3mもある。
 梅雨時になると、乳根の先端から約1cmの多数の気根が発生するという。
 周囲は夏でも涼しく,特に雨上がりはとても神秘的な雰囲気を感じることができるという。
 樹高40m、幹囲11m、樹齢約800年で県の文化財に指定されている。
 杉の根元付近には、小さな風穴があり,冷たい風を吹き出している。
 シダ類が多く見られるのもこの辺りの特徴のようだ。
       *
Img_2208 バスは林道を下り、先程の東海岸沿いの道に出て北上、次の目的
 地白島展望台を目指す。
 相変わらずのカーブと上り下りの道が続き、時折崖の上から入り
 組んだ海上の景観を眺めることができる。
 白島という名は、島の数が百に一つ足りないことから付けられた、ともいわれているとか。
 駐車場を降りて展望台へ行く狭い道には、ツツジやシャクナゲ、タンポポやイカリソウなどの花
 々が咲き競い、我々の足を止める。
       *
Img_2218 Img_2219Img_2216
       *
 白島展望台は、島の最北端にある白島海岸と、周辺に点在する島々を一望するスポット。
 展望台からは、白い岩肌と緑の松、紺碧の海のコントラストが楽しめる。
 白島崎一帯には、沖ノ島をはじめ,特異な形や色の松島,黒島、白島など多くの島が散在しており、総称して白島海岸と呼んでいる。
 沖ノ島はオオミズナギドリの繁殖地になっているが、昼間は餌取りに出ていて姿を見ることはできなかった。
       *
1/fa7930ece8c1777341c12df199cc94d5.jpg" alt="Img_2210" title="Img_2210" width="270" height="202" border="0" style="float: left; margin: 0px 5px 5px 0px;" /> Img_2212        *
 これらの海岸や島々は、おおむね隠岐特有の板状アルカリ石英粗面岩からなり、白島海岸独特の景
 観も、この板状及び柱状節理よるところが多い。
 さらには岩石の一部には、球状あるいは玉ねぎ状の共心構造が発達したところもあって、極めて特
 異な風景美をつくりだしている。
 加えて石英粗面岩は、長い年月の風化によって白色となり、岩石や島々は白っぽく見え、風景は優
 雅な趣を呈しており、白島海岸の名もこれによっている。
 島前の國賀海岸の男性的な豪壮美に対し、白島海岸は女性的で優美な風景を呈し、共に隠岐の代表
 的な景観となっている。国の名勝・天然記念物に指定されている。
       *
 広大な景観を楽しんだ後は『隠岐しゃくなげ園』へ向かう。
Img_2229 隠岐しゃくなげ園の説明によれば、『しゃくなげ』は隠岐島後の山々で標高300~500mのところに自生してい
 る『隠岐しゃくなげ』を地域の人々が自宅に持ち帰り育てていたものを、昭和49年から3カ年かけ約1万本を
 2haの当園に移植したものという。
 しゃくなげは、適地でなければ育ち難い植物だが、ここは北面で湿度が高く、また傾斜地なので水はけが良く
 土質は酸性で風は当たらず、日当りも杉木立の中とあって半日陰等々、しゃくなげの成育には適しているよう
 だ。
 この『オキシャクナゲ』は、ホンシャクナゲの一品種で葉全体が小さくて薄く、先が丸みを帯びている。花の
 色はピンクから白で、花弁の先は七つに分かれている。日本で最も低地に自生しているシャクナゲとのことだ
 花の島・隠岐を代表する[山の花の女王]と呼ばれている。
       *
Img_2223 Img_2221ガイドの話では、今年は未だ咲いていないようだ、
 と言っていたが、園内に入ると山の斜面一面に咲
 いているしゃくなげに圧倒される。急斜面を歩き
 ながら、ピンク色に誘われるように園内を一周す
 る。
 バードウォッチングでも、赤い色の野鳥を見ると
 胸がときめくが、赤系統の花の中に入ると心が浮
 き立つのは同じ現象のようだ。


         *
Img_2232 このしゃくなげ園の入口には、『ナゴラン』がモミの木に着生している。花は未だ咲いていないが、隠岐では北方
 系・南方系・高山性・大陸性など様々な植物が共存している。
 モミの木は北方系でナゴランは南方系というように、他では見られない特異な植生分布が見られるという。
         *
 午前の最後は水若酢神社へ。
 隠岐の国一の宮。樹齢300年を越す松林の中に立つ姿は、堂々たるもの。本殿は約200年前に建立され、隠岐造りの
 様式で、国の文化財に指定されている。
Img_2234 Img_2235ここで気が付いたのは、神社の境内には必ず屋根
 付きの立派な土俵があることだ。
 隠岐では従前から相撲が盛んな土地だったとのこ
 と。
 現在では幕の内のイケメン関取『隠岐の海』の他
 数名の若い力士がいるとのことだ。




       *
 昼食は神社の近くにある五箇創生館内のレストランで『うに飯と隠岐そば』を採る。
 『隠岐そば』は、焼きサバでダシをとる、そば粉100%の独特な風味のもの。
       *
Img_2238 Img_2236以上で島後の観光を終え、西郷港からフェリーで島前・中ノ島
 菱浦港へ向かう。
 フェリーターミナル前には、『鬼太郎親子とねずみ男』が……。 
         *
 フェリーの船室には団体席が用意されていたが、展望が効かない
 のでデッキへ出て展望を楽しむことにする。
 上空には雲が多くなってきた。波は静かで船の揺れも少なかった
 が、風が次第に強くなってきた。
 進行右手の島後が次第に遠ざかり、左手に島前の島々が見えてく
 ると同じフェリーの『くにが』と擦れ違う。
Img_2242_2        *
 中ノ島・菱浦港に着くと、観光バスが待ち構えており、直ちに出発する。
 ガイドから中ノ島の概要について説明があり、10分ほどで隠岐神社前に到着。       
       *
中ノ島 面積 : 33.4?、周囲 : 89.1km、標高 : 246m(家督山)、人口 : 2523人
 島前の中でも東側に位置する中ノ島近海は、対馬海流の影響を受けて魚が多く、透明度も高い。
 ダイビングや海中展望船などで楽しめる。
 また、島では野菜や米も豊富に作られ、素朴な島の味が楽しめるのも特徴の一つとのことだ。                 * 
 先ず神社に隣接している後鳥羽上皇御火葬塚へ行く。

Img_2243 Img_2249後鳥羽上皇行在所跡の脇、土地のやや低くなった
 ところが火葬塚で、石造鳥居の後ろに土塀で囲ま
 れている。
 延応元年(1239)2月22日、この地で没した後鳥
 羽上皇を、里人が集まって火葬したところといい、
 今も村人の間では御陵並みに扱われている。
 なお、遺骨は京都大原の大原陵に納められている。
 近くに刈田の池と上皇歌碑があり、
 『蛙鳴く 刈田の池の 夕だたみ 聞かましもの
  は松風の音』の歌が刻まれている。        
        *
Img_2248 Img_2246次いで隠岐神社へ。
 隠岐神社は、昭和14年(1939)後鳥羽上皇没後700
 年を記念し、後鳥羽上皇を祭神として造営された。
 本殿は、切妻造・妻入り・銅板葺き・中央に片流れ
 の向拝をつけた、いわゆる隠岐造りの建物。
 56,000�の境内には、その他祝詞舎・拝殿・神饌所
・祭器庫・宝物館・神門回廊・社務所などがあり、神
 社の桜並木は、島内一の桜の名所となっているとの
 ことだ。

        *
 この後、後鳥羽院資料館の見学があって、休憩所で一休みして慌ただしく菱浦港へ戻る。
 ここで待ち受けていたのは、今晩のホテル鶴丸の専用船で、次の目的地知夫里島へ向かう。
 約20分ほどの航海だったが、風が強く30人乗りの小型ボートなので,波飛沫がかかり結構揺れる。
 来居港に着くと、ここでも観光バスが待機していて、早速赤ハゲ山へ向かう。
 車内ではビデオによる知夫村の観光案内が上映される。
       *
知夫里島 面積 : 13.68?、周囲 : 50.8km、標高 : 325m(アカハゲ山)、人口 : 632人
 島前3島のなかで南に位置する島。島前随一の展望地であるアカハゲ山展望台や、高さ200mにおよぶ赤壁など、ダイナミックな景観は知夫里島な
 らでは。
 また、牛が海を泳いで島を渡る『海の牛渡し』など、ユニークな行事が人気を集めている。
       *
 海岸から山道に差し掛かると、放牧中の牛が目に付くようになり,道の両側には[野ダイコンの花]などが彩りを添えてくれる。
 山頂近くでは道路上に多くの牛が餌を漁っており、バスが来ると仕方なく移動するという如何にものんびりとした雰囲気が笑いを誘う。
 山頂駐車場でバスを降りると、強烈な風が吹き通っている。遮るものが無い360度の展望なので、風に翻弄されるがままの状態なのだ。野ダイコン
 の花もその風に吹きちぎられそうだ。それをカメラに収めるのも容易ではない。

Img_2250 Img_2254赤ハゲ山は、知夫赤壁のすぐ東にある島内の最高
 峰である。ほとんど木はなく、山頂展望台からは、
 無料の望遠鏡で島前・島後の島々はもちろん、遠
 く大山・島根半島から三瓶山まで360度の大パノ
 ラマが楽しめる。水平線の彼方から昇る朝日、沈
 む夕日の眺めは、隠岐ならではの景観である。
 この山では牧畑が行われており、のんびり草をは
 む牛や馬の姿が見える。また、5月頃には薄紫の
 野ダイコンの花、夏は野アザミが山を覆う。
 山腹から、知夫赤壁の景観の一部を望むことがで
 きる。【観光パンフより】
Img_2252 Img_2253あまりの強い風に長い時間展望を楽しむことがで
 きず、皆さんも早めにバスの中へ戻る。
 再び牛を避けながら山を下り、次の目的地赤壁へ。







       * 
 駐車場からは緩い登り坂を10分ほど歩くと、目の前に壮絶な赤壁が立ち塞がるように聳えているのが目に入る。とても1枚の写真には入らない
 ので、2枚に分けて写すほどだった。

Img_2261_2 Img_2259_2この赤壁は西海岸、北は帯ヶ崎から南は立ヶ崎に至る延長約1km、高さ50
 ~200mに及ぶ粗面安山岩質玄武岩の断層崖である。
 崖下には隆起によってできた二段の波食海壇があり、壇面には美しい波食
 甌穴や、男池・女池と呼ばれる波食溝がある。
 断層崖は、黒の玄武岩、赤・黄の凝灰岩、白の粗面岩・粗面安山岩、黒あ
 るいは褐色の玄武岩の岩脈が縦横無尽に入り混じって美しいコントラスト
 を示し、この景観にブルーの海の色が映えて見事である。
       *
 断層崖は、黒の玄武岩、赤・黄の凝灰岩、白の粗面岩・粗面安山岩、黒あ
 るいは褐色の玄武岩の岩脈が縦横無尽に入り混じって美しいコントラスト
 を示し、この景観にブルーの海の色が映えて見事である。
       *
 ことに夕景に映える凝灰岩層の赤は圧巻で、国の名勝・天然記念物に指定
 されている。
       *
 圧倒的な迫力の赤壁を充分に堪能して今日の観光を終える。
Img_2264 この赤壁へ行く道の両側には草花が多く見られたが、中でも花が大きいという[隠岐アザミ]が咲き始めたばか
 りの姿を見せてくれていたのが印象的だった。
       *
 バスで来居港へ戻り、ホテルの船で西ノ島・美田にある『隠岐シーサイドホテル鶴丸』 へ。
 空は雲に覆われ、どうやら明日の天候が危ぶまれるようになった。
 そのため、明日の早朝に予定していた『國賀めぐり遊覧船』は、残念ながら中止となってしまった。
 船着場からホテルのフロントに入るようになっており、部屋も前面に海が眺められるという絶好のロケーション。
        *
Img_2268 Img_2266お楽しみの夕食は『西ノ島ブランドの岩ガキ』、
 小生は生で、妻はバター焼きを注文。
 それに赤ズワイガニが付くという豪華版、お腹の
 収容限度オーバーの食事となった。




 

      *
島 前
 島後の南西にある西ノ島、中ノ島、知夫里島などを総称して島前と呼ぶ。
 それぞれ西ノ島町、海士町、知夫村の一島一町村。
 隠岐諸島は全体が火山島です。島前はかって西ノ島の焼火山を中心とした一つの島でした。何回もの火山活動を繰り返し、海に沈んだり、海上に
 現われたりしました。
 そのうちに溶岩を噴出し、カルデラが形成され、そこに海水が流れ込み、島前の広大な湾が誕生しました。
 島の西から北側にかけては、激しい季節風による波に削られた断崖や洞窟が連なります。
 西ノ島の隠岐國賀海岸、知夫里島の赤壁、中ノ島の明屋海岸など雄大な自然・海岸美は見る人に感動を与えます。
 隠岐の歴史は古く、『古事記』『日本書紀』に、伊耶那岐命、伊耶那美命が4番目にお産みになった土地で「隠岐の三子洲」と書かれています。
 後鳥羽上皇の行在所跡や後醍醐天皇の黒木御所跡など旧跡も多数残されており、悠久の歴史に思いを馳せることもできます。                                                      【西ノ島町観光パンフレットより】
       *
 8時00分 ホテル発(バス)→ 8時50分 乳房杉 9時10分 → 9時40分 白島展望台 10時05分 → 10時20分 しゃくなげ園 10時50分 → 10時55分
 水若酢神社 11時05分 … 11時10分 昼食 11時35分 → 11時55分 西郷港 12時05分(フェリーおき)→ 13時15分 菱浦港 13時20分(バス)→
  13時30分 後鳥羽上皇火葬塚・隠岐神社 14時20分 → 14時30分 菱浦港(ホテル専用船)→ 14時50分 来居港 (バス)→ 赤ハゲ山・赤壁 →
 16時20分 来居港(ホテル専用船)→ 16時50分 隠岐シーサイドホテル 鶴丸 泊

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隠岐・島後

2011-05-08 00:00:00 | 旅行記
 『大自然を満喫 ! 「隠岐の島」全4島めぐり 3日間』というクラブツーリズムのツアーに参加しました。     
       *
Img_2165Img_2166 第1日は羽田から伊丹経由で隠岐空港へ飛び、い
 わゆる『島後(どうご)』に泊りました。
 伊丹からのフライトは『Q-400』という中型の双
 発プロペラ機で、途中雪の残る[伯耆大山]を見
 ることが出来ました。





      *
隠 岐
 隠岐島とは,島根半島の北東約40~80kmの日本海上に浮かぶ,180余りの無人の小島を含む群島の総称です。遥か沖合の竹島を別にすれば、隠岐
 は主に知夫里島、西ノ島、中ノ島の島前(とうぜん)と島後に分けられます。
 群島のほとんどの海岸部が、大山隠岐国立公園に属し、ことに國賀海岸や知夫赤壁を始めとする豪壮雄大な断崖は、わが国第一級の規模を持つ雄
 大な景観です。
 自然景観の雄大さに加えて、流人の島隠岐には、後鳥羽上皇、後醍醐天皇をはじめ,流人たちの多くの史跡が残されています。
 また風俗、郷土芸能にも注目すべきものが多く、現在では山陰地方の代表的な観光地となっています。
                                             【郷土資料事典】より 
       *
 隠岐空港に着くと,待ち受けていたバスで今日の宿『ホテルニューかじたに』に向かいました。
 ここで荷物を置き,早速オプショナルツアーに参加しました。
       *
Img_2170 Img_2173最初に向かったのは隠岐の総社『玉若酢命神社』。
 境内に入ると、目立つのは本殿左手にある、樹齢
 約2000年といわれる『八百杉』です。
 県下一を誇る杉の巨木で、若狭国の八百比丘尼が
 全国行脚の途中,隠岐に立寄って植えたという伝
 説が残されているとか。
 樹高30m、幹囲9mで国の文化財に指定されている。




Img_2174玉若酢命神社   
 隠岐国の総社で、『延喜式』にも記載された古社。木立の中にたたずむ本殿(重要文化財)は、春日造と大社造を合
 わせた隠岐造とよばれる独特の様式だ。現在のものは1793年(寛政5)建築。
 また、茅葺きのどっしりした随神門[ずいしんもん](重要文化財)がある。

Img_2178 玉若酢神社に隣接して,茅葺き屋根が特徴の『億岐家宝物殿』が
 ある国の重要文化財に指定され,億岐家の三宝物〈駅鈴〉〈唐櫃〉〈億
 岐倉印〉が展示されており、また、小泉八雲や玉若酢命神社祭礼(御霊会風流)に関する資料なども展示されている。






       *
Img_2176 神社入口の歩道には「隠岐は水木サンのルーツです」と書かれた水木しげるさんのサインと氏の代表的なお化け
 の彫刻『琵琶ぼくぼく』がありました。
 これは『水木しげるロード延長プロジェクト』~妖怪たちが海を渡る~として、隠岐は水木しげる先生のルーツ
 とされており、鳥取県境港の『水木しげるロード』の延長企画として隠岐にも妖怪ブロンズ像や巨大画が次々に
 完成しているという。
 境港と隠岐を結ぶ鬼太郎フェリーも大人気とか。
 昨年の朝の連続ドラマ『ゲゲゲの女房』のブームの影響がここでも見られるとは思いませんでした。 
 この後も何カ所かにお化け彫刻が出てきます……。
       *
 次いで『隠岐国分寺・後醍醐天皇行在所跡』へ。
       *
Img_2180 Img_2179聖武天皇の詔により建立された隠岐第一の寺跡で、
 建武中興の英主第96代後醍醐天皇の行在所跡とさ
 れています。境内には、明治2年の廃仏毀釈騒動
 の際に破壊された石仏群があり、悲しい歴史を物
 語っています。
 また今年の4月に再建された『隠岐国分寺蓮華会
 舞演舞場』で、隠岐国分寺と蓮華会舞の歴史・由
 縁に係る展示資料ついての説明がありました。
 さらに蓮華会舞についてのビデオの上映があり、
 これは宮廷舞楽の流れを汲む古典芸能で、日本の
 宗教芸能の原型とともいわれ、国の重要文化財に
                      指定されているとのことでした。
                      *
Img_2181 Img_2184この境内の参道には[町の花・隠岐しゃくなげ]が見られました。
 オキシャクナゲは、ツツジ科に属するホンシャクナゲの品種で、
 葉が小さく可憐な薄いピンクの花を咲かせる固有種の花木です。
 隠岐の花の女王と呼ばれ、本格的な春の到来を告げる花として
 島民に親しまれているとのことでした。
       *
 ここでもお化け『五体面』が……。



       *
 今日の観光の最後は、島後の北東部にある『ローソク島』見物のため、福浦岸壁に向かいました。
       *
Img_2198 Img_2185ここで待ち受けていた遊覧船に乗り、尾白鼻沖に
 あるローソク島を目指します。
 幸いにも今日は1.5mほどの波高なので、揺れも比
 較的に小さいようでした。 
 船にはベテランの船長さんと若いパイロットの組
 み合わせで、船長さんの巧みなリードで船が進み
 ます。
 船長さんの説明によれば、港から外洋へ出る付近
 の松林が、黄砂と共に飛来した松食い虫による立
 枯れが目立ち、酷い状態になっていました。
     *
 その後は奇岩・岩礁の連続する美しい海岸線を眺めながら、日没の時刻に合わせてローソク島を目指します。
 ローソク島は、高さ20mのローソクのような形をした奇岩で、夕日が先端に重なると、まるでローソクに火を灯したように見えることから名付け
 られたとのことです。
       *
Img_219320110508181228 やがて島に近づくと、船長さんがベストショット
 の撮影ポイントをアドバイスしてくれます。
 我々は船室の両側に座っているので,どちらにも
 ベストの位置になるように、何回となくパイロッ
 トに指示を出して,ローソク島の右に左にと船を
 移動させて、皆さんの満足いくまで写真を撮らせ
 てくれました。
       *
 この自然が創り出す芸術は、息をのむほどドラマ
 チックで感動的なものでした。

 太陽が沈みかける頃になって船は港へと戻りました。このような夕日を追っての体験は初めてのことでしたが、充足感に満ちた時を過すことがで
 きました。
       *
Img_2196 Img_21997時を過ぎてホテルへ戻り、夕食。今日の目玉は
 鯛しゃぶ。
 あの夕景が頭に残り、興奮冷めやらぬうちに食べ
 終えた感じでした。
 この後、語り部民謡があり、地元の唄や踊りなど
 が上演されました。




        *
島 後 面積 : 241.58㎢、周囲 : 211.0km、標高 : 608m(大満寺山)、人口 : 15,696人
 島後は、隠岐諸島最大の面積と人口を有する島。島の玄関口、西郷地区は、隠岐経済の中心地。
 島内には数々の史跡が残り、780年の伝統を持つ『牛突き』は、隠岐の代名詞的な存在です。
 また、山々には海流の影響を受けて形成された、本土とは異なる植生も見られ、近年、山歩きを楽しむ人たちからの人気も高まってきていると
 か。
         *
 12時30分 羽田空港(JL117)→ 13時35分 伊丹空港 14時10分(JN2335)→ 15時05分(バス)→ 15時35分 ホテル 16時00分(バス)→
 16時15分 玉若酢命神社 16時45分 → 16時50分 国分寺跡 17時15分 → 17時40分 ローソク島遊覧(船)18時40分 → 19時10分
 ホテル・ニューかじたに 泊
              Img_2240


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星野のクマガイソウ

2011-05-01 00:00:00 | 旅行記
Img_2121 『知られざる栃木の花里・星野のクマガイソウと花之江の郷』という【テーマのある旅】のクラブ
 ツーリズムのツアーに参加しました。
 生憎と雨という天気予報だったのですが,東北道の佐野インター付近から雨も上がり、現地では薄
 日も洩れるようになり、汗も流れるようなお花見日和となりました。
 ここ星野は、一昨年の2月に鳥仲間のM氏の案内で[節分草]を見に行った所ですが、今日の[ク
 マガイソウ]は、その場所より手前にある農家の裏山に案内されました。
 案内人はこちらで『536(ごさろ)』という手打ちそばを営むご主人で、山野草に詳しい方でした
 その周囲には[ヤマブキ]や[ニリンソウ]等が咲き乱れ,また[スミレ][ヤマルリソウ]など
 が目に付き,なかなか目的の場所へ進めない状態でした。
       *
Img_2109Img_2111Img_2113

       *
Img_2114 Img_2117目的の[クマガイソウ]の開花情報では、まだ咲
 いていないとのことで車内ではガッカリしていま
 したが、現場に着くと何の何の斜面に群生してお
 り大分咲き揃っていました。 
 狭い山道なので、後から行った我々は中々そこへ
 行けずにイライラするほどでした。




       *    
Img_2120Img_2127_2  ようやく目の前に見られる場所に着くと、あの膨
 らみを持った異様な形の花が目の前一杯に広がっ
 ており、あちらこちらと夢中でカメラに撮りまく
 りました。
 ここは2カ所に別れて自生しており,斜面にある
 ので観賞するにはもってこいの場所でした。  





       *
 その他[ウラシマソウ]や[ヤブレガサ]などを見て、田圃の中を歩いて行くと、あの[節分草]の自生地の前を通ったので、2年前のことを思
い出すことができました。
       *
Img_2126Img_2128Img_2135
       *
Img_2137 Img_2149昼食は案内人であるご主人の店で、野菜の天ぷら付
 きの手打ちの二八そばでした。
 その店へ行く途中には、一本の八重桜が今や盛りと
 見事な彩りを添えていました。         





         *
Img_2148Img_2147Img_2146

 この店の庭には、ご主人の育てている山野草が花盛りを迎えていました。
 [オオバナノエンレイソウ][ムラサキヒイラギソウ][シロバナヤマブキ]などなど……。
       *
Img_2140Img_2142Img_2145
       *
花之江の郷
 午後は都賀町大柿にある『花之江の郷』へ。
 自然の景観の中に800種余りの花が,四季折々に風情豊かに繁茂する山野草を中心とした植物園。
 〈自然が主役・人間は脇役〉そんな植物たちの環境を整え,自然の風情を大切に、というテーマで運営されています。
 園内の広さは約16,000坪で、山、郷、野原、湿地の四つのテーマに分かれており、案内人の説明を受けながら散策しました。
 ここはちょうど関東平野のどん詰まりで、この植物園を境にして日光山塊が始まるという地形になっています。園内の散策路には番号が付けられ
 てあり、凡そ1時間で回ることができます。
 [タンチョウソウ][サクラソウ][ヤエオダマキ][イカリソウ][チョウジソウ]が撮れていました。
 番外として[ウスバシロチョウ]が見られた(初見)のもラッキーでした。
      *
 Img_2152Img_2143Img_2154
       *
Img_2157Img_2161Img_2164
         *
Img_2158 Img_2159山野草の総てを画像に収めることができませんで
 したが、ここでも[クマガイソウ]が目玉となり
 ました。
 かくして、目的の[クマガイソウ]を充分に堪能
 することができた一日となりました。 





         *
 8時40分 上野駅公園口(バス)→ 9時50分 佐野S.A. 10時05分 → 10時20分 星野 … クマガイソウ自生地 … 11時45分 昼食(536)12時45分
  → 13時10分 花之江の郷 … 園内散策 … 15時30分 → 17時00分 川口P.A. → 17時40分上野駅山下口


Map




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