平成25年11月6日()
今年は松茸の大豊作と聞いていたので、何とかその恩恵に預かりたいと思っていたが、なかなか思い切れず、時期外れとなった11月になってようやく行くことになった。
新宿8時発の『スーバー特急あずさ』の指定席は満席、この時期の旅行者も多いようだ。 絶好の秋晴れだったが、期待していた白峰三山は雲の中、それでも鳳凰三山と甲斐駒ヶ岳、
鋸岳などの眺望を楽しむ。
毎度のことながら、中央線沿線はこの山々の眺めが楽しみなのだ。
下諏訪を過ぎると車内は空席が目立つようになり、塩尻からは北アルブスが見えてくる。
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松本に着き、観光案内所で松本城付近の観光地とそば処の案内を受けて【周遊バス・北コース】に乗るパスは観光客でほぼ満席。
本町通りで降りて、『四柱神社』(天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、天照大神を祭神とし、4柱の神を祀ることから四柱神社という。
願いごと結びの神として全国各地から信仰が篤い)の参道として発達してきたという『縄手通り』へ。
北風が強く、紅葉したハナミズキの街路樹の葉が舞い落ちる。ただ日差しが暖かいので歩くのにはちょうど良い。
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松本駅前 女鳥羽川に架かる千歳橋
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縄手通り
松本城の南船堀と女鳥羽川に挟まれて「縄のように細長い土手」というところから由来した名の通り。
城下の風景を再現したような各店舗は玩具、骨董、駄菓子などがあり、見ているだけでも楽しい歩行者天国通りです。
【松本コンベンション協会・街歩きマップ】より
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女鳥羽川に架かる『一つ橋』を渡り『中町通り』へ。
中町通り
白壁となまこ壁の土蔵が立ち並ぶ、時代を遡ったかのような古き松本の風景が広がる蔵の町通り。
江戸末期や明治に、この一帯が大火に見舞われ、主要な施設や町屋が多数失われました。再三にわたる火災から守るため、商人達の知恵で[なまこ壁の土蔵]が造られ今に引き継がれています。
蔵シック館は中町の拠点。個性的な店が立ち並んでいます。【街歩きマップ】より
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* ここでお昼時となり、案内所で紹介された中町通にあるそば処『まつした』へ。
お店の方のお勧めは、ご当地名物の『とうじそば』鶏肉ベースと鴨ベースのニ種類の中から前者を選ぶことにする。
とうじそば
寒い時期でもおいしく食べようと考えられたのが「投汁(とうじ)そば」。
小盛りしたおそばをとうじかごに入れ、季節の野菜やきのこたっぷりのつゆ(鍋)に浸し、さっと湯がいて食べる。
つゆの旨味とそばの香りが食欲をそそる野麦峠の里に古くから伝わる伝統の味です。
そばをつゆに浸すことを湯じといい、これが語源と言われておりますが、奈川では「投げる汁」と書いてとうじと読んでいます。
【ながわ観光協会】
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* 具沢山の大きな鍋にとうじ篭に入れたそばを温めて器に入れ、その上に鍋からきのこや山菜、
豆腐や鶏肉などと汁を入れて食べる。
出汁の効いたつゆの味と新そばの香りが微妙にからんで大変美味しい。
出された時には量が多く、ニ人では食べきれないのではと思っていたが、これは初めての味,
何の何の忽ち平らげてしまった。
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デザートとして出されたのは『そば湯』を固めたものと、案内所から紹介されたことのお礼と言う意味で『そばがき』が出されました。
前者はあっさりとした味、後者はまったりとした甘味のあるタレの、これも初めての味で美味しく食べることができた。
* 大満足の昼食の後は、松本城へと向かう。
かって北アルブス山行の帰りに、松本からの列車の待ち合わせ時間を利用して松本城まで行ったことがあったが、城内を見学する時間がなかったので、
今回改めて行くことにした。
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松本城天守・渡櫓・乾小天守は、秀吉の家臣であった石川数正・家長親子により戦国時代末期 1593~94年にかけての築城と考えられている。
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澄み切った青空をバックにした姿は、優れた築城技術を一段と魅力的に見せてくれている。
遠くに目をやると、北アルプスの山並が望め、その中でも松本のシンボルでもある常念岳の突兀した姿が見えている。
本丸に入る正門、黒門を潜り享保12年に焼失したという本丸御殿跡に出ると、横に展開した城の全貌が眺められる。
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右手は乾小天守でその手前にある渡櫓が天守への入口になっている。
天守閣は外からは五重に見えますが、内部は六階になっていて、四階からは狭い急な階段を昇ってようやく最上階に出ることができます。
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これは城が最初に建てられたころのもので、400年以上経っているとのことでした。
右の画像には城を守るための石落と鉄砲狭間、矢狭間が見られます。
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城内の見学を終え外に出ると、上空にノスリがニ羽、悠然と飛翔しているのに気が付いた。
本丸御殿跡の脇で行われている観賞菊大会の入選作などを見ながら城を後にする。
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ここから長野自動車道経由の高速バスに乗り、今日の宿『穴沢温泉』へ向かう。
松本 I.C.から長野自動道に入ると、車窓左手松本平の先に北アルブスの山並が見えてくる。
ここから10分ほどは、その景観を楽しむことができる贅沢な時間だ。
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バスは20分余りで『長野道・四賀』に到着。ここで宿の迎えの車に乗る。
運転手さんは、迎えにくる途中で採ったという『クリタケ』を見せてくれる。
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長閑な田園風景から山道に入り、10分ほどで穴沢温泉、その名も『松茸山荘・別館』に到着する。
チェックインの後、夕食までの時間宿の周囲を散歩する。赤松林に囲まれており展望は余り効かない。
なるほど、この赤松林が松茸の産地になっているのだ。所々に林内に入らないように張り紙がしてあることでも分かる。
本館に立寄ってみると、玄関に微笑ましい歓迎の看板が出ている。こちらでは囲炉裏を囲んで食事ができるようになっている。
何れにしても松茸シーズンの予約が難しいとのことだ。
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松本市の北奥座敷・四賀の里にある信州穴沢温泉は、旧善光寺街道の要所にあって、古来から湯治に利用されている硫黄冷鉱泉と、近年掘削した地下1230mから
「松茸山荘本館」と姉妹館の「松茸山荘別館美人の湯東山館」の2軒の宿があり、いずれも季節には地物松茸料理が味わえる。
宿泊者は双方の入浴が可能で、2軒とも日帰り入浴も受け付けている。
名 称 : 信州穴沢温泉(しんしゅうあなざわおんせん)
所在地 : 長野県 松本市 穴沢 756
泉 質: 単純硫黄冷鉱泉(本館)、ナトリウム-炭酸水素塩泉(別館)
効 能: 神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、五十肩、慢性消化器病、打ち身、皮ふ病、切り傷、やけど、痔疾、美肌など
源泉数: 2
泉 温: 11~23℃ 【松茸山荘資料より】
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夕刻になり気温も低くなってきたので部屋に戻り、展望風呂で冷えた身体を温め、期待の松茸料理を楽しむことにする。
食事処の部屋へ行く途中から、あの松茸独特の良い香りが匂ってきました。
今日の松茸会席は『福寿草』コースで、十二の料理のうち七つの松茸料理があるという。
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松茸の香りがお酒の味を一段と引き立てている。
吸物の『松茸の土瓶蒸し』と、台の物『松茸入り海鮮鍋』(松茸、鱧、蟹、海老、帆立、鶏つみれ、野菜いろいろ)に火が入る。
それが温まる間に生ビールで喉を潤し、出されている物をゆっくりと味わう。
先附(蕎麦米胡麻豆腐、蒸海老、キャビア、ラディッシュ、山葵、美味だし汁)や
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温めていた土瓶蒸しや海鮮鍋も出来上がり、食べるのに忙しくなる。
この頃になると、食事処は松茸の香りに満ちて噎せ返えるようだ。
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ここでは採れたての松茸特有の香を放つ新鮮な松茸を、独自の方法で急速冷凍する。それも厳選された松茸でないと香までは閉じ込められないという。
なるほど食べてみると香りが強く、甘味も増しているようだ。ただし、採れ立てのようなシャキシャキとした食感が若干欠けるのは致し方ないようだ。
この山荘は公共の宿なので、市が保有する山の松茸採取権を持ち、一部を管理できることから良質の松茸を低コストで確保できるので、年間を通してお客様に提供
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この辺りでビールのお代わりに、ご当地のワイン(白)を飲むことにする。
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蒸し焼きの松茸は、塩を付けて食べる。もう何おかいわんや、すっかり松茸の香りに満喫している。
最後の釜飯は一人前は食べきれず、2人で半分づつ食べて、残りは係の人に頼んで握り飯として持ち帰ることにする。
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水菓子は(松茸のアイスクリーム)、細かく刻んだ松茸が入ったアイスクリーム。
もう体中に松茸の香りが滲み込んでしまったようだ。
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8.00.新宿(スーパーあずさ 5号)→ 10.38.松本 11.00.(周遊バス・北コース)→ 11.10.本町通り… 縄手通り … 中町通り …
昼食(まつした)… 松本城 … 13.40.本町通り(周遊バス・北コース)→ 14.00. 松本バスターミナル 14.30.
(長野道高速バス)→ 14.52.長野道 四賀 15.00.(山荘バス)→ 15.10.松茸山荘・東山館着