nemo 折々の自然

折に触れて観察した自然などの記録

庄内紀行 2

2018-04-30 21:24:32 | 旅行記
平成30年4月23日(月
 
 日の出や朝焼けの鳥海山を見るために5時に起床しましたが、雲が多くどちらも見ることができませんでした。
 日本海は波静か、カモメなどの海鳥は見られず、イソヒヨドリの♂が美声を響かせていました。
 画像左は新潟方面、右は秋田方面です。
 
   

 朝食は一階のレストランで『和食膳』を頂きました。
 テーブルに用意された棚にお菜が何品か入れてあり、食事が始まる前に取り出してお盆に並べるという初めての経験でした。
 烏賊の刺身、鱒の塩焼き、納豆に手作り豆腐などに、旅館お勧めのクラシック音楽を聞かせながら育てたという鶏の卵を美味しく頂きました。

  

 今日はこの旅のハイライト『加茂水族館』へ行くために、前日に開館前に到着するようにタクシーを予約してあったので、早めに支度して玄関へ。
 左の画像は泊まった部屋の様子、右は正面玄関前からの画像です。

  

 車は開館時間前に到着しましたが、早くも入口に数十人の方が並んで待っていました。
 我々は旅館で入場券を用意していたので、優先的に入場することができました。

         
加茂水族館
 クラゲの美しさに魅せられて、進化を続ける加茂水族館。
 常時50種以上ものクラゲを展示 し、その生態や魅力を伝えます。
 展示室中ほどの「クラゲ解説コーナー」では、様々な成長段階のクラゲを観察。また、クラゲの餌やその食べ方についての解説も行っています。 
 クラゲのなぜ、なに?を間近に見ながら学び、探求することができます。クラゲが創りだす特別なひと時をお楽しみください。 
 その中でも一番、魅力的なコーナーは「クラゲドリームシアター」です。
 直径5mの世界最大級の水槽の中で、ゆらゆら搖れるミズクラゲが。心を癒し大きな感動を与えてくれます。  【加茂水族館H.P.】 
     *
 入場すると、荷物をロッカーに預け、『淡水魚コーナー』や『海水魚コーナー』はカットして、『クラゲコーナー』を
 じっくりと観察することにしました。各種類のクラゲの解説は、場内の解説板によるものです。 
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 最初に見たのはパラオ共和国 メタルカル島クリアレイクにいる『タコクラゲ属の一種』、外海に生息するタコクラゲと共通の祖先が
 海水湖形成された一万年前に誤り残され、独自の進化を始めたと考えられる。毒の強さ : 弱。
 次は同じくパラオ共和国 外洋にいる『タコクラゲ』、水玉模様の傘が特徴的。傘の下に餌を取り込む口腕があり、先に8本の付属器がついている。
 毒の強さ : 弱。 
  
 
 次は同じくパラオ共和国 オンケール島の海水湖にいる『ミズクラゲ属の一種』、海水湖産のミズクラゲは外海のものものよりも傘が反り返る。
 熱帯に生息するミズクラゲ属は日本産のものより傘の周りの切れ込みが多く、肉厚も薄い。毒の強さ : 弱
 次もパラオ共和国 外海にいる『ミズクラゲ属の一種』、閉鎖的な海水湖産と外海のミズクラゲでは、傘のそり具合が違っている。 
 外海のミズクラゲは海水湖産のものより反り具合は少なく、口腕がとても長い。毒の強さ : 弱
 
   
 
 『プロカミアジェリー』、傘が50cmなもなる大型のクラゲで、1mの種類も確認されている。
 日本のアカクラゲと見た目は似ているが、赤い縞模様はこちらの方が赤々しく見える。
  分布 : 南大西洋、東部南太平洋、毒の強さ : 強。
 『カブトクラゲ属の一種』、姉妹園舘の『かごしま水族館』からいただいた、まだ図鑑にも載っていない珍しい種類で、和名も決まっていない。
 他のカブトクラゲと違い、体に赤い模様があることが特徴である。
 
  
 
 『ウリクラゲ』、自分の体の倍はあるカブトクラゲを大きな口を開けて一飲みにして、パンパンに膨らむ。
  山形県での出現時期 : 春〜秋、毒の強さ : 無毒。
 『シンカイウリクラゲ』、深海調査などで見られるクラゲで、庄内浜には春に表層で見られる。
  山形県での出現時期 : 早春〜春、毒の強さ : 無毒。
 
     
 
 『トガリテマリクラゲ』二本の紅色の触手が特徴的。有節動物には刺胞が無いので触手に触れても刺されることはない。
  分布 : 北海道以北、毒の強さ : 無毒。
 『キタカブトクラゲ』水深1000mからも報告されている。櫛板列が口の所までしかないなどで、カブトクラゲと見分けることができる。
  山形での出現時期 : 早春〜春、毒の強さ : 無毒。
 
  
 
 『カブトクラゲ』当館で繁殖したカブトクラゲ。生まれたばかりの頃は触手があるが、成長とともになくなっていく。
  触手がある時期はフウセンクラゲ型幼生と呼ぶ。現在、累代飼育を目指して繁殖に取り組んでいる。
 『カブトクラゲ』体側には、有櫛動物特有の8列の櫛板列があり、光を反射して綺麗に光る。
  山形県での出現時期 : 初夏〜秋、毒の強さ : 無毒。
 
  
 
 『ユウレイクラゲ』クラゲを食べるクラゲで、自分と同じ大きさのクラゲを与えても半日ほどで消化する。
  山形での出現時期 : 夏〜冬、毒の強さ :強。
 『オワンクラゲ(ヴィクトリア)発光展示中 分布 : 欧米、毒の強さ : 弱
  2008年に下村脩教授がノーベル化学賞を受賞して話題になったクラゲ。傘の縁に緑色螢光タンパク質(GFP)があり、U Vライトを
  当てると緑色に発光する。画像右端
  日本のオワンクラゲとは別物で、下村教授が研究で使用したのはこのクラゲ。成長速度も違っていて、ヴィクトリアの方がどんどん成長する。
 
      
 
 『コティロリーザツベルクラータ』ベルリン水族館の生物交換でいただいたものを展示している。
  成長すると口腕の先が青紫に色づく。
  分布 : 地中海、毒の強さ : 弱。
 『ブルージェリー』ユウレイクラブ科の仲間で青みがかっている。
  クラゲをたべるクラゲで、ミズクラゲを餌として与えている。
  分布 : 欧州沿岸、毒の強さ : 強 
 
  
 
 『アマガサクラゲ』かごしま水族館と同時公開、世界初展示。姉妹園館の「かごしま水族館」からポリプをいただき、繁殖させた。
  100m以深で普通に見られるが、浅いところでは稀で、生態は謎が多い。
  分布 : 駿河湾、富山湾、五島列島周辺、毒の強さ : 強。    
 『ラビアータ』日本産のミズクラゲと比べ、傘の裏側(口腕)の中央が王冠のように発達する。
  分布 : アメリカ東部、ヨーロッパ西海岸、 毒の強さ : 強。
 
  
 
 『キタミズクラゲ』庄内での出現記録は、1979年に遊佐町の地引き網に入網したのみ。成長すると傘の緑が茶色に染まる。
  分布 : 能登半島以北日本海、福島以北太平洋、毒の強さ : 中。
      *
 ここまでで『クラゲの給餌解説』が始まる時間となり、『クラゲ解説コーナー』へ行きました。
 
   
 
クラゲ解説コーナー
  クラゲの餌の食べ方や、食べているもの、クラゲに目や口、心臓や脳はあるのか……
  そんなクラゲの不思議を解説するコーナーで、既に多くの方が集まっていました。
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  初めに『ミズクラゲの生活環』ということで、卵から成体になる過程を図で示し「プリヌラ」(自分で移動し、着床する場所を探す)、
  「ポリプ」(根・ストロンを伸ばして自分と同じポリプを増やす)、「ストロビラ」(くびれが明瞭になり、エフィラが次第に形成される)、
  「エフィラ」(ストロビラから一枚づつ遊離する)のそれぞれの段階で実際に餌(ミジンコ)を与え、大きな画面に映しながら説明してくれました。

  

  最後にクラゲに触らせてくれるという実験もありました。