るるの日記

なんでも書きます

古事記 伊耶那岐命と伊耶那美命 淡路島と四国を生む

2020-11-22 19:22:14 | 日記
故(かれ)、反(かへ)り降りて、更に天の御柱を先の如く往き廻りき、是に伊耶那岐命、先に「あなにやしえ、をとめを」と言ひ、後に妹伊耶那美命「あなにやしえ、をとこを」と言ひき

如此(かく)言ひおへて、御合(みあひ)して生める子は

■淡道之穂之狭別(あはぢのほのさわけのしま)

■伊予之二名島(いよのふたなしま)を生みき。この島は身一つにして面(おもて)四つあり。面毎に名あり
※伊予国を愛比売(えひめ)といい
※讃岐国を飯依比古(いひよりひこ)といい、
※粟国を大宣都比売(おほげつひめ)といい、
※土佐国を建依別(タケヨリワケ)という


【両神は帰り、また天の御柱を巡られた。今度は伊耶那岐命の方から先に「何とまあ、美しい娘だろう」と唱え、その後で妹の伊耶那美命が「何とまあ、素晴らしい男性でしょう」と唱えた。

このように唱え終わって結婚され、生れた最初の子は
淡道之穂之狭別島(淡路島)

次に淡路島伊予之二島(四国)を生んだ。この島は身体が一つだが、顔は四つあり、それぞれの顔に名前がついていた
■伊予国を姉姫の意で
愛比売(えひめ
■讃岐国を食物の霊の依りつく意の飯依比古
■淡路国を穀物をつかさどるという意で大宣都比売といい
■土佐国を強健な霊の依りつくという意、建依別という】


★淡道之穂之狭別島
(あはぢのほのさわけのしま)
※阿波(徳島)に行く道にある島の義
※「別」は5~6世紀に朝廷が与えた高貴な姓
※国生みの最初にこの島をあげて重視したのは、地理上、交通上重要な位地にあることと、海産物を貢納していたこと等による
※兵庫県津名郡(淡路島)一宮町多賀には伊弉諾神宮ある

★伊予之二名島(いよのふたなのしま)
※四国のこと
※伊予を冠したのは、四国で最も重要な国であったから
※二名は各国それぞれ二つの名があるからか、男女の国が並んでいるからか?

★この島は身一つにして面四つ
島を人化している
人間も国土も根源的には動態、同質であるという思想

★伊予国を愛比売(えひめ)といい
愛媛県
※エ(兄)は年長の意。最初にうまれたので名づけた
※伊予郡松前町神埼
彦狭島命・愛比売女を祀る伊予神社がある

★讃岐国を飯依比古(いひよりひこ)
香川県
飯依(いひ)は米飯
依(より)は霊の依代
愛比売と男女一組をなす
丸亀市飯野町山根に飯依比古を祀る飯神社がある

★粟国を大宣都比売(おほげつひめ)
徳島県
粟は粟を産する国
げは食物、穀物をつかさどる女神
徳島市一宮町に大宣都比売命を祀る一宮神社がある

★土佐国を建依別(たけよりわけ)
高知県
建依別は強健な霊の依りつく男神
大宣都比売と男女一組をなす国
この神を祀る神社は県下に見当たらない




古事記 伊耶那岐命と伊耶那美命 神は占いで決めるのである

2020-11-22 18:27:00 | 日記
ここに二柱の神、議(はか)りて云(の)りたまはく、「今吾が生める子良からず。猶天つ神の御所(みもと)に白(まお)すべし」とのりたまひて、即ち共に参上(まいのぼ)りて天つ神の命(みこと)を請ひたまひき

ここに天つ神の命もちて、ふとまに卜相(うら)へて詔(の)りたまはく、「女(をみな)の、先に言へるに因(よ)りて良からず。また還り降りて改め言へ」とのりたまひき

【そこで二柱の神は相談され、「今私たちが生んだ子は、不具児でよろしくない。やはり天つ神のおられる所に参上してこのことを申し上げよう」とおっしゃって、すぐに一緒に高天原に参上し、天つ神の指示を仰がれた

そして天つ神のご命令で、鹿の肩の骨を焼いて裂け目の形で神意を知るという占いをした結果、天つ神は「女が先に唱えたのがよくないのだ。再び淤能碁呂島に還り降って、改めて唱え直しなさい」と仰られた】

★ふとまにに卜相(うら)へて
神意を判ずる卜占。鹿卜(らくぼく)であろう

フトは太で、尊貴・立派などね意を表す美称
マニは「神意のまにまに」の意味


古事記 伊耶那岐命と伊耶那美命 4 水蛭子

2020-11-22 17:26:09 | 日記
伊耶那岐命詔りたまはく、「然(しか)らば吾と汝と、是の天の御柱を生き廻りて逢ひて、みとのまぐはひ為(せ)む」とのりたまひき。加此期(かくちぎ)りて、乃ち「汝は右より廻り逢へり我は左より廻り逢ふ」と詔りたまひ、約(ちぎ)りをへて廻る時、伊耶那美命、先に「あなにやしえをとこを」と言ひ、後に伊耶那岐命、「あなにやしえをとめを」と言ひ、各(おのもおのも)言ひおえし後、其の妹に告げて曰りたまはく、「女人(をみな)先に言へるは良からず」とのりたまひき。然れどもくみどに興して、子の水蛭子(ひるこ)を生む。この子は葦船に入れて流し去(う)てき。次に淡島を生む。是も亦、子の例(かず)に入れざりき

【伊耶那岐命は「それならば、私とおまえと、この聖なる御柱を廻り出会って、聖なる結婚をしよう」と仰せになった

このようにお約束してから伊耶那岐命は「おまえは右から廻って会いなさい。私は左から廻って会おう」と仰せられて、約束をし終わって御柱廻りをした後に、伊耶那美命の方が先に「何とまあ、素晴らしい男性でしょう」と唱え、その後で伊耶那岐命が「何とまあ、美しい娘だろう」と唱え、おのおの唱え絵わった後、伊耶那岐命が、妹に向かって「女が男より左記に称えたのはよろしくない」と仰せられた

そうはいいながらも聖婚なる場所である八尋殿に御子を生むことを始めて、最初に生まれた子は水蛭子(ひるこ)という不具児であった。この子は葦の船に乗せて流して捨てた。次に淡島を生んだ。これも不完全な島なので、子の数には入れなかった】

★天の御柱を行き廻り
柱を廻るのは、神の依代の柱にこもる生成力に感応して、多産を与えられるという信仰儀礼

★みとのまぐはひ
ミは尊称
トは陰部
マグハヒは目を見合わすことから性行為

★右より廻り逢へ
女神は右廻り、男神は左足廻るとしたのは、右よりも左が尊しとする志操

★女人先に言へるは良からず
夫唱婦随の思想的

★水蛭子
伊邪那美命が先に唱えた結果がこうした不具児なので、葦を編んで作った船に入れて流して捨てた

古事記 伊耶那岐命と伊耶那美命 伊耶那岐命の誘導

2020-11-22 15:58:27 | 日記
ここに、伊耶那岐命詔りたまはく、「我が身は成り成りて、成り余れる処一処在る。故、この吾が身の成り余れる処を以ちて、汝が身の成り合はざる処に刺し塞ぎて、国土を生み成さむとおもふ。生むこといかに」とのりたまへば、伊耶那美命、「然善(しかよ)けむ」と答曰(こたへ)たまひき

【さらに伊耶那岐命が「私の身体は、だんだんに成り整ってきたが、できすぎた所が一ヶ所ある。だから、この私の身体の余分なところを、おまえの身体の足りないところに刺し入れふさいで、国を生もうと思う。生むことはどうだろうか」と仰せになると、伊耶那美命は「それは結構ですね」とお答えになった】


古事記 伊耶那岐命と伊耶那美命 3 まだ整わない伊耶那美の体

2020-11-22 14:50:47 | 日記
其の島に天降(あまも)り坐(ま)して、天の御柱を見立て、八尋殿(やひろどの)を見立てたまひき。是れに其の妹伊耶那美命に問ひて、曰(の)りたまはく、「汝が身は如何に成れる」とのりたまへば、答白(こた)へたまはく、「吾が身は成り成りて成り合はざる処一処在り」とこたへたまひき

【両神はその島にお降りになって、聖なる御柱をお見立てになり、また結婚のための広い宮殿もお見立てになった。そこで伊耶那岐命が妹の伊耶那美命に尋ねて、「おまえの身体はどのようにできてきたのか」と仰せになると、伊耶那美命は「私の身体はだんだんに整ってきましたが、まだ整わないところが一ヶ所あります」とお答えになった】

★天の御柱
神霊の依代の聖なる柱

★八尋殿(やひろどの
広い宮殿。両神の結婚が行われる所。八は多数を表す。尋は両手を広げた長さ