るるの日記

なんでも書きます

古事記・神の誓約(うけひ)という呪儀の尊厳 ・須佐之男命五神を生む

2020-11-27 15:26:31 | 日記
須佐之男命、天照大御神の左の御づらにまかせる八尺(やさか)の勾玉の五百津のみすまるの珠を乞ひ渡して、ぬなとももゆらに天の真名井に振り漱ぎて、さがにかみて、吹きうつる気吹の狭霧に成れる神の名は

正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命
(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)

天之菩卑能命
(あめのほひのみこと)

天津日子根命
(あまつひこねのみこと)

活津日子根命
(いくつひこねのみこと)

熊野久須毘命
(くまのくすびのみこと)

合わせて五柱


★前と同じ語句を反復しているのは、語り手が誓約(うけひ)の呪儀の尊厳を聞き手に共鳴させるための方法

★正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命
皇系の祖神
まさか→正しく勝った
あかつ→我は勝った
かちはやひ→敏速に勝った
おしほ→多く豊かに実った稲穂
みみ→尊称
稲穂の豊穣霊を身につけた神
この神の子

★天之菩卑能命
稲穂の新例

★天津日子根命
太陽の子の神

★活津日子根命
いく→生成発展
あまつに対して、いくつ

★熊野久須毘命
くまの→地名
くすび→奇霊(くしび)
※この神の出現は、後の出雲系神話の前提
※島根県八束郡八雲村にある熊野大社の祭神
※出雲大社の前身的な社



古事記 神の誓約 ・天照大御神・宗像三女神を生む

2020-11-27 15:07:32 | 日記
各(おのもおのも)【天の安河】(あめのやすのかわ)を中に置きて、うけふ時、天照大御神、まず須佐之男命のはける十拳剣(とつかつるぎ)を【乞ひ渡して】、【三段(みきだ)】に打ち折りて、【ぬなとももゆらに】【天の真名井】に振り漱きて、さがみにかみて、【吹きうつる気吹の狭霧に成れる神】の名は【多紀理毘売命(たきりびめのみこと)】亦の名は奥津島比売命(おきつしまひめのみこと)

【市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)】亦の名は狭依毘売命(さよりびめのみこと)

【多岐都比売命(たきつひめのみこと)】

★天の安河
※高天原にある聖なる川
※滋賀県・野洲川や奈良県の飛鳥川を模型とした説

★乞ひ渡して
先方から手渡す

★三段(みきだ)に
きだ→きざむ
三つの分断

★ぬなとももゆらに
※ぬなとも→玉の音も
※もゆらに→触れあって音をたてる様
※剣に玉の音は理解しがたい。天照大御神が身につけた玉の触れ合う音か

★天の真名井
高天原にある聖なる井(泉)
真名→ほめことば

★吹きうつる気吹の狭霧に成れる神
※吐き出した息によって生じた霧から神が現れた、という発想は、聖なる神々の御生をこうした呪的儀礼に求めた

★多紀理毘売命
(たきりびめのみこと)
別名・奥津島比売命
(おきつしまひめのみこと)
※霧にちなんだ女神
※沖つ島にまします女神
※宗像三女神の一つ
※福岡県宗像郡大島村沖ノ島にある宗像神社沖津宮の祭神

★市寸島比売命
(いちきしまひめのみこと)
別名・狭依毘比売命
(さよりびめのみこと)
※いちき→いつく、神の依りい憑く
※さより→さは接続語、よりは神の依りつく
※宗像三女神の一つ
※大島にある宗像神社沖津宮の祭神
※広島県厳島神社の祭神説あり

★多岐都比売命
(たきつひめのみこと)
※河海の早瀬にちなんだ女神
※たきつ→水の激流する
※宗像三女神の一つ
宗像郡玄海町田島にある宗像神社辺津宮の祭神

★宗像の三宮の所在地は北九州から、南朝鮮への要衝にあたり、三女神がその航海の守護神であった

■それぞれの神が天の安河を中にはさんで、誓約(うけい)をする時に、天照大御神はまず須佐之男命が帯びていた長剣をもらい受けて、それを三つに打ち折り、身につけた玉の音をゆらゆらとたてながら、折った剣を天の真名井の聖水で洗い清め、それを噛みに噛んで、吐き出した息より生じた霧から現れた神の名は
多紀理毘売命
別名、奥津島比売命

市寸島比売命
別名、狭依毘売命

多岐都比売命

である







古事記 天照大御神と須佐之男命の問答

2020-11-27 12:47:00 | 日記
須佐之男命答えて白さく
「僕はきたなき心なし。ただ大御神の命もちて、僕が哭きいさちる事を問ひ賜ふが故に白しつらく『僕は妣の国にゆかむと欲ひて哭くなり』とまをしつ。大御神詔りたまはく、『汝はこの国に在るべからず』とのりたまひて、★【神(かむ)やらひやらひ】賜へり。故、罷りいかむ状(さま)を請さむとおもひてこそ参上りつれ。異心(ことごころ)無し」とまをしき。天照大御神詔りたまはく、「しからば、汝の★【心の清く明き】は何をもちてか知らまし」とのりたまひき。是に須佐之男命答えて白さく「各★【うけひ】て子生まむ」とまをしき。

★かむやらひやらひ
追放

★心の清く明き
忠誠心

★うけひ
あらかじめ神に事の結果を誓っておいて、その通りの験(しるし)が現れるか否かで神意を知る卜占の一種

判定の方法はさまざまであるが、この話は生まれる男女の性別による方法がとられた

■須佐之男命は
「私は姉君にそむく心はありません。ただ父君伊耶那岐大御神の御命令で、私が泣きわめいているわけをお尋ねになるので『私は亡き母の国に行こうと思って泣いているのです』と申しあげました。
すると父君の大御神は『おまえは、この国には住んではならない』と仰せられて、私を追放なさったのです。
それで亡き母の国に行こうとする事情を申し上げようと思って、姉君のところに参上しただけです。別に姉君にそむく心があってのことではありません」と申しあげた。

これを聞いて天照大御神は
「それならば、あなたの心清らかで私心のないことは、どうしたら知ることができようか。」と仰せになった。

これに対して須佐之男命は答えて「めいめい誓約をして子を生みましょう」と申しあげた。