るるの日記

なんでも書きます

古事記 血から雷・剣・水神の八神が生まれた

2020-11-24 15:11:21 | 日記
伊耶那岐命、はかせる十拳剣(とつかつるぎ)を抜きて、其の子迦具土神(かぐつちのかみ)の頚を斬りたまひき

其の御刀(みはかし)の前(さき)につける血、ゆつ石村(いはむら)に走りつきて、成れる神は
石析神(いはさくのかみ)
根析神(ねさくのかみ)
石筒之男神(いはつつのをのかみ・三神)

御刀の本につける血も亦、ゆつ石村に走りつきて、成れる神の名は
甕速日神(みかはやひのかみ)
樋速日神(ひはやひのかみ)
建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ)
亦の名は建布都神(たけふつのかみ)亦の名は豊布都神(とよふつのかみ・三神)

御刀の手上(たがみ)に集まれる血、手俣(たなまた)より漏(く)き出でて、成れる神の名は
闇淤加美神(くらおかみのかみ)
闇御津羽神(くらみつはのかみ)

あわせて八神(やはしちのかみ)は、御刀に因りて生まれる神なり


【伊耶那岐命は、妻を死なせたことを怒り、腰につけていた長剣を抜いて、子の火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)の首をはねた
すると、その剣の先についた血は聖なる岩の群れにほとばしりついて、そこに生まれた神の名は、岩根をも裂くほどの威力をもった剣の神

石析神(いわさくのかみ)
根析神(ねさくのかみ)
石筒之男神(いわつつのおのかみ・三神)
である

次は御剣の鍔(つば)についた血もまた聖なる岩の群れにほとばしりついて、そこに生まれた神の名は、勢い猛く迅速な雷の神

甕速日神(みかはやひのかみ)
樋速日神(ひはやひのかみ)
建御雷之男神(たけみかずちのおがみ)で、またの名は剣のよく切れるという意味の建布都神(たけふつのかみ)もう一つの別名は豊布都神(とよふつのかみ)

次に御剣の柄(つか)に流れ集まった血が指の間から漏れて、そこに生まれた神の名は、谷に住む水神の
闇淤加美神(くらおかみのかみ)
闇御津羽神(くらみつはのかみ)

以上八神は御剣によって生まれた神である

★十拳剣(とつかつるぎ)
ツカはものを手で握ったときの幅
長剣

★ゆつ石村
ユツは神聖
イハムラは岩群

★石析神(いはさくのかみ)根析神(ねさくのかみ)
※両神は「岩根」の岩と根を分けてつけた神名
※岩を裂くほどの威力ある剣神。同時に雷神の性能を持つ
※雷は刀剣の霊

★石筒之男神(いはつつのをのかみ・三神)
剣の性能と関係をもつ神らしいが、名義未詳

★甕速日神(みかはやひのかみ)
樋速日神(ひはやひのかみ)
※ミカは厳
※ハヤは勢い敏速
※ヒは霊
※厳めしく、敏速な威霊をもつ神
※雷神

※樋は火の当て字

★建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ)
別名・建布都神(たけふつのかみ)
別名・豊布都神(とよふつのかみ)

※勇猛な雷の男神
※大国主神の国譲りや、神武東征のてきにも現れる刀剣の神
※茨城県鹿島郡鹿島町の鹿島神宮は、この神を祀る

※別名フツは剣でものを切る音で、切れ味のよさを示す
※千葉県佐原市の、香取神宮は経津主命(ふつぬしのみこと)を祀るが、本質的には同じ神

下図は鹿島神宮の神宝
ふつの御霊の剣
総長270、5センチの直刀


★手俣(たなまた)より漏き出て

血が指の間から漏れるというのは、次に水神が生まれることの前兆

★闇淤加美神(くらおかみのかみ)
クラは谷
オカミは雨雪を司る水神
神体は龍蛇

★闇御津羽神(くらみつはのかみ)
ミツハは水霊
雷神、剣神と同じ霊能を持つ神
須佐之男命が退治した大蛇はその好例

★八神(やはしらのかみ)
八は聖数





古事記 伊邪耶岐命の涙から泣沢女神が生まれた

2020-11-24 13:19:06 | 日記
故、ここに伊耶那岐命詔(の)りたまはく、「愛(うつく)しき我が、なに妹(も)の命を、子の一つ木(け)に易(か)へむとおもへや」とのりたまひて、乃ち御枕方(みまくらへ)にはらばひ、御足方(みあとへ)にはらばひて哭きし時、御涙(みなみだ)に成れる神は、香山(かぐやま)の畝尾(うねを)の木(こ)の本に坐(いま)す、名は泣沢女神(なきさはめのかみ)。故、其の神避(かむさ)りし伊耶那美神は、出雲国と伯伎国(ははきのくに)との堺の比婆の山に葬(はぶ)りまつりき

【そこであとに遺された伊耶那岐命は「いとしい私の妻を、どうして一人の子に代えようと思おうか」と仰せられて、伊耶那美命の亡骸の枕もとを這い回り、足許を這い回り泣いた時、その涙から生まれた神は、大和の香具山の麓の曲がりくねった丘の木の下におられる、名は泣沢女神(なきさわめのかみ)という神である

そして伊耶那美命は、出雲国と伯耆国(ほうきのくに)との境にある比婆の山に埋葬もうしあげた】

★なに妹
男から女に親しく呼びかける語

★一つ木
一人

★御枕方に~
死体の周囲を徘徊し泣哭するのは、死者に対する儀礼

★香山
奈良県桜井市と橿原市の境にある香具山

★畝尾
丘のうねって高くなっている所。後に地名になった

★木の本
木の下
西麓に木之本町という地名が残る

★泣沢女神(なきさわめのかみ)
ナキサハは水音のする沢
それに、葬儀の際の泣き役である哭女(なきめ)の意をかけた

※橿原市木之本町には、啼沢女の杜があり、畝尾都多本(うねおつたもと)神社には、泣沢女神を祀る

★出雲国
※出雲国(島根県)と伯伎国(鳥取県)の国境には、この山は見当たらない

※広島県には、比婆郡も比婆山もあるが、現在の地名が古代にそのまま当てはまるわけではない

※神代紀の一書には、伊耶那美命を紀伊くねった熊野の有馬村(熊野市有馬)に葬ったとあり、その陵を「花の窟(いわや)」と呼ぶ

※出雲と熊野は大和の人々から他界視されている点で共通していた





古事記 船・食物・火・鉱山・土・水の神様生まれ伊耶那美は黄泉国へ

2020-11-24 12:23:53 | 日記
■次に生める神の名は
鳥之石楠船神(とりのいはくふねのかみ)
亦の名は天鳥船
【鳥のごとく速く、岩のごとく堅固な楠船という意の、鳥之石楠船神】

★※熊野の諸手船(もろはたぶね)は、楠材を多く用いた
※大山津見神を祀る大三島は、熊野の諸手船を造った愛媛県の高縄半島とともに、楠の産地であり、越智氏の支配下であった
山ー楠ー船の連想はこの風土に関係ありそうです


■大宣都比売神(おおげつひめのかみ)
【食物を司る】

■火之夜芸速男神(ひのやぎはやをのかみ)
亦の名は火之かか(火へんに玄)毘古神(ひのかかびこのかみ)
亦の名は火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
【火を司る】
★ヤギは焼き
★ハヤは火勢い速く盛ん
★カカ・カグは火の輝き
★船ー食物ー火の順序は、船で食物を運び、それを煮炊きする連想か

■この子を生みしに因りて、みほと灸かえて病み臥せり
たぐりに生まれる神の名は
金山毘古神(かなやまびこのかみ)
金山毘売神(かなやまひめのかみ)
【火の神をを生んだために、伊耶那美命は陰部を焼かれて、患って床に伏した
その病身から吐いたへどから生れた神の名は鉱山を司る
金山毘古神と金山比売神である】

★みほと
ミは尊称
ホトは女陰部

★灸かえ
エは受け身

★火とほとの関係
杵と臼を用いる発火法が、交合を連想させることに起因する

★タグル
嘔吐する

★金山毘古神
へどから鉱山の神が生じたということは、へどの状態がたたらから取り出した鉄に似るところからの連想か

★岐阜県不破郡垂井町宮代の南宮神社は金山彦命を祀る


■次に屎(くそ)に成れる神の名は
波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ)
波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)

次に尿(なまり)に成れる神の名は
弥都波能売神(みつはのめのかみ)

次に
和久産巣日神(わくむすひのかみ)
この神の子は豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)という

故、伊耶那美神は火の神を生みしに因りて遂に神避(かむさ)り坐(ま)しき

【大便から生まれた神の名は、土器などを作る粘土の神という意の、波邇夜須毘古神と波邇夜須毘売神

小便から生まれた神の名は
水を司る女霊ともいうべき
弥都波能売神

若々しい生産霊ともいうべき
和久産巣日神。この最後の神の子(伊耶那美の孫?)は食物を司るという意で豊宇気毘売神という

こうして伊弥那美は火の神を生んだことが原因で、とうとうお亡くなりになった

★波邇夜須毘古神
ハニ(埴)は赤や黄色の祭具の土器を作る粘土。糞の色や形状から粘土を連想したか

★尿(ゆまり)
ユは湯
マリは放出
ユバリともいう

★弥都波能売神(みつはのめのかみ)
ミは水
ツハは不明
メは女

★神武紀に香久山の埴で、祭器を作らせて、吉野川上流の丹生(にゅう)で天神地祇を祀り、その川の水を「ミツハノ女(メ)」と讃えたとある
埴と水の連想は、この種の祭儀に関係するか

★奈良県吉野郡東吉野村小(おむち)の、丹生川上神社の中社は、「ミツハノ女」を祀る

★豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)
トヨは美称
ウケは食物
※伊勢外宮の祭神

★伊耶那美神
今までの「命」が「神」となったのは、死んで祀られる対象となったからである

★神避り
神としてお隠れになる
黄泉国に行くこと

★参拾伍神(みそぢまりいつはしら)
40神であるが、豊宇気毘売神は伊耶那美の子ではないので、これを除いて男女の対を一柱として数えれば35柱となる



■伊耶那岐・伊耶那美の二の神、共に生める島は壱十よ島(とをまりよしま)、又神は参捨伍神(みそぢまりいつはしら)

是は伊耶那美神未だ神避りざらし以前に生めり。唯意能碁呂島(おのごろしま)は生めるに非ず。亦蛭子と淡島とは子の例(かず)には入れず
【伊耶那岐・伊耶那美の二神が力を合わせて生んだ島は14島、生んだ神は35神となる

この島と神は、伊耶那美神が、まだお亡くなりになる前に生んだ。ただし淤能碁呂島はこの神が生んだのではない。また蛭子と淡島とは不具合児なので、子の数には入れない】



古事記 風・木・山・野・土・霧・谷・惑の神生まれる。惑の神の由来は不明

2020-11-24 08:35:35 | 日記
次に風の神
名は志那都比古神(しなつひこのかみ)を生み

次に木の神
名は久々能智神(くくのちのかみ)を生み

次に山の神
名は大山津見神(おおやまつみのかみ)を生み

次に野の神
名は鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)を生みき。亦の名を野椎神(のづちのかみ)という

この大山津見神・野椎神の二(ふたはしら)の神、山野に因りて持ち別けて生める神の名は
天之狭土神(あめのさづちのかみ)
国之狭土神(くにのさづちのかみ)
天之狭霧神(あめのさぎりのかみ)
国之狭霧神(くにのさぎりのかみ)
天之闇戸神(あめのくらどのかみ)
国之闇戸神(くにのくらどのかみ)
大戸或子神(おほとまとひこのかみ)
大戸或女神(おほとまとひめのかみ)

★志那津比古神
風を司る神
シは嵐のシで風の意味

★久々能智神
ククを茎とする説
木々の古形である説

★鹿屋野比売神・野椎神
カヤは草
屋根葺きに用いる草

野椎神のチは霊の意味

★天之狭土神
サは神聖・清浄性

★天之闇戸神
クラは闇
ドは所
山に挟まれたくらい所、谷

★以上の山・野・土・霧・谷という順序は、古代人の日常生活に基づく連想が働いている

★大戸或子神
名義未詳
「その霧によりて闇、闇によりて惑う」として、トマトヒを戸惑うの意に解するか