るるの日記

なんでも書きます

古事記 伊耶那岐命の禊祓 伝説地は?

2020-11-25 15:46:12 | 日記
是をもちて★伊耶那伎大神詔りたまはく「吾は★いなしこめしこめき穢き国に到りて在りけり。故、吾は御身の★禊せむ」とのりたまひて、竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘の小門(をど)の阿波岐原(あはきはら)に到り坐して禊ぎ祓へたまひき

【黄泉国から逃れてきた伊耶那岐命は「私は何と嫌な汚ならしい国に行っていたんだろう、その穢れを清めるため、私は身体を禊しよう」と言われて、筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原に着いて、禊をして身の穢れをお祓いなさった】

★伊耶那伎大神
大神とあるのは天照大御神の祖神として尊んだため

★いなしこめしこめき
いな→否
しこめしこめき→醜い悪
醜めしを繰り返した

★竺紫~阿波岐原
※竺紫→筑紫
※日向→日に向かった所か、宮崎県をさすか未詳
※橘→地名
※小門→小さな水門、もしくは瀬戸
※阿波岐原→あはきは植物だが実体は不明。青木、柏、禊萩など説がある

この伝説地は、宮崎市山崎町養母の江田神社の他に、福岡県糟屋郡の立花山周辺説がある

古事記 伊耶那岐命の黄泉国訪問 伊耶那美神が黄泉津大神と成る

2020-11-25 14:19:02 | 日記
是れをもちて一日に必ず千人(ちたり)死に、★一日に必ず千五百人(ちいほたり)生まるるなり。

故、其の伊耶那美命を号(なづ)けて、★黄泉津大神(よもつおほかみ)といふ。亦云わく、その★追ひしきしをもちて道敷大神(ちしきおほかみ)と号(なづ)くといふ

亦其の黄泉の坂に塞(さや)りし石は、道反之大神(ちかへしのおほかみ)と号(なづ)け

亦★塞(さや)り坐(ま)す黄泉戸大神(よみどのおほかみ)ともいふ
故、其の謂はゆる黄泉比良坂は、今出雲国の★伊賦夜坂(いふやさか)と謂ふ

【こうゆうわけで、この世では一日に必ず千人死に、一日に必ず千五百人生まれるのである

それゆえ、伊耶那美命を名づけて黄泉津大神(よもつおおかみ)というのである。また男神に追いついたことによって道敷大神(ちしきのおおかみ)とも名づけるという

また黄泉国の坂をふさいだ岩は、道から悪霊を追い返したという意味で道反之大神(みちかえしのおおかみ)と名づけ、黄泉国の入り口をふさいでおられる黄泉戸大神(よみどのおおかみ)ともいう

なお、いわゆる黄泉比良坂は、現在の出雲国の伊賦夜坂(いふやさか)といわれる】

★一日に必ず千人死に、一日に必ず千五百人生まるるなり

一日に千人死んで千五百人生まれるということは、現象的には人口増殖の説明と解されるが、生と死の闘争というこの物語の本筋からみれば、生は死に優越するという生死観を語るものである

★黄泉津大神
黄泉神の上位

★追ひしきしをもちて、道敷大神と号くといふ
追ひしき→追いついた
しき→およぶ、道敷大神(みしきおおかみ)のしきも同様

★塞り坐す黄泉戸大神
黄泉国の入口に立ち塞がっている大神
村落などの境にあって、邪霊の入るのを塞ぐ神(道祖神)の原型。御神体は石や岩

★伊賦夜坂(いふやさか)
島根県八束郡東出雲町葺屋町に、葺屋神社がある。このあたりか。
出雲国は黄泉国の入口にあたる国と考えられていた

古事記 伊耶那岐命 黄泉国訪問 最後にお互いに夫婦絶縁のことば言い渡す

2020-11-25 13:24:26 | 日記
最後(いやはて)に其の妹伊耶那美命、身自(みずか)ら追ひ来(きた)りき。爾に★千引(ちびき)の石(いは)を其の黄泉比良坂に引き塞(さ)へて、其の石を中に置きて、各(おのもおのも)対(むか)ひ立ちて★事戸(ことど)を度(わた)す時、伊耶那美命言(まを)さく「愛しき我(あ)がなせの命、如此為(かくせ)ば、汝(いまし)の国の★人草、一日(ひとひ)に千頭絞(ちがしらくび)り殺さむ」とまをしき

爾に伊耶那岐命詔(の)りたまはく、「愛しき我(あ)がなに妹の命、汝然(いまししか)為ば、吾(あれ)一日に千五百の産屋(うぶや)立てむ」とのりたまひき

【最後には、その女神の伊耶那美命自身が追ってきた。そこで男神は千人かかってやっと動くくらいの巨大な岩を引っ張ってきて、その黄泉比良坂を塞ぎ、その岩を間にはさんで、めいめい向かい合って夫婦離別の言葉を言い渡した

伊耶那美命は「いとしい私の夫の伊耶那岐命よ。あなたがこんなことを、するならば、私はあなたの住む現し国の者どもを一日に千人も絞り殺しましょう」と申した

これに対して伊耶那岐命は「いとしい私の妻の伊耶那美命よ。おまえがそんなことをするならば、私は一日に千五百もの産屋を建ててやろう」と仰せられた】

★千引(ちびき)
千人所引の磐石

★事戸(ことど)
こと→別
ど→祝詞のと、詛戸(とこひど)のど。呪言。絶妻の誓。夫婦の絶縁の言葉

★人草
青人草(人民)の略語
軽蔑の意味をこめた言い方



古事記 伊耶那岐命 の黄泉国訪問 桃🍑を投げるの術

2020-11-25 12:33:12 | 日記
御はかせる十拳剣(とつかつるぎ)を抜きて、★後手(しりへで)にふきつつ逃げ来るを、猶追ひて★黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂本に到りし時、其の坂本に在る★桃の子三箇(みみつ)を取りて持ち撃てば、悉(ことごと)に逃げ返りき

伊耶那岐命、其の桃の子(み)に告(の)りたまはく、「汝(なれ)、吾(あ)を助けしが如(ごと)★葦原中国(あしはらのなかつくに)に有らゆる★うつしき★青人草(あおひとくさ)の、苦しき★瀬に落ちて、患(うれ)へ惚(なや)む時に助くべし」と告(の)りたまひて、名を賜ひて★意富加牟豆美命★(おほかむづみのみこと)と号(い)ひき

【男神は腰に帯びた長剣を抜いて、それをうしろ手に振りながら逃げていったが、雷神たちは猶も追いかけてきて、現し国と黄泉国との境の黄泉比良坂(よもつひらさか)の麓(ふもと)に到着した時に、男神はその麓に生えていた桃の実を三個取って、これを持って投げつけると、みな逃げ帰って行った

伊耶那岐命は追っ手を追い払ってくれた桃の実に「おまえは、私を助けたように、葦原中国に住むすべての生ある人々が苦しいめにあって悲しみ悩むような時には助けてあげなさいよ」と仰せられ、桃の実に名を賜って、邪気を祓う偉大な神霊という意の意富加牟豆美命(おおかむずみのみこと)と名づけた】

★後手(しりへで)にふきつつ
この動作は呪術の効果を自身に及ぼさないための呪術

★黄泉比良坂の坂本(よもつひらさかのさかもと)
ひら→崖
さか→境
坂本→坂の麓
現世から地下の黄泉国に通じる岩場の道

★桃の子三箇(もものみみつ)
中国では桃は邪気を祓う威力があると信じられていたが、その影響か
桃太郎も桃の信仰の説話化

三は中国思想の聖数

★葦原中国(あしはらのなかつくに)
葦の茂る中間の国
なかつくに→天上の高天原からと地下の黄泉国との中間にある国

高天原から見た命名で、必ずしも日本国の古称ではない

★うつしき
この世に生きている

★青人草
人民
人が生まれてますます栄えていくことを、青草の繁茂にたとえた

★瀬
特定の時
「逢ふ瀬」等

★意富加牟豆美命(おほかむづみのみこと)
おほ→大
かむ→神
づ→助詞
み→神霊



古事記 伊耶那岐命の黄泉国訪問 伊耶那美命豹変「よくも私に恥をかかせたわね」

2020-11-25 11:27:52 | 日記
是れに伊耶那岐命、見畏(みかしこ)みて逃げ還ります時、其の妹伊耶那美命言(まを)さく

「吾に★辱(はじ)見せつ」

と、まをして、即ち★よもつしこめを遣わして追はしめき。
伊耶那岐命、★黒御縵(くろみかづら)を取りて投げうつれば、乃ち★蒲(えびかづら)の子生(みな)りき。是をひりひ食(は)む間に逃げ行くを猶追ひしかば、亦其の右の御みづらに刺せるゆつつま櫛を引きふきて、投げうつれば、乃ち★笋(たかむな)生りき。是を抜き食む間に逃げ行きき。また後には、其の八(やくさ)の雷神に★千五百(ちいほ)の★黄泉軍(よもついくさ)をそへて追はしめき

【伊耶那岐命は、この有様を見て、恐れおののいて、黄泉国から逃げ帰ろうとされると、伊耶那美命は、「よくも私に恥をかかせましたね」と申して、すぐに黄泉国の醜女を遣わしてその後を追いかけさせた。

それを見て伊耶那岐命は黒い御縵(みかづら)を取って投げ捨てると、たちまち山ぶどうの実がなった。これを醜女たちが拾って食べてる間に男神は逃げたが、

猶追いかけてきたので、また右の御角髪(みずら)にさしていた神聖な爪櫛の歯を折り取って投げ捨てると、たちまち竹の子がはえた。これを醜女たちが抜いて食べている間に男神は逃げ延びて行った。そしてその後、女神は身体から生まれた八種の雷神に、大勢の黄泉国の軍勢を従わせて男神を追いかけさせた】

★辱
「な視たまひそ」の、死者の姿を見るタブーを破ったからである

★よもつしこめ
よもつ→黄泉国
しこ→忌避すべき
め→女
死の穢れの擬人化

★黒御縵(くろみかづら)
かづら→植物の蔓に玉などを通して、髪かざりにしたもの

★蒲(えびかづら)の子
山ぶどうの実
かづらの呪術

★笋(たかむな)
竹の子
竹製の櫛からの呪術

★千五百(ちいほ)
数のはなはだ多いこと

★黄泉軍(よもついくさ)
黄泉国の悪霊の擬人化