■水底に漱きたまふ時、成れる神の名は
1 底津綿津見神
(そこつわたつみのかみ)
底筒之男命
(そこつつのおのみこと)
中に漱ぎたまふ時、成れる神の名は2 中津綿津見神
(なかつわたつみのかみ)
中筒之男命
(なかつつのおのみこと)
水の上に漱ぎたまふ時、成れる神の名は
3 上津綿津見神
(うはつわたつみのかみ)
上筒之男命
(うはつつのおのみこと)
此の三柱の綿津見神は、阿曇連(あづみのむらじ)等の祖神(おやがみ)といつく神なり。故、阿曇連等は、綿津見神の子、宇都志日金析命(うつしひかなさくのみこと)の子孫(うみのこ)なり
底筒之男命・中筒之男命・上筒之男命の三柱の神は、墨江の三前の大神なり
これに左の御目を洗ひたまふ時、成れる神の名は、天照大御神
次に右の御目を洗ひたまふ時、成れる神の名は、月読命
次に御鼻を洗ひたまふ時、成れる神の名は、建速須佐之男命
■【水の底に潜って身を洗い清められる時に生まれた神の名は
海を司る底津綿津見神
航路を司る底筒之男命
水の中で身を洗い清められる時に生まれた神の名は
中津綿津見神
中筒之男命
水の表に出て身を洗い清められる時に生まれた神の名は
上津綿津見神
上筒之男命
この三柱の綿津見神は、安曇連たちが祖神として、いみ謹んでお仕えする神である、わけは安曇連たちは、綿津見神の子の宇都志日金析命(うつしかなくのみこと)の子孫だからである
底筒之男命
中筒之男命
上筒之男命
三柱の神は住吉神社に祀られる三座の大神である
黄泉国の穢れを見た
左目を洗った時に生まれた神の名は天照大御神
右目を洗った時に生まれた神のは
月読命
黄泉国の穢れを嗅いだ鼻を洗った時に生まれた神の名は
建速須佐之男命
以上にあげた十柱の神は、身体の穢れを祓で洗い清めることによって生まれた神である】
★阿曇連
阿曇(安曇)は氏、連は姓
志賀島(福岡市志賀町)を本拠とした海人族。この島の志賀海(しかのわたつみ)神社は三柱の綿津見神を祀る
★いつく神
※斎く
※心身を清め、謹んで聖なるものに仕える
★宇都志日金析命
うつしひかなさくのみこと
名義未詳
★墨江(すみのえ)の三前の大神
住吉神社の三神
清の江
福岡市下関市の住吉神社は歴史が古く、日本三住吉と称される
綿津見神と、住吉の神を祀る古社は、北九州から壱岐、対馬にかけて分布し、大陸と航海を守護する海神の宗教圏を成していた
前→神を数えることば
★天照大御神
※天にあって照りたまう大神
※自然神としては日の神
※人格神としては女性の皇祖神
※伊勢内宮の祭神、神体は八咫の鏡
★月読命(つきよみのみこと)
※読(よみ)は数を数える
※月齢を数える神
※月の神
※壱岐は月読信仰の本拠で月読神社がある
★建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
※勇敢敏速に荒れすさぶ男の神
※すさ→出雲国飯石郡の須佐で、この首長がスサノオ説
※荒(すさ)ぶのスサ説
※出雲の英雄神で、暴風、農耕、植林、冶金などの神としての属性をもつ
※鼻から生まれたのは、鼻(風)は息を出す器官であり、この神の属性の一つが暴風神であるため