るるの日記

なんでも書きます

古事記 天の岩屋戸こもり 昼がなくなり万の禍起こった

2020-12-01 09:23:09 | 日記
天照大御神畏(かしこ)みて、【天の石屋戸(いわやど)】を開きて【さしこもり坐しき】。ここに高天原皆暗く、葦原中国ことごとく闇し。これに因(よ)りて【常夜(とこよ)ゆく】。是こに万(よろづ)の神の声は【狭蝿(さばえ)】なす満ち、万の妖(わざわひ)おこりき


★天の石屋戸
天上にある石屋の戸

★さしこもり坐しき
戸を閉ざして中にこもる
さし→鎖し
巌窟や室屋にこもるのは、物忌みの生活をして新たに生まれ変わるため

★常夜ゆく
夜ばかりで昼ない

★狭蝿(さばえ)
蝿の大群のすごさ

■天照大御神はこの事件を見て恐れて、天の岩屋戸を開き、その戸を閉ざし、おこもりになられた

すると高天原は、すっかり暗くなり、葦原中国も全く暗くなった。こうして日のささない夜ばかりがいつまでも続いた

そのため大ぜいの神々の騒ぐ声は、五月頃湧き騒ぐ蝿のように世間に満ち、あらゆる悪い出来事が至るところで起こった

古事記 馬の皮を剥いたりと荒ぶる須佐之男命

2020-12-01 08:56:18 | 日記
故(かれ)、しかすれども天照大御神は、とがめずて告(の)りたまはく
「屎なすは酔ひて吐き散らすとこそ我(あ)がなせの命かくしつらめ。又田の阿を離ち溝を埋むるは、地(ところ)を【あたらし】とこそ我がなせの命かくしつらめ」と【詔り直し】たまへども、猶其の悪しき態(わざ)止まずて【転(うたて)】ありき。天照大御神、【忌服屋(いみはたや)】に坐(ま)して、神御衣(かむみそ)織らしめたまひし時、其の服屋の頂(むね)をうかち、【天の斑馬(ふちこま)】を【逆剥(さかは)ぎ】に剥ぎて堕とし入るる時、天の服織女(はたおりめ)見驚きて、梭(ひ)に陰上(ほと)を衝きて死にき

★あたらし
惜しい、もったいない

★詔(の)り直し
悪いことを善意に解して言い直す
天照大御神の寛容の美徳

★転(うたて)
異常なこと、ひどい状態

★忌服屋(いみはたや)
神の衣を織る神聖な建物
いみ→斎み謹むべき、神聖な

★頂(むね)
屋根の中央の一番高い所

★天の斑馬(ふちこま)
あめの→美称
ふちこま→毛色のまだらな馬

★逆剥ぎ(さかはぎ)
尻の方から皮を剥ぐ
異常な剥ぎ方

★服織女(はたおりめ)
機を織る女

★梭(ひ)
機織りの際に、横糸を縦糸にくぐらせる舟形の道具

★陰上(ほと)
女陰

■須佐之男命がこのような乱暴をはたらいたけれども、天照大御神はその行為を咎めないで、「大便のように見えるのは、酒に酔ってへどを吐き散らそうとして、我がいとしい弟はこんなことをしたんでしょう。
田の畔を壊したり、溝を埋めたり、耕せば田となるのに畔にしておくのは、土地が惜しいと思って、我がいとしい弟はこんなことをしたのでしょう」
と、すべて善意に解して言い直しなされたが、なお須佐之男命の乱暴行為は止まらず、ますますひどくなった

そして天照大御神が神聖な機織屋にいて、神にお供えする衣服を機織り女に織らせていた時、須佐之男命がその機織屋の棟に穴を開けて毛色のまだらな馬を、尻の方から逆さまに皮を剥ぎとって、穴から落とし入れたので、機織女はそれを見て驚き、器具で陰部を突いて死んでしまった

古事記 負けを認めず勝利宣言し乱暴をはたらく須佐之男命

2020-12-01 08:07:42 | 日記
須佐之男命、天照大御神に白(まを)さく、「我が心清く明きが故に、我が生める子は【手弱女(たわやめ)】を得つ。これによりて言(まお)さば、自ら我勝ちぬ」と云(まお)して、【勝さび】に、天照大御神の【営田(つくだ)】の阿を離ち、其の溝を埋め、亦其の【大嘗(おほにへ)】を【聞(きこ)しめす】殿に屎まり散らしき

★手弱女(たわやめ)
かよわい女
神代では男神を得たのを勝ちとする

★勝さび
勝ちに乗じて、勝者らしくふるまうこと

★営田(つくだ)
つく→耕作
耕作する田

★阿
畔を壊したり、溝を埋めたりするのは、農耕妨害

★大嘗(おほにへ)
にへ→新稲
新穀を神に供え、自らも食べる祭儀
新嘗祭

★聞(きこ)しめす殿
食べるの尊敬語
この御殿に、大便をしてまわったのは、祭祀の神聖冒涜

■須佐之男命が天照大御神に申しあげることには、「私は心清らかで邪心がありませんので、私はかよわい女の子を生んだのです。誓約(うけい)の結果がこうなったことから申せば、当然私の方が勝ったのです」と申し、その勝ちに乗じて荒々しく振る舞い、天照大御神が耕作する田の畔を壊したり、灌漑用の溝を埋め、また天照大御神が新米を召し上がる神殿に大便をし散らした



古事記 神の誓約・物種の持ち主の子

2020-12-01 07:38:46 | 日記
天照大御神、須佐之男命に告りたまはく「この後に生まれし五柱の男子(おのこご)は【物実我(ものざねあ)】が物に因(よ)りて成れり。故、自(おのづか)ら吾が子なり。先に生まれし三柱の女子(おみなご)は、物実汝(ものざねいまし)が物に因りて成れり。故、乃ち汝(いまし)の子なり」と、如此詔(かくの)り別(わ)けたまひき

故、其の先に生まれし神、
多紀理毘売命は胸形(むなかた)の奥津宮に坐す。
市寸島比売命は胸形の中津宮に坐す。
田寸津比売命は胸形の辺津宮に坐す

この三柱の神は、【胸形君】等の【もちいつく】三前の大神なり

★物実(ものざね)
もとになるもの
材料・物種

★胸形(むなかた)
福岡県宗像郡

★胸形君
※安曇氏と並んで北九州沿岸に活躍した海人族
※国郡制がしかれると、代々宗像神社の神主になり、宗像郡の郡司を兼ねた

★もちいつく
心身を清め、謹んで聖なるものに仕える

★国造は世襲の地方首長に与えられた姓で、豪族が任じられた
独立していた地方君主が朝廷に国譲りしてなった

■天照大御神が須佐之男命に仰せられることには
「このあとから生まれた五柱の男の神は、その物種が私のものである玉から現れた神です。だから当然、私の子です。また前に生まれた三柱の女の神は、その物種があなたのものである剣から現れたのです。だからあなたの子です」と、このように仰せられて区別なされた

その先に生れた神のうち
多紀理毘売命は
筑紫の宗像の沖津宮に鎮座

市寸島比売命は
宗像の中津宮に鎮座

多岐都比売命は
宗像の辺津宮に鎮座

この三柱の神は、宗像君らが謹んで奉仕する三座の大神である