るるの日記

なんでも書きます

古事記 豊玉毘売の侍女、麗しい男・火遠理命に出逢う

2020-12-10 19:05:58 | 日記
教(おしえ)の随(まにま)に少し行でますに、つぶさに其の言の如くなりしかば、即ち其の香木に登りて坐(いま)しき。ここに海の神の女・【豊玉毘売】の【従婢(まかたち)】、【玉器(たまもひ)】を持ちて水を酌まむとする時、井に【光(かげ)有り】。仰ぎ見れば【麗しき】壮夫(おとこ)有り。甚異奇(いとあや)しとおもひき

★豊玉毘売(とよたまひめ)
とよ→美称
たま→魂
神霊の依りつく姫

★従婢(まかたち)
貴人に仕える女

★玉器(たまもひ
たま→美称
もひ→飲料水を入れる器

★光(かげ)有り
水などに映った姿
日の神の子孫としての光輝く姿が泉に映った

★麗(うるは)しき
整った美しさ
気高く立派な美しさ

■教えに従い少し行くと、何から何までその言葉の通りだったので、すぐにその桂の木に登って待っていた。すると海の神の娘の豊玉毘売の侍女が立派な器を持って現れ、水を汲もうとすると、泉に光輝く人の姿が映っている。驚いて上を見ると、美しい男がいるので、たいへん不思議に思った




古事記 塩椎神の議(はかり) 神の役割分担

2020-12-10 18:33:41 | 日記
塩椎神「我、汝命(いましみこと)の為に善き議(はかり)を作(な)さむ」といひて、【无間勝間(まなしかつま)】の小船を造り、其の船に載せて教へていはく
「我、其の船を押し流さばややしまにいでませ。【味(うま)し御路(みち)】有らむ。其の道に乗りていでまさば、【魚鱗(いろこ)の如造れる宮室(みや)】それ【綿津見神】の宮ぞ。其の神の御門に到りましなば、傍(かたへ)井の上(へ)に【ゆつ香木(かつら)】有らむ。故、其の木の上に坐(いま)さば、其の海(わた)の神の女(むすめ)見て相議(あひはか)らむぞ」といひき

★无間勝間(まなしかつま)
まなし→目無し
かつま→竹籠
固く編んで隙間がない竹籠

★味し御路
よい海路、よい潮路

★魚鱗(いろこ)の如造れる宮室
宮殿が並ぶ壮大な有り様

★綿津見神(わたつみのかみ)
海の神

★ゆつ香木(かつら)
※ゆつ→神聖
かつら→桂
神の降臨する神聖な桂の木
これに登ることによってその身分を示す

■塩椎神は、「私があなたのために、よい策を献じましょう」と言って、すぐに竹で固く編んだ、隙間のない小船を造り、その船に火遠理命を乗せて
「私がこの船を押し流したら、しばらくそのまま行きなさい。きっとよい潮路があります。そのままその潮路に乗っていれば、魚の鱗のように棟を並べて造った御殿がありますが、それが綿津見神の宮殿です。その神の宮の御門に着くと、かたわらの泉のほとりに神聖な桂の木があります。その木に登っていれば、海の神の娘があなたを見て相談にのってくれるでしょう」と教えた


古事記 塩椎神

2020-12-10 17:55:05 | 日記
弟(いろど)泣き患(うれ)へて海辺に居ましし時、【塩椎神(しほつちのかみ)】来て問ひていはく「何(いかに)ぞ【虚空津日高(そらつひこ)】の泣き患へたまふ所由(ゆえ)は」
といへば
答へてのりたまはく
「我、兄(いろせ)と鉤(つりばり)を易(か)へて、其の鉤を失ひつ。ここに其の鉤を乞ふ故に、多くの鉤を償へども受けずて、『猶基の本の鉤を得む』といふ。故、泣き患へるぞ」とのりたまひき

★塩椎神(しほつちのかみ)
海の塩を司る神

★虚空津日高(そらつひこ)
陸上の獲物を取る山幸彦が、陸から見える空【天津日高の天は高天原をさす宗教的観念】

古事記 意地悪な兄・火照命「無くした釣針を返せ」とごねる

2020-12-10 17:34:14 | 日記
火遠理命、海さちをもちて魚釣らすに、かつて一つの魚も得ず。亦其の鉤(つりばり)を海に失ひたまひき

ここに兄火照命、其の鉤を乞ひていはく、【「山さちも己がさちさち、海さちも己がさちさち。今は各さち返さむとおもふ」】といひし時、其の弟火遠理命、答へてのりたまはく
「汝の鉤は魚釣りしに一つの魚も得ずて、遂に海に失ひつ」とのりたまひき

しかれども其の兄強いて乞ひ【徴(はた)りき】。故、其の弟御はかしの十拳剣を破りて、五百鉤(いほはり)を作りて、償(つくの)ひたまへども取らず。亦一千鉤を作りて償ひたまへども受けずて、「猶其の【正本(もと)】の鉤を得む」といひき

★山さちも己がさちさち~
呪詞

★徴りき
無理に徴収する
「よこせ」と責める

★正本(もと)
以前のもの、本来のもの

■火遠理命は、海の獲物を取る道具で魚を釣ったが、まったく一匹も釣れなかったばかりでなく、釣針を海の中になくしてしまった

兄の火照命がその釣針を請求して、
「弓矢も各自の道具、釣針も各自の道具。お互いの道具を元通りに戻そうと思う」と言った時に

弟の火遠理命は「兄さんの釣針は、魚を釣っていたのに一匹の魚も釣れないで、とうとう海の中に無くしてしまいました」と言った

しかし兄は強引に返せと責めた。弟は腰につけていた長剣を壊して五百本の釣針を作り弁償したけれども、兄は受け取らない

さらに千本の釣針を作って弁償したが、これも受け取らないで
「やはり、以前の釣針を返してもらおうと言った」





古事記 山さちびこ火遠理命は、海さちびこの兄火照命の仕事をしたがる

2020-12-10 16:53:38 | 日記
火照命(ほでりのみこと)は【海さちびこ】として、【鰭(はた)の広物、鰭の狭物】を取り

火遠理命(ほおりのみこと)は【山さちびこ】として、【毛のあら物、毛の柔物(にこもの)】を取りたまひき

火遠理命、其の兄火照命に
「各(おのおの)さちを相易(あいか)へて用いむ」といいて三度乞ひたまへども許さざりけりき。しかれども遂に【わづかに】得相易(えあひか)へたまひき

★海さちびこ
※海の獲物をとる男、漁夫
※さち→獲物または獲物をとる道具

★鰭の広物、鰭の狭物(せもの)
大小の魚

★山さちびこ
山の獲物をとる男、狩人

★毛のあら物、毛の柔(にこ)物
※毛の荒い獣と、毛の柔らかい獣
大小各種の獣類

★わづかに
かろうじて、やっと


■火照命(ほてりのみこと)は海の獲物をとる男として、大小さまざまの魚をとり、
火遠理命(ほおりのみこと)は山の獲物をとる男として、大小さまざまの獣を取っておられた

ある時、火遠理命が兄の火照命に、「獲物を取る道具を交換して使いましょう」と三度望んだが、兄は許さなかった。そしてやっと交換することができた