るるの日記

なんでも書きます

古事記 須佐之男の大蛇退治 片刃はカタナ・両刃はツルギ

2020-12-02 09:58:58 | 日記
告りたまひしまにまに、かく設け備へて待ちし時、其の八俣のをろち、信(まこと)に言ひしが如(ごと)来つ

乃ち船毎に己が頭を入れ垂れ入れて其の酒を飲みき。ここに飲み酔ひて留(とど)まり伏し寝(い)ねき

須佐之男命、其の御はかせる十拳剣(とつかつるぎ)を抜きて、其の蛇(をろち)を切り散(はふ)りたまひしかば、肥河血になりて流れき

其の中の尾を切りたまひし時、御刀の刃かけき。怪しと思ほして、御刀の前もちて、刺し割(さ)きて見たまへば、【都牟羽(つむは)の大刀】(たち)在りき。故此の大刀を取り、異(け)しき物と思ほして、天照大御神に白し上げたまひき
是は草那芸(くさなぎ)の大刀なり

★都牟羽(つむは)
つむ→ものを断ち切る
は→刀の刃

★大刀(たち)
※たち→刀剣の総称、後に片刃のたちとも言う
※ツルギは両刃のたち
※カタナは片刃のたち
♦️この大刀はツルギ

★草那芸の大刀
※倭建命(やまとたけるのみこと)が相模国で、野の草をなぎ払って、賊の火難から逃れたことによる命名で、これをさかのぼって用いた

※皇位のしるしの三種の神器の一つ
名古屋市熱田区新宮坂町の熱田神宮に祀られている


■準備して待っていた時、その八俣の大蛇が本当にやって来た

大蛇はたちまち器ごとに自分の八つの頭をそれぞれに突っ込んで、その酒を飲んだ。そして酔ってその場で横になって寝てしまった

須佐之男命は腰につけていた長剣を抜いて、大蛇をズタズタに切ったので、肥河の水は真っ赤な血に変わって流れた

大蛇の中ほどの尾を切った時、剣の刃が欠けた。これは不思議と思い剣の先でその尾を刺し割いて見ると、すっぱりとよく切れる大刀があった

この大刀を取り上げ、不思議なものだと思い、天照大御神にこの事情を申しあげ、それを献上した

これが草薙の大刀なのである




古事記 須佐之男命の大蛇退治 的確な判断と指示命令

2020-12-02 09:06:17 | 日記
須佐之男命、乃ち【ゆつ爪櫛(つまぐし)】に其の童女を【取り成して】、【御みづら】に刺して、足名椎・手名椎の神に告(の)りたまはく
「汝等は【八塩折(やしおおり)】の酒を醸(か)み、
亦垣を作り廻(もとほ)し、
其の垣に八門(やかど)を作り、
門毎に【八さずきを結ひ】、
其のさずき毎に【酒船】を置きて、船毎に其の八塩折の酒を盛り待て」とのりたまひき

★ゆつ爪櫛
神聖な爪形の櫛

★とり成して
あるものを、他のものに変かさせる

★御みづら
男子の髪型

★八塩折(やしほおり)
幾回も繰り返し醸した強い酒
や→多数
しほ→度数
おり→何回も繰り返す

★八さずき
さずき→仮に作った床や台
釘を使わず結んだから結ふ

★酒船
酒を入れる器物

■須佐之男命は、その櫛名田比売を聖なる爪形の櫛に姿を変えさせ、それを髪にさして、足名椎と手名椎の神に向かい
「おまえたちは何度も繰り返し醸した強い酒を造り
垣を作りめぐらし
その垣に八つの入口を作り
入口ごとに八つの仮の台を作り
その台ごとに酒を入れる器を置き
その器ごとに強い酒を盛って
待っておれ」
と言いつけた




古事記 須佐之男命の大蛇退治 あなたの娘をくれないか?

2020-12-02 08:36:08 | 日記
須佐之男命、其の老夫(おきな)に詔(の)りたまはく、「是の汝(いまし)の女(むすめ)をば吾(あ)に奉らむや」とのりたまふに「恐(かしこ)けれども御名をしらず」と答へ白(まお)しき

それに答へて詔りたまはく
「吾(あ)は天照大御神の【いろせ】なり。故、今天より降り坐
(ま)しつ」とのりたまひき

足名椎・手名椎の神は白さく「然坐(しかま)さば恐(かしこ)し。立奉らむ」とまおしき

★いろせ
いろ→同腹の血縁

■須佐之男命が老夫に「おまえの娘を私にくれないか」と言われると、老夫は「恐れ多いことですが、あなたさまのお名前も存じませんので、どうも差し上げかねます。」と答えた

須佐之男命は「私は天照大御神の弟である。今ちょうど高天原から降ってきたところだ」とお答えになった

足名椎(あしなづち)と手名椎(てなづち)の神は「さようでございますなら恐れ多いことです。娘を差し上げましょう」と申し上げた

古事記 須佐之男命の大蛇退治 身一面に木々がはえている大蛇

2020-12-02 08:10:08 | 日記
「其の形はいかに」と問ひたまへば、答へて白(まお)さく
「その目は赤かがちの如くして、身一つに八頭(やかしら)・八尾(やお)有り。亦その身に、こけ及檜(またひ)、椙生(すぎお)ひ、其の長谿八谷(たけたにやたに)、峡八尾(おやお)に度りて、其の腹を見れば悉に常に血、爛(あえただ)れたり」とまをしき
ここに赤かがちといふは今の酸漿(ほほづき)なり

★以下の大蛇の形状は、
洪水による山崩れ
火山の溶岩流
砂鉄採集の鉄の山地
を表す。凶暴で恐ろしい大蛇を観想

★爛れたり
したたり流れる

■須佐之男命が「その大蛇の姿はどんなか?」と尋ねると老夫は答えて「その目は赤かがちのように真っ赤で、胴体一つに八つの頭と尾があります

体一面に苔や檜、杉などが生え
その長さは八つの谷、八つの峰にわたるほどで

その腹を見ると、一面にいつも真っ赤な血がにじんでしたたり落ちています」と申しあげた


古事記 須佐之男命の大蛇退治 大蛇に生け贄にされる娘

2020-12-02 07:39:38 | 日記
「汝(いまし)哭く由(ゆえ)は何ぞ」と問ひたまひき
答へて白言(まを)さく「我が女(むすめ)は本より八稚女(やおとめ)在りしを、是の【高志(こし)】の【八俣(やまた)のおろち】【年毎(としごと)】に来て喫(く)へり。今、其の来るべき時なるが故泣く」とまをしき

★高志(こし)
北陸道の越か?
新門郡高志(出雲市古志町)か?
大穴持命が越の八口を平定した所?
遠い異国か?

★八俣のおろち
八俣→頭・尾各八有り
お→尾
ろ→接続語
ち→威霊
※水稲の生育を司る水霊が蛇体であるという信仰から、水神(河水、風雨、雷などの霊格を含めて)とみる説
※鳥上地方が砂鉄の産地であるという風土を背景にして、鉄山の守護神、もしくは鉄山族の首長とみる説

★年毎(としごと)
毎年定期的に大蛇(水神)が祀られたことを暗示

■須佐之男命は「おまえの泣くわけは何か」と尋ねた
これに答えて「私の娘はもともと八人ありましたが、この古志の八俣の大蛇が毎年、時を定めてやって来ては食べてしまうのです。今また、その大蛇のやって来るはずの時期に当たりますので泣くのです」と申しあげた