■「逃げてはいけない」
そんな言葉をよく聞く
また、そう言って励ます人もいる
しかし正面から戦ったからといって常に勝てるわけでもない
もちろん、いつも逃げていると、いい人生を送ることも、自分が欲しいものを得ることも難しい
■「勝つための逃げ」というものもある。「勝つ」とは、相手を負かすという意味ではなく、自分がよりいい人生を送るということ。逃げざるを得なくなったのは、必ずしも心が弱いからでも、勇気がないからでもなく、置かれた立場・状況が不利だというだけ
逃げることに抵抗を感じるという人もいます。だが「正面から立ち向かうことだけが戦いではない」のです
■欧米視察中の大久保利通は、自分の留守中に、征韓論によって日本の政情が不安定になっていることを知り、予定を変更し日本に戻った。征韓論反対派の大久保利通は、現時点では多数決で征韓論賛成派が勝つと思っていた
大久保利通は、帰国後病気と称して家に引きこもり、公的な場に一切姿を現さなかった。その後、近畿の名勝旧跡をまわり、箱根、富士登山、近江、大和で悠々と日を過ごし、さらに和泉、紀州へ行き山々で鉄砲猟をして回った。【大久保利通は政界から引退する】と思われていた
これは岩倉具視と木戸孝允が戻るまでの時を稼ぐことが目的だった
この逃げだけが原因ではないが、一因となり、最終的にこの征韓論に岩倉具視・大久保利通チームは勝利。そして西郷隆盛は明治政府を去った