Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「25の短編小説」

2021年03月28日 | 読書
雨の日曜日
コロナ第4波の恐れがあるとニュースが流れる中、コロナ禍2020年の自粛生活を
余儀なくされた25人の作家によって書かれた短編集をチョイ読みしました。
   
よく分からなかった話もありましたが、記憶に残った小説をいくつか紹介します。

*恩田陸「悪い春 202X」
 匿名で勲章を授与されてる人がいて、日本のワクチンはほとんどその人のお陰で
出来ているのです。またその人は特殊体質でもあり、どんな感染症に罹ってもすぐに
抗体を作ってしまう。しかもはるか昔の感染症の抗体もなぜか持っていて、あらゆる
免疫があり、国家の管理下にいて、ことある毎に血を採られ、CDCやWHOにも検体
を提供し、世界の医療関係者のあいだでは密かに「救世主」と呼ばれているのです。
この話の中では、毎年ワクチンを打っていて、その内に何も効かなくなるのではとか、
副作用が出るのではないかとか常に心配していますーーどうやら、コロナはしぶとく
生き残っている様子で、終息の期待感は薄れてしまいましたまだ、私たちは1回目の
ワクチンさえも受けてないのに・・。
しかも、この小説ではワクチン接種しても効かない人が結構いるとか・・。

*櫻木みわ「しおかぜ」
 北朝鮮に向けたラジオ放送に着想を得て、2020年の春に書かれた小説。
拉致被害者の家族の言葉に強い痛みと、自分に情けなさを感じました。
「北朝鮮より日本の方が怖いんじゃないか。だってこんなに何もかも放ったらかされて、
当たり前みたいに知らん顔してやっていける日本の国自体がーー」
たくさんの大事な事を解決しないままに、しかもこのコロナ禍に「オリンピック開催」
に力を注ぎーーー。

*森絵都「太陽」
 激しい歯痛で訪れた不思議な歯科医院でのストーリー。非常事態の下、神経を取った歯
の激痛から話は以外な展開にーー。

*河崎秋子「洞(ほら)ばなし」
 主人公は叱られた腹いせに盗んだ母親の大事な指輪を、広い公園の隅に生えている
大きな木の木肌の小さな洞の中へ隠したことから起こる・・・あ~~、恐(>_<);

*木下昌輝「おとぎ輪廻」
 おとぎ話に出てくる主人公の輪廻の話。変に”納得してしまった私”でした!
「竹取の翁」の若いころは「浦島太郎」で、「彦星」にも通じ、「人魚」は寿命がくると
「アマビエ」になるとか、ーーいろいろ繫がっていき、また「竹取の翁」へと繰り返す。
とにかく「日本昔ばなし」の主人公がみんな繋がっているという発想は面白かった!