Sbagliando si impara. (間違うことで人は学ぶ。)

イタリア語の勉強に、nonna ひとりでフィレンツェへ。自分のための記録。

「大きな鳥にさらわれないように」川上弘美

2021年04月13日 | 読書
関西地方にコロナ感染者増加が止まらない。
京都は4月12日から5月5日まで「まん延防止条例」が発令されました。
もう少しと思いながら、外食もしないで自粛生活をずーとしてきたのに、
また・・・。どうしたもんだろう??ワクチン接種してからちょっと気を
緩めてもいいかしら??  ダメダメ! ここからが大事!

「大きな鳥にさらわれないように」でファンタジーの中へ。
         
最初から不思議な話でした。何回か結婚をし、子供を50人も育てた、
子供たちの成長が早くて、生後三ヶ月で十分幼稚園に通える、
古文書の中に「日本」という国もあり、他にたくさんの「国」があった
と書かれていて、工場で人間や食べ物を作っている、「わたし」が何人も
いるとか、・・・。

大戦やらテロ、汚染物質拡散等で絶滅した人類の物語のようでした。
人類が急速に絶滅に近づいていることを認めようとしないことを、人工頭脳
は慈しみの心で見守っていました。この時代の人工頭脳は人類よりも優って
いるのでは? ひょっとしたら人間よりも人間だったかも知れません。
「人間は自分が信じたいことしか信じない。」

数千年以上の個体を繰り返しクローン発生させた人間。
その内に人間の細胞さえ無くなり、他の動物・・・鯨、カンガルー、牛、兎、ねずみ、
馬等から人間のクローンを製造し、交合し合い人間を増やす、だから、イギリス人
とか日本人とかでなく鯨由来、羊由来とか○○由来と呼ばれていたんだと分かりました。
人種差別の起こりようがありませんね・・飛躍しすぎかしら?

新しい遺伝子をもち、進化してゆく可能性のある人間が生まれていく為に、
集団毎に完全隔離し、それらを観察し、記録するクローン人間である見守り
各集団の村に置きました。各集団は他の集団の存在さえ知りません。
争いや妬みも格差もなく穏やかに暮らしています。
でも、地域隔離を行ない始めて数百年後から変異個体が現れ始めたようです。

最終章「なぜなの、わたしのかみさま」では、エリとレマの二人の人間だけ
が残ったとーーー。でも、この二人もクローン人間・・・。
レマは自分の中に「昔、人間だったという気配(僕)」を感じ、エリはクローン
発生で生まれた自分自身の、元の細胞を持っていたのは「どんな人間だったのか?」
との思いから、他の人間に会いたくて「人間発生」を始める。
「最初はいつもささやかな始まり方をしてきた。」とどこかに書かれていました。

人類が絶滅に向っているころ、宗教、哲学、思想も人類はほとんど失っていました。

最終章の最後の最後に「あなたたち。いつかこの世界にいたあなたたち人間よ。
どうかあなたたちが、みずからを救うことができますように。」

今を生きる人類への警告の物語と私は感じました。