今日は蒸し暑く、朝からソファーを陣取り、図書館で借りてきた2冊目の本を
読み始めました。
既に読み終えた「ハグとナガラ」の読後感を、忘れないうちに書いておかなくては
と気にしながらも。
健忘症気味で固有名詞は勿論、言葉遣いさえもうっかりすると・・・。
作者と友人を「ハグとナガラ」というキャラクターに設定して、ふたりのこれまでの
旅自体を物語りにした作品。
表紙画は原田マハさんのアメリカの知人ジェーン・デュレイさんの作で、
この絵の中で「銀色のキャリーケース」を持っている女性がハグ(原田マハ)
のようです。
文章中に何度も「リモアの銀色の小型キャリーケース」が出て来て、かなり
お気に入りのようで旅にはいつもいっしょでした。
大学時代からの友だちで2人とも独身、ハグの理想の将来像が見事に
崩れ去った時期、ナガラからの誘いでふたりの旅が始まったのです。
ナガラのいつもの誘い文句も粋です。
「人生をもっと足掻こう。」
アラフォーから始まり50代の間、お互いの母親の介護も始まり、以前のようには
いかなくなりましたが、旅は励みになり、ささやかな人生を照らす微かな明かりだ
ったのです。
2人の相性も良く、距離感も丁度いい心地良い友だち関係が羨ましい。
「遠く近く」の章では、最後の2人の旅が私の故郷「福山」への旅でした。
福山駅から「鞆の浦」までのタクシーの運転手さんとの会話に出てくる
懐かしい方言にホッコリ。
「鞆の浦」の情景も細やかに書かれていて、その場にいるようでした。
平山郁夫「弁天島 鞆の浦 福山」より
この章では、老いて迷い人になっていく母親に対してのどうしようもないたまらない
思いと寂しさが素直に表現されていてその感情が自然と伝わり目に涙が。
また、母親との葛藤に苦しむハグにナガラが掛けた言葉に私も感動。
彼女たちは電話でもなく、手紙でもなく、短いメールの会話のみです。
「あおぞら」では、ナガラへのちょっとしたハグの誤解があり、ふたりの関係が
どうなっていくのかーー少しだけ心配になりました。
それは、ハグの苛立ち、嫉妬から送信終了後には消去できないメールをナガラに
送った後、日を置いてナガラから、
『私らの旅をー』と、友は書きかけのメッセージを送ってきた。
コロナ禍で安心な自由はなくなったが、わたしも「人生をもう少しだけ足掻こう。」