よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

建設費

2010-02-25 05:50:01 | 住まいづくりの進め方、考え方

 15年前、建設費用を原価で積算するよう方向付けようと、協力施工業者に働き書けた。
最初は、業者からの反発もあったが、今は逆に原価を表に出す方が楽だと言っている程だ。
原価計算は特別ややっこしいことではなく、逆に施工業者の手間が省ける事になる。

見積書作成は、設計者から図面を受け取り、工務店の下請け業者に工事範囲の図面を流す、基礎工事、サッシ工事、屋根工事、外壁工事、板金工事、家具工事・・・・。
と、約20社以上の業者に依頼した見積書が届くと、積算が始まり、積算担当者が、下請けからは出てこない部分の数量積算を行い、それと平行し各下請けから出された見積書の内容と数量をチェックしながら、値交渉を行う。
金額と施工内容を確認し、納まりの悪いところがあれば、修正を加え、予算の変更をも含めて発注金額を決めていく。

この時点で、建物の品質は決まっていくので、本来はその家の現場を担当する現場監督が積算を行えば、業者と打ち合わせした納まりは、間違うことなく現場で施工されるが、見積もり者と現場監督が異なる場合、伝達の不備や、施工業者の思い違いなどで、決めた通り施工されない場合もある。

建物の良し悪しは、設計図は元より、施工する側の現場監督の技量によって大きく違いがでる。
知識や現場経験が多い監督程、積算数量や単価は手直しする必要もなく、ほぼ正確な内容であがってくる。
しかし、施工業者も決められた経費以外に、予備費や経費の上積みをと考えているのが本音で、経験や知識のある監督ほど、巧妙に予算確保を積算の中で分からないように盛り込んでくる。

施工業者から出された内容をチェックするには、する側も積算の経験や、現場監督の経験なぞ実際経験を積んでいなければ、出された予算を見極めることが出来ず、殆どの設計事務所はこの見極めが出来ないため、見比べて施工金額の安い業者を選ぶ為、今なお競争入札の手段を持って業者を決める。

原価で積算すると言う事は、100円の物を掛け値無しで消費者が買える事になる。
その原価100円が高いのか安いのかを判断するのが我々設計者側の技量であり、知識であり経験によって見極めなければならない事となる。

今年3月から着工する立て替え工事で、既存建物の解体があり、建物予算は、建設費と解体費がそれぞれ出されており、建設費は2700万円で、解体工事は350万円の費用となっていた。
私の経験の中では200万円程度で解体ができると考えて予算配分をしていた。
しかし、進入道路が狭く、隣の畑を一部使わせて頂き、20メ-トル程度の進入路を造るために50万を考えていたのが、350万は高いと感じたので、こちらで信頼の出来る解体業者を探し、現場をみせ、担当者を呼び値交渉をしたところ、こちらの思惑の進入道路を含み250万円で承諾が得られた為、見積書を調整、その他、建物の各項目の金額の修正と、部分的に仕上げ内容を変更し、消費税込みの2700万円の建物費用と解体費350万円を査定し、最終的な建物予算は、2570万円と解体費250万円となった。

結果、建物費用が130万円の調整と、解体費の100万円の調整で合計230万円の減額で、お施主様と工務店の契約が完了した。




建設費

2010-02-24 07:58:56 | 住まいづくりの進め方、考え方

 建物には多くのパ-ツがあり、キッチンや便器のように、そのまま取り付ければ良い物や、別注家具のように、採寸しその現場に合わせて作る物なぞ、種種雑多の寄せ集めと言っていいが、現場の条件や建物の内容によって金額もそれぞれ違いが出る。

とにかく全て人の手によって作られるもので、予算の為の押しつけの中で、職人の良さを果たして出し得る事が出来るかが問題となってくる。
工務店の中には、入札に勝たなければならないため、入札金額を決める際、下請けの見積書を値切りにかけ、受注した予算の中から工事発注する際に、工務店の利益を守るため、再び値切りにかける。

このように、競争入札の裏には熾烈な値切りがあり、
設計者の予算を考えず書き上げた内容が、建物のみてくれが優先され、本質的な品質が置き去りにされる場合さえある。
このように、消費者の分からないところで、消費者が望まない方向に動き、金額優先の中で品質が見捨てられ
ている。


建設費

2010-02-23 07:20:31 | 住まいづくりの進め方、考え方

建設費は複数の業者が出せば、その業者の数だけ、金額の違った建設費が出される。
極端に違う場合、2~3割の開きさえ出る場合もあり、普通はそれだけの開きが有ること自体おかしいと言っていい。

例えば、3000万円の建設費用がA社から出たとすると、B社が3500万円となり、C社は2500万円の見積書もあり得る事となり、最低と最高で1000万円の開きが出る場合さえあり得るのだ。
木造の建物だとすると、1000万円の開きは、C社が基礎は無料、屋根工事も無料、大工手間も無料としてやっと1000万円の開きが無くなる程の大きな開きとなる。

このような事は現実としてあり得ないことであり、3500万円の見積書が正解なのか、3000万円が正解なのかさえ一般の消費者は判断出来ない。
私は、過去に施工業者の立場で競争入札に参加した事があり、実行予算を2週間程かけて組み上げ、無駄が無いか見直し、参加業者の予算を想定し、それに負けない予算とするため、金額を見直し、時には利益無しの
金額、つまり実行予算そのままで入札に参加する時もあったが、それでも受注出来ない事もある。このような入札は、良い建物を造ると言う考えではなく、とにかく仕事を受注するために予算をそぎ落とす。

もし、そぎ落とした予算で受注出来たら、今度は利益のない受注金額から、会社の利益を出すため、工事の予算を絞らなければならなくなり、下請け業者に無理な予算を押しつける事になり、実際建物を造る折り、その押しつけられた予算により建物の品質が落ちる事となる。
今考えると、入札は、ただ金額を下げる為の競争で、その行為の中には、良い建物を造りたいなどと言った考えなどはおきない。

 

 


こだわり-3

2010-02-05 08:04:09 | 住まいづくりの進め方、考え方

 ”住まいづくりのこだわり”は設計側から考えると家づくりにおいて、最も大事なことであり、こだわりを諦めない事が本質的に良い住まいを造り上げる原点とも言える。

住まいづくりに限らず、”こだわり”は持っているが、自分自身の判断で通せるものと、人が絡み、こだわりの難しさがでて思い通りに行かない事もあるが、住まいづくりのように、人が絡み、お金が絡み、知識が絡む場合は、多くのハ-ドルを越えなければならず、殆どの人が”素人だから”とか”お金がかかるから”とかの壁を越えきれず、諦めてしまい、ラベルの価値で満足してしまう結果になってしまう。

住まいづくりの大切さは、建ててしまったら後戻りすることが出来ず、その後何十年も住み続けなければならない。
私は35年家づくりに関わって来たが、何時も感じるのは、「大切な家づくりを何故、簡単に託してしまうのだろう?」との疑問が残る。


こだわり-2

2010-02-04 08:39:10 | 住まいづくりの進め方、考え方

 こだわりを持つと言うことは、同じ色に染まる事を良しとしない人で、あくまでも自分に正直に生きようとする人なのだろう。
昔は、そんな人は”変わり者”だとか、”難しい人”だと言われ、ともすれば仲間から排除されがちでもあった。

自分の必ずしも色に染まる事に安堵を覚える人ばかりではなく個性を持っている人であっても、それを出し切れない環境であったり、そんな場所にたどり着けなかったり、その方法を知らないで満たされないまま終わってしまう場合もあるのだろう。

何事に対しても、諦めることなく自分の意思を曲げるlことなく、妥協で終わらないで自分の思った物を手に入れる為に努力しなければならない。


こだわり

2010-02-03 08:13:38 | 住まいづくりの進め方、考え方

  昨日奈良からお客様がこられ、自分が気に入る家を手に入れたいと相談に来られた。
過去に、ハウスメ-カ-に家づくりを相談した事があったが、一般的な間取りや新建材で仕上げられた家ばかりだったので、興味を引く物は無かったと言う。

当社には住まいづくりに”こだわり”を強く持っている人が訪れる。
自分の気に入った土地が出ても、建築条件が付いているので当社に設計してもらえないと言う理由で購入を止める人、契約し200万円もの契約金を支払っていても、やはり”自分の想い通りの住まいづくりを”・・と契約金を放棄し当社を訪れる人。

そんな、こだわりを強く持って”家づくり”に臨む人は、プランニングもあまり迷うこともなくスム-ズに進み、プランを何回も書き直す事は殆ど無い。
自分の住む家のイメ-ジをしっかり持っている為、こちらはそのイメ-ジを理解し、それにあったプランを線で表現すれば殆ど手直しはなく、プランが決まる。

若い頃は、何回もプランを書き直し、プランづくりに多くの時間を費やしたが、こちらの未熟さもあったのだろうが、強いこだわりを持った人も少なかったのかも知れない。
今は、殆どのクライアント様が、自分の色をしっかり持ち、
”住まいづくり”臨む。

住まいづくりの良し悪しの多くは殆ど依頼者側の考えによって決まって来る。
依頼者がどれほどの情熱を持って 住まいづくり に臨むかによって私達設計者はその波長に合わせテンションもあがるのだろう。
事を動かすのはプロの域で決まるだけではなく、こだわりを受け、その人の喜ぶ顔がみたくなり、いい家へと繋がる。