私が、 20代の頃、大阪の工務店に勤め、現場監督をしてた頃、その会社は年間12億円程度の物件をハウスメ-カ-から下請けしていた。
今は残っていない、殖産住宅と言う会社で、その当時まだ展示場展開をしていなかった時代のトップメ-カ-であり、多分2年連続売り上げNO1の記録も残した会社でもあった。
私が、最初手がけた物件は、3階建ての鉄骨造の店舗で、殖産住宅の受注金額は5000万円で、現場に渡された予算は3000万円で、工期は3ヶ月の厳しい工事期間の中で現場は動き、実行予算から更に10%の利益を上積し完成した。
結局、実際現場に要した費用は受注額の60%であり、4割以上が、経費と利益になっており、現在も大手の利益配分は多分その当時と変わっていないだろう。
大手であるため、その多くの経費は人件費となり、母店経費、支店経費、下請経費、に多くの費用が使われ、結局必要とされる建物に使われる実質予算は6割程度となってしまう。
これは大きさ故の宿命であり、大きな図体を動かして行くにはそれだけのエネルギ-が必要となり、そのエネルギ-がつまり、莫大な資金であることは否定できない。
資金に見合う”見た目”を作るため、メ-カ-はデザイン優先の商品を作り、出来るだけ安い材料で見た目に良い物を作らなければならない。
当然無垢材では作れず、人工的素材に、ペンキを塗り、クロスを貼り、自然素材からかけ離れた所で商品開発を強いられる。
坪単価80万円もする家であっても、殆どがクロスと集成材で仕上がってしまい、それすら疑問に感じない消費者が居ることも確かで、今なお多くのハウスメ-カ-が生き残ってる。
我々設計者から見ると、決して魅力的な商品とは思えず、それだけの予算があるなら、もっと良い物が作れるのに・・。とその予算を聞く度思ってしまう。