よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

とりとめもなく

2010-04-01 08:16:36 | とりとめもなく
 国民の雇用保険料を使って建てられた箱物が閉館されると言う、建設費、維持費を含め900億円もの大金を結果的にまた溝に捨てることとなる。

特別行政法人が企画し進めてきた多くの箱物、それを認めてきた霞ヶ関の連中が私利私欲の為と、自分の金じゃないとの無責任で事を進め、60年もの間、霞ヶ関に依存してきた政権のしわ寄せがこの不況を造り上げた要因とも言える。

ある日突然造成が始まり、何が出来るのか分からないまま何の疑問も起こさず見守ってきた私達国民にも問題があるり、任せっきりの依存体質の中で生まれてきた負の遺産が全国に存在し、それの要した何百億もの資産を1050円で売却しても、怒らない国民が私達日本人であり、誰も責任の所在を求めず、時の流れで忘れてしまう私達国民の意識にも問題があるのだろう。  

相場

2010-03-24 07:43:38 | とりとめもなく

  物を購入する場合、殆どにその時の相場があり、その時の相場を決めるのが、今、私達が味わってる不況、が最も大きな決めてとなる。

一般的には物の価格を”相場”とは表現しないが、卸売りの世界では、相場と言う言葉が使われ、物の値を判断するとき、その時の相場で安いか高いかを判断する基準となる。

一般的に良く知られている言葉に”金相場”があるが、これも景気の変動により、金の価格は動く。
過去のオイルショックの折には、相場が崩れ、建築資材は毎日のように値段が上がり、一枚980円で買えた商品が二倍の価格になった時もあった。

この大きな価格変動は、石油が入手出来ない事に端を発し、人間の欲が絡んだ結果、石油に関係の無い物まで価格が高騰してしまう事もある。
オイルショックの相場が狂った事に目をつけて、業者が買い占めを行い、その商品が不足し、高値がつき、その時売って儲けようとする人為的な価格変動によりインフレは引き起こされる。

住まいを考える中で、一般の人は建築相場をあまり知る機会もなく、個々の単価は殆ど知ることがないため、坪単価を相場だと考えてしまい、安い坪単価に目がいってしまう。
国道を走っていると、「坪単価25万8千円で家が建ちます!」とあるが、多分行った人の数だけ後悔があるのだろう。


相場

2010-03-23 06:29:22 | とりとめもなく

 人は皆、住まいづくりには、一杯夢があり、要望があり、それらを出来るだけ多く満たしたいと思っているが、まず第一歩を踏み出さなければ事は始まらず、住宅雑誌を買い、どのような間取りにするか家族で話し、結局上手くまとまらない為”勉強”という理由で、住宅展示場巡りを始めるのが、一般的な家づくりの始まりとなる。

進む選択肢で、住まいは自ずと決まってしまう場合があり、自分の意思に反し、思うようにならず、結局は「おしきせ」の住まいとなってしまい、思い通りにならない場合がある。
何処と話しを進めようが、予算を考えることなく、資金にゆとりのある人は、何処に依頼しようと思った事は叶えることは出来るが、殆どの人は予算に限りがあり、無理のない所で望む家が出来ないものかと、思案し、思いを託す事となる。

 

住まいづくりをどのように進めて良いのかも分からず”とりあえず”展示場巡りをし、訪問した業者の中に、接客してくれた人がとても優しかったので”とりあえず”その業者にプランを書いてもらうことになり、要望を言い、出てきた予算は希望金額を大きく越えてしまい、予算の範囲内で納めるには、夢を諦めなければならなくなってしまい、夢の多くは予算に潰され、妥協の中の家づくりとなってしまう場合もある。

私は、家づくりに迷っている人に例え話をすることがある。

例えば、ご主人が道路を走っていたとき”美味しい大根5本1000円”の看板を見て、奥様を喜ばせようと5本1000円なら安いだろうと思い、奥様の喜ぶ顔を思い浮かべながらその大根を買い、家に持って帰り、
「お~~い立派な大根があったので買ってきたぞ、5本も入って1000円だって!」

優しい奥さんなら、「あら・・立派だ事、ありがとう、でも今度買うときは電話頂戴ね!」というかもしれないが、そんな優しい奥様ばかりじゃなく、「何でこんなに高い大根かってきたの?」
「高いでしょう!・・一本2百円もする大根なんて!」と怒られてしまうのが落ちになるかも知れない。

大根一本の相場がいくらか知らない奥様は殆ど居ないだろう。
ス-パ-に買い物に行けば、大根一本95円程度で売っており、豊作の時は80円で買える事も知っている。
されど、1000円で目くじらを立てて怒る金額でもない。


打ち合わせ

2010-03-15 07:30:55 | とりとめもなく

 建物を造る場合、住む側と、創る側とのコミュニケ-ションが重要で、お互い同じ目線で進めていかなければならす、どちらかが優位に有ってはならない。
住まいづくりに必要な情報を設計者に出来るだけ多く出し、要望も前もってまとた方が、その関連性や手順が設計者が理解しやすく、無理のないプランを組み上げることが出来る。

思いつきで、小出しに出された場合、一つの要望が、構造から見直し、他の部分の変更までも強いられる場合さえ有る。
プランは、予算を考えながら、その範囲の中で最大限可能な中で組み上げながら創られていき、その途中で変更が有った場合、予測が崩れ、変更を満たすために、構造や方法を変えていかなければならない。

当社では、出来るだけ多くの情報を得るためや、途中で要望や変更が変わらない為にも、プランづくりの前に、スクラップブックを一冊作っていただき、その中に気に入った写真の切り抜きや記事など切り貼りしてもらい、コメントも一緒に書き込んでもらうようお願いしている。

その他の情報として、靴の数や、ハンガ-に吊されている服の数、家具の寸法や種類、家電製品のサイズと種類、新規購入予定の家電類、なぞ、必要な情報を全てスクラップブックに書き込んでもらうようお願いしている。


選択

2010-03-05 08:02:02 | とりとめもなく

 選択肢の違いにより大きく変わる。人生も同じように誰と出会ったかによって変わる場合が多いい。
出逢った人が変えてくれるのではなく、出逢った人の影響を受けながら、自分の行動や物の考え方、捉え方が微妙に違ってくるのだろう。

持って生まれた体質や、気質が変わるわけではないが、自分が持っているものが出せるようになってくると言った方が分かりやすいのだろうか?
子供が、成長過程の中で、悪友仲間と一緒に遊べば、子供はその環境に自然と適応し、その世界が自分の居所と思うようになり、そこから離脱出来ず悪に染まっていくように、最初の出逢いでその先で手に入れる物が変わってくると言っても過言ではないだろう。

社会にでる時、結婚をする時、その時々で選択肢があり、その時の決断で自分の人生に大きな変化を強いられる事がある。
就職先が思惑と違った場合、その時その会社を辞め、その失敗を踏み台に、次の就職先を決めることも出来るが、結婚をし子供が出来、「私が求めてるものはこんな人生ではない」と思っても、仕事先を変えるように簡単に移ることはできず、我慢して生きていかざるを得ない事にもなる。

住まいづくりの選択肢は、何処か結婚を決断する時の人との出逢いに似たところがあり、どんな人に出会うかによって、建物の中身や満たされる物が変わり、満たされた物の中に住み、気に入った物の中で生活する充実感を味わえるのも、選択肢の違い、つまり出逢いにより変わってくる。


とりとめもなく

2010-02-17 20:48:52 | とりとめもなく

 寒い日が続く、温くなったり、寒くなったり、ぽかぽか陽気が次の日は真冬の気温に急降下だ。
こんなにも寒暖の差が激しいと、お年寄りはそれについて行けなく、体調を壊してしまう。
昔、日本の平均寿命は50歳以下だった時も有ったそうだが、今は50歳と言えばバリバリの働き盛りで、女性の平均寿命は85歳を越え、男子の平均寿命も、すぐに80歳を越えるだろう。

今、特別養護老人ホ-ムの改修工事の為、打ち合わせに出向くが、殆どが女性で、男女比率を聞いて驚いたのは50人中男性は一人だそうで、15年間殆ど比率は変わらないとの事だった。
この現実から考えても、女性はとにかく強い生き物なのだろう。
男女平等雇用法も定着し、まだ格差は有るにしても、今後その格差も無くなり、多分女性社会になる事は間違いないと思っている。

男性に比べ持続力に優れ、能力にも優れ、体力にも優れている。
三拍子揃っている生き物で有る以上、必ずその時代はやってくる。

 

 

 


リホ-ム

2010-02-14 10:43:22 | とりとめもなく

 私が小学校3年の頃、親父が一大決心で家を建て直す決断をし、30坪の平屋を建てた。
家族9人が住む新居を、親父もわくわくしながら建てたのだろう。
竹を組み、赤土にワラを切り込み、貫のある所は割れを防ぐ為に使うシュロを集め、家族が家づくりに参加し、土壁を塗り、柱に食用油で溶かした紅を塗った。

同じ喜びを感じながら、家づくりをした記憶は、私の中に残っており、その記憶から家づくりの道に進んだ。
家には、殆どの大工道具が揃っていた。
家が完成した後にも、親父は池を作り、納屋を造り、石垣を積み、家の周りの整備を自らが行った。

私は、それを観て大きくなり、今、同じ事をやっている自分は、確かに親から引き継ぎ、当たり前の事をやっているのだと感じる。
物づくりの楽しさを教えてくれたのは、親父であり、「自分の出来ることは自分でやる」・・それを教えてくれたのも多分親父なんだろう。

今、家づくりの仕事をさせて頂き、出来ればクライアントが、家づくりに参加して頂ければいいと思っている。
それは、完成後家を維持していく中で、役に立つ体験でもあり、物を作る喜びと、大変さを味わってもらえば、家に対する愛着もあり、思い出としても残っていく。

過去には多くのお人が、住まいづくりに参加してもらった。

ログハウスの塗装した人、部屋の壁を全て塗った人、庭を造った人、その人達の共通の感想は「いや~~~ぁ思ったより大変でした。」と言う。
しかし、「楽しかった!」と必ず言ってくれる。
何の物づくりをしても、作る事は楽しいもので、職人がやったようには上手く行かなくとも、満足感と自分で造り上げた喜びが残るもの。

クライアントの中には、今までやったことが無かった日曜大工を、家づくりで目覚め、ホ~ムセンタ~にせっせと通い、大工道具を買い込み、椅子やテ~ブル、本箱、なぞ作り始める人もいる。
その奥様の感想は「最近工具が知らないうちに増え、置き場所に困っています」との声も聞く。

いいことだ!
道具が揃えば、やる気も起こり、子供等にも「お父さんは何でも出来る」と子供は感じてくれ、それが子供等の心の中に染み込み、大人になった時、また子供等も同じ事をやり始めるに違いない。


安心を得るということ

2010-02-02 05:53:30 | とりとめもなく

 安心を得ると言うことは、穏やかさと求める事と、不可を無くすと言うことになる。
安心とはなんだろう?
物から得るものなのか、それとも感覚的なものなのだろうか?
安心は自らが手に入れる物ではなく、相手から与えられるものだと思っている人が多いのではないだろうか?

自らを守る意識が弱いのが私達日本人なのかも知れない。
周りを海に囲まれ人の流入が殆ど無く、独自の進化をしてきたと言ってもいい。
攻められ植民地になったことも無く、穏やかな国であり、外的から身を守る必要はなく、守られている中で生き繋いで来たため、内面的な強さを持つ必要が無かったのだろう。

生きながらえる為に必要なのは、外敵からではなく仲間の中から弾かれる事を恐れ、周りを気にしその流れに乗ることが守る事に通じ、異端児としては生きられず、共鳴することが生きるための手段で、私達は知らず知らずのうちに、その”すべ”が遺伝子の中に組み込まれ進化してきたのに違いない。

多勢に無勢、長い物には巻かれろ・・・・出る杭は打たれる。
今、陸の孤島であった日本は過去の物で、簡単に海を越えることができ、世界の情報を瞬時に見て取ることが出来る時代に入り、私達の中にすり込まれた遺伝子を排除しなければならない時代なのだろう。

自分の身は自分で守ると言う意識を強く持ち、貴方任せの考えを捨て、理屈で物事を考え”みんなに聞いてから考える”と言わず、自らが自らの選択肢を選ぶ強さを持たなければ、国が守ってくれる訳でもなく、周囲が守ってくれる訳でもない。

自分らしく生きて生きたいとの思いは強いにもかかわらず、いまだに大きな流れの中に身を置く安心感を捨てきれずにいる。


知らない怖さ-2

2010-02-01 07:27:53 | とりとめもなく

 日本の政界で、過去の戦後復興において、官僚達の国の復興を目出す働きは大きく、日本の躍進は世界から見ても驚異的でもあったのだろうが、国が安定し、高度経済成長に入ると、人は楽に過ごしたいと考えるもので、安定の上に官僚達はあぐらをかき、定年退職後も楽に過ごせるよう組織を作り、天下りにより安定を図る事を考えたのだろう。4500もある法人が12兆円もの私達の税金を使っている。

全てが必要のない組織だとは言い切れないにしても、何が必要な法人なのかすら私達は知ることが出来ないのが現状で、その仕分けは国民が選んだ国会議員に託さなければ仕方がないのかも知れない。

しかし、ここまでにしてしまった責任は私達にもあり、貴方任せのしわ寄せが、今の日本であり100年に一度と言われる不況だと言い訳をしている私達国民なのかもしれない。

人任せの気質は私達の建築界の中でも見られ、自分を守る術を持って望むクライアントは少ないように思われ、
住まいづくりを託す業者を選択する際、良い住まいを造りたいとの思いは全ての人が持っているのだろうが、
その為の選択肢を考えるのではなく、”安心”を手に入れようとの思いの方が強く、品質が高く、建設費用の無駄を無くすためにどうすればいいのかは考えず、安心に執着する。

いつの間にか日本は殆どの物に保証をつけ、5年保証、10年保証と保証の中身を考えず、保証の長さを見てしまい、とうとう住宅にも100年保証と数字だけが作り出され、その中身を見極めることなく信じてしまうのかも知れない。

今、85年前に建てられた住宅のリホ-ムの依頼があり、昨年暮れから現況の建物の調査を行った。
建物の傾きや不同沈下の有無等と、耐震強度が主な調査項目で、傾きは何処にも見られず、沈下も起こしていない。
耐震強度は0.28と建てられた当時は、耐震基準もなく、大工さんの技量で考えられた程度のもので、地震が来ればこの家は必ず倒壊する事が判明したが、耐震壁を増やし、耐震診断の結果1.28まで強化出来る。

85年前に建てた建物でも、耐震補強と断熱を強化することで十分住める建物になり、保証は付いていなかった家だが、もしかすると100年保証の付いた今の建物よりも品質の高い家になるかも知れない。


知らない怖さ

2010-01-30 07:37:09 | とりとめもなく

  知らないで済んでしまうほうが良い場合もあるが、殆どは後に知った時に後悔したり、知らなかった結果大きな負担を強いられる場合が多く、出来れば後悔しない選択肢を考えるべきなのだろう。

私は、PC音痴で使い始めた頃はまだ800メガほどの容量しかなく、今から考えれば性能的にはお粗末なもので、それからPCは年々性能が向上し、ソフトも充実し、それについて行くのにPCを買い換えなければならなかった。


今のような低価格ではなく、デスクトップで4台をランケ-ブルで繋ぎ、サ-バ-にデ-タ-を保存するシステムを組んでいたため、PC音痴には全く分からず、分からないから業者に依頼し、任せっきりにしていた。
一基購入すれば工事費と設定料金を合わせると50万円程度の費用が必要となり、大きな負担となっていた。

知らないと言うことは業者に取ってみればありがたいお客なのだろう!
分からないから高いとも言われず、悪く言えば楽に儲けることが出来るし、面倒な事は金額を高く設定し「高く付きますよ!」と言えば面倒な事はやらなくて済む。

ある日、「もしかすると、この業者は高いのかも知れない」と思いインタ-ネットで調べ、空のPCを買い、必要なソフトだけを自分でインスト-ルし、設定だけを別のプロに頼むことにした。
自分で選んで買うにはある程度の知識が必要で、今まで分からないからと敬遠していた知識も、必要となれば知識は身に付いていくもので、今はPCも安くなり、買い換えても10万円程度で最速のPCを手に入れる事が出来るようになった。

大事なことは、疑問を持つ事で、信頼することは大事な事なのだろうが、知ってる人だから安くしてくれるとは限らない、相手は逆に知っているから値切っては来ないだろう、高く請求しても文句は言わないだろう・・・と思っていると考えた方が正解なのかも知れない。
全てを知って物を買う訳にはいかないだろうが、出来ればどんな方法で手に入れるのが一番いいか?・・と言う理屈を考えれば後に後悔することのない無駄なお金を支払わずに済む事につながる。





知らない怖さ

2010-01-29 07:57:40 | とりとめもなく

 知らぬが仏・・・知らない方がその人にとって腹も立たず過ぎてしまったと言う結果で終わってしまう事柄であれば、それはそれで良い場合があるが、後に残っていくものであれば話しは違ってくる。

私は、過去に通販にはまった事があり、テレビコマ-シャルを見て性能の高さに惹かれ買い実際使ってみれば、大した事はなく、使わなくなり素材ゴミなってしまった。

金額にすれば7000円程度のものだが、買いたいと思ってる時は、7000円程度でそこまで性能が高い筈がないだろうと言う思いと、通販だから安く売ることが出来るのだろうと思う、不信と肯定の攻防でも結局は欲しくて買ってしまう。

所が、買った物が家ならどうなのだろう?
素材ゴミに出すわけにも行かず、ロ-ンを支払いながら住み続けなければならない。
何千万もの高価な物を買う場合は通販の用に簡単に決めてしまえる商品では無いにもかかわらず、いとも簡単な動機で決めてしまうのが信じられない。

あの展示場に素敵なキッチンが入っていたからとか、あの会社の営業マンが素敵な人だったからと言ったような、家の価値の対称にならない所で決めている。
最も大事な建設費については、「素人だから分からないので貴方を信じて契約します」と言ったように安易に決めてしまう人達が多く見られる。

これから家を建てようと考えてる人は是非、「なんでこれだけの費用が必要なのか?」と言った疑問を常に持って頂きたい。
費用には必ず根拠があり、その費用を探って行くと原価に行き着き、物の価格は原価の上にいろいろな費用が重なっている。

その”いろいろな費用”の中に無駄な費用が含まれており、無駄な費用を排除する方法が見えてくる。



引き返せない弱さ-3

2010-01-28 09:45:00 | とりとめもなく

 引き返せる強さを持った人もいるが、それはたまたま引き返す価値を見つけ出せた人なのかも知れない。
弱さは人間誰しも持ってはいるが、強いといわれる人の多くが、誰かが後押しをしてくれ、引き返せる勇気をもらう場合が多いのかも知れない。

信じる者こそ救われる・・と言うが、悪く解釈すれば、ここまで来たからには知らないほうが精神的衛生上いいかも知れない。・・という場合もある。
長年建築の仕事をやっていると、知り合いから「友達が昨年新築したので、一度プロの目で出来具合を見て欲しい」と頼まれる場合があるが、こちらとしては、出来上がってしまって観たところで後の祭りなのに・・と思いながら、気が進まないが友達の要望とあれば仕方がなく、承諾しなければならない。

建て主は、出来上がった喜びと、少しの不安を持ちながら案内し、「3000万円で出来ました、高くはないでしょうか?」と聞かれて返す言葉が見つからない。
「良いんじゃないですか・・・。」としか言えない。
「この内容で3000万円は高いでしょう!」と言ったところで施工業者からお金が返ってくる訳でもなく、その言葉で建て主に精神的負担を掛ける事にもなりかねない。

床は集成材で仕上げられ、壁はビニ-ルクロスだらけで、造作材は、シ-トを貼った物で納められ、自然素材は何処にも見当たらない。
自然素材を使っているから高級な家とは言い切れないが、クロスやシ-ト貼り造作材は低価格で、ビニクロスの普及品を使えば一㎡700円で貼ることが出来、これほど安い仕上げ材は他には見当たらない。

窓ガラスはシングルで、仕様書を見れば、断熱材も50㎜のグラスウ-ル、屋根はカラ-ベストで外壁はサイディング貼り。
どうしてこの家が3000万円もするのだろう?・・・と不思議に思えるほど理解に苦しむ。

「知らぬが仏」・・・建ててしまったら振り替えらない方が良いのかも知れない。
「3000万円もかけたのだから良い家に違いない」と思わせるのが親切なのかも知れないと思える時がある。

 


引き返せない弱さ-2

2010-01-26 09:34:01 | とりとめもなく

 引き返せない弱さは皆がもっている。
駄目だと分かっていても少しの可能性があることを信じ前に進む、「ここまで来たのだから」と自分に言い聞かせながら、進まなければならない時もあるが、世間体を気にしたり、自分のプライドが許さない時もある。

詐欺の被害に遭う場合の殆どは、「儲かる」と言う言葉に人は耳を澄まし、「そんな簡単に儲け話なんか無いだろう」と思いながらも、儲け話に引き込まれていき、欲が先行し「簡単に儲かりそうだ!」とコントロ-ルされてしまうのだろうか?

以前、コピ-機のセ-ルスマンから電話があり、新しい「機種に入れ替えれば必ずお得になります」、と言ったので、その話しに乗ってみる事にし、その営業マンに「必ず」と言う言葉を信用してあげるから、事務所に説明に来るように伝え、もし得にならなければ、ペナルティ-を覚悟しておくようにと伝えた。

2日後に彼は自信たっぷりで説明を初め、今支払っている月々のリ-ス代金を比較して、「お得でしょう!」と言うのだった。
今のリ-スは後2年で終わる事も彼は知っており、しかし彼の誤算は月々の比較をすることしか考えていなかった。

最後に彼に「後2年で終わるリ-スと買い換えて7年支払わなければならないリ-スとどっちがお得なんだ?」
確かに、新しい機種なら故障も少ないし、メンテナンス費用もリ-ス代金に含まれており、今使っている機械はリ-ス期間が切れれば年間契約で更新していかなければならず、不備があった場合修理も割高になってしまうが、
日本の精密機械は優れており、簡単には壊れない性能も備えている。

家電商品も含め、平均15年は使えるのが日本の技術で、世界に誇れる技術力だと言ってもいいだろう。
彼は、絶対お得と言った自信も消え失せ、惨敗を認めるしかなかった。
酷だと思ったが彼の為にもペナルティ-を課す事にし、
「今、貴方の財布の中にいくら入っていますか?」と聞くと、彼は財布の中身を見て、「5000円しか持っていません」と言うのだった。
「ではその5000円を置いて行ってください、もし本当に進められるお得感のある商品が出ればもう一度この事務所に来てください、その時この5000円はお返しします」と言いい、彼はそのお金を事務所の机の上に置いて帰っていった。

多分、彼は電車で和歌山まで来て、タクシ-でこの事務所まできたのだろう、帰りは駅まで30分歩かなければならないが、その帰り道、後悔しながら帰るに違いないと思った。

悔しさを通り越したとき、はじめて彼の中に何かが見えてくる筈、その時またこの事務所に足を運ぶ勇気を持てるようになればと思っている。
その時が来れば、この5000円と新しいコピ-機を契約してあげようと、彼の来る日を待っている。


引き返せない弱さ!

2010-01-25 09:53:51 | とりとめもなく

 「海老で鯛を釣る」とよく言う、鯛には海老の中に針が仕込まれている事を理解することが出来ないし、人間が釣り針を持っている事すら想像も出来ない。
魚の世界からは人間の思惑や道具を造っていることすら理解できないが、危険を察知する事には人間より優れているように思える。
釣り針が餌からはみ出していれば釣れないし、糸の太さによって釣果は違ってくる。
魚と人間の知恵比べなのかも知れないが、最近は0.1㎜以下の鉄を引き延ばした糸が主流となってきた。

人間と魚を比べるのが間違ってるのかも知れないが、多分人間も、その昔、危険を察知する能力は今より優れていたのだろうが、守られる事に慣れてしまい、「守られ依存症」になってしまったのかも知れない。

景気が悪くなれば詐欺行為が横行し、最近も、携帯電話の充電器を設置すれば儲かる、という詐欺や、PCネットワ-クで仮想会社を作れば儲かる、とか言ったような夢の話しに食いついてしまう弱さと、疑いを持ちながらも引き返すことの出来ない弱さが深みへと引き込まれていく要因となっている。

何万人何十万人単位の被害者が大金を投入し、一時は夢に酔ったかも知れないが、現実に引き戻された時の被害は一時の夢と相殺することは出来ないだろう。

人は何故に無防備なのだろう?
魚とは比べものにならない能力を持ち、積み上げられた知識を持ち、それでも判断力に欠け、自分の身を守る術を知らない人が多すぎるように思う。
私達建築の世界から観たとき、同じようなことが繰り返されており、一物件で400万~500万の無駄金が吸い上げられているケ-スも見かけるが、本人はそのことにさえ気付いていない。

「日本はなんと平和な国なのだろう!」と危機感を感じずにはいられない。