物を作るのは楽しいもの、簡単な物や難しい物が有るが、難しい物ほど楽しみがあり、また苦労もある。
難しい所を上手く納めることの出来た時の、満足と爽快感は、作る楽しみでもあり、それとは逆に思い通りにならない時の苛立ちと、自分の未熟さに腹をたてる時もある。
失敗に気付いた時は、何段階も先に進んでおり、後戻りすると、苦労して納めた部分もばらさないと戻れない時、などはどうしたものかと悩み、戻る手間の大きさで戻れない場合さえあるが、そのまま戻らず出来上がった物は、結局後悔する羽目になってしまうことがよくある。
趣味の中の物づくりは、思い通りに出来なかったとしても、自分が納得の上での結果として受け止めることが出来るが、依頼を受けて作る建物はそう言う訳には行かず、失敗に気付いたとき誤魔化さず、非情になり戻る指示を出さなければならない為、辛い決断になる場合もある。
手抜きが見つかるのとは違い、一生懸命やった結果の中の間違いは、簡単に”やり直してください”とは言えず、職人の立場や思いを理解しながら、説明を加え、職人にやる気を無くさないように元に戻さなければならない難しさがある。
人間には、思い違いや、間違いは必ずあり、それを責めるのではなく、間違いは間違いと認め、戻った時落胆を残さす、やる気を持続させる心遣いが、物づくりを楽しくさせ、良い物を残す事に繋がるのだろう。
物づくりの中では、基本的な考え方は全て同じで、料理を作るにしろ、家具を作るにしろ、思い描いた物を形にし、出来上がったものに対し、満足出来るかどうかでその価値は決まってくる。
料理の場合、作る人の性格なり、かけた食材の良し悪しによって出来上がりが違い、納得できるか出来ないかはそのひとの技量もあり、そこにかける予算によっても違ってくる。
このようにして、自分で物を作るとき、予算や作り方の工夫により、思う以上の物が出来たり、思い通りに出来なかったりするが、その結果に対しては、自らの中で反省すべき問題や、予算の都合なぞにより、納得出来る。
住まいづくりにおいても同じ事が言え、納得出来るものや予算にそぐった物、それ以上の物を手に入れたいと望むのは当然の事で、その為にプロにお願いし、専門的な知識を借り、計画を進める。
自分で作る物と違って、依頼先の会社や人により方向が変わり、ともすれば自分の望む物に行き着かない場合もある。
この時大事になってくるのは、見極めであり、その見極めとなる条件は、会社の大きさでもなく、ブランドのラベルでもなく、物づくりをする基本姿勢の中に有るのだろう。
利益優先の考えなのか?
デザイン優先の考えなのか?
品質優先の考えなのか?
条件を挙げればきりがなく、行き着くところは、住む人の為に何処まで配慮しているかと言うことになってくる。