よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

物作りから見えてくるもの。

2011-05-14 08:59:51 | 住まいづくりの進め方、考え方

看板の大きさ90㎝×3メ-トルの看板板2枚を再利用しようと考え
以前書かれた文字をケレンで削り取り、下地の凹凸をなくし
1.6㍑入りのペンキ1480円シンナ-1㍑900円だっけ?
それと養生テ-プ500円程。
合計2880円となり材料原価は533円/㎡となる。
これに手間を足し文字をカットするフイルム代
機械の償却費を加え看板の費用は決まってくる。



この作業を看板店に発注すれば、一枚2万円で出来るだろうか?
自分で作業する事で、かかる手間が分かり、かかる時間を読む事が出来る。
もし私が職人で、作業効率が今の2倍にあがったとして考えたとき
自分なら1枚2万円で受けられるかを考えてみる。

看板を運び、掃除をし、ケレンがけを行い、下地処理を施し
一日ペンキが乾くのを待ってその間に文字のカッティングをし
ペンキが乾けばペ-パ-をかけ、下吹きをし、乾くのを待って本吹きをする。
要領よく作業をこなしても、多分3日以上はかかってしまう。

日当2万円と計算して手間で6万円、材料費で1万円
それと会社の利益を考えてあげないといけない
それを2万円と仮定しても合計9万円の見積書を書かなければならなくなる。

もし、このような看板が必要になり、施工業者の見積もりが
10万円以上なら高いと判断し、以下なら安いと判断する。
私が材木市に行って木を仕入れるのも、家具を作るのも
自分で体験してみて初めてその難しさが分かり、
かかる時間を知ることが出来る。

建物の価格を査定する上において、物作りの過程を知らなければ
その手間を読む事が出来ない。
家造りの費用は、手間が半分以上を占め、それが分からなければ
出された見積書を読み取ることは出来ない。

現場監督を経験し、毎日の職人の出面を手帳に記録し
完成した時その手帳に書き込まれた手間が次の建物のデ-タ-になり
下請けと値交渉をするときに手間が読め、高いか安いかの判断が出来る。

金額を読むには経験と知識が欠かすことの出来ない条件となり
設計だけで生きてきた人には工事費金額を読む事は出来ず
複数の施工業者から見積もりを取り、それを見比べ選ぶしか方法はない。

家を考えている人たちが、展示場を巡り、複数の業者に
無料の設計図と見積書を書いてもらい、その中から
自分の予算に合った業者を選ぶのとあまり変わらない。

本当に家の原価をはじき出すには、見比べて選ぶのではなく
材料の原価を出し、手間を読み、施工内容を判断し
下請けの利益も考え交渉をしなければならない。



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