僕が毎日の様に行くコンビニ、サンクス。
顔は、確実に覚えられているだろう。
無論、僕も店員の顔を覚えている。
そんなコンビニで、僕はジャンボフランクを買った。
袋に詰めてもらわず、そのまま。
自分の車の中が肉臭くなるのが厭なので、外で食べる。
食欲をそそる赤と黄色の色彩を、ジャンボフランクに乗せた。
そして、僕はジャンボフランクと一体化していく。
ジャンボフランクを食べて、もうワンランク高みの存在へと昇天していくのだ。
最後の一口を、頷く様に飲み込んだ。
一人残された串を眺める。
今まで、「肉」と言う、普遍的に愛される者に包まれていた、串。
その串が一人になると、僕は、ゴミ箱に捨ててあげないとな、と言う気分になった。
確か右足からだったと思う、ゴミ箱に向かったのは。
ゴミ箱に向かって、左足でしっかりと地面を掴んだ瞬間
思いがけない光景を目にした。
なんとゴミ箱の前に、別の串が一人寂しく、横たわっていたのだ。
どうやら、その串は僕が持っている串と同類で、全盛期は肉に包まれたジャンボフランクの一員だったのだと思う。
僕はここで、とんでもない事に気付いてしまった。
たとえ僕が、しっかりと僕の串を弔ってゴミ箱に見送ったとしても、店員からしたら、この一人寂しく横たわっている串こそが、僕のジャンボフランクの串だという疑いをかけるかも知れない。
それは僕には耐えられない。
かと言って、誰が食べたか分らない串を拾い上げる気にもなれない。
今にも、店内に戻って、ここに捨てられているのは僕のじゃありません、と言ってしまいそうだ。
しかし、それこそ妖しい。
迷った挙句、僕はとんでもない行動に出たのだ。
天まで登るほど右足を後ろに振り、地面を滑らせるようにして、その串にトーキックを浴びせたのだ。
その串は、僕に蹴られ、驚きながら、そのサンクスの敷地内から、弾き出された。
これで安心、僕は善良なお客様だ、と思っていたのも束の間。
自分の過ちにすぐ気付いた。
なんの解決にもなっていない事に。
僕は、自分が人から良く思われたいと言うエゴの為に、「串の被害」を拡大させた。
何の罪もない、道路に。
あの時、見覚えのない串が飛んできた道路は、どう思っただろう。
道路は何も思わなかったのだろうか?
そこに飛ばされた串は、何を思っていただろうか?
串は何も思わなかったのだろうか?
道路や、串、今パソコンの周りにある物や、あなたが眺めている携帯電話、世の中の森羅万象の「想い」を決めるのは自分。
知っているのに、知らないふりをした僕。
それなのに僕が蹴飛ばしたあの串は、誰からも愛されることなく、肉と一緒に過ごした時間を胸に抱いて、東京と言う街を許してくれた。
顔は、確実に覚えられているだろう。
無論、僕も店員の顔を覚えている。
そんなコンビニで、僕はジャンボフランクを買った。
袋に詰めてもらわず、そのまま。
自分の車の中が肉臭くなるのが厭なので、外で食べる。
食欲をそそる赤と黄色の色彩を、ジャンボフランクに乗せた。
そして、僕はジャンボフランクと一体化していく。
ジャンボフランクを食べて、もうワンランク高みの存在へと昇天していくのだ。
最後の一口を、頷く様に飲み込んだ。
一人残された串を眺める。
今まで、「肉」と言う、普遍的に愛される者に包まれていた、串。
その串が一人になると、僕は、ゴミ箱に捨ててあげないとな、と言う気分になった。
確か右足からだったと思う、ゴミ箱に向かったのは。
ゴミ箱に向かって、左足でしっかりと地面を掴んだ瞬間
思いがけない光景を目にした。
なんとゴミ箱の前に、別の串が一人寂しく、横たわっていたのだ。
どうやら、その串は僕が持っている串と同類で、全盛期は肉に包まれたジャンボフランクの一員だったのだと思う。
僕はここで、とんでもない事に気付いてしまった。
たとえ僕が、しっかりと僕の串を弔ってゴミ箱に見送ったとしても、店員からしたら、この一人寂しく横たわっている串こそが、僕のジャンボフランクの串だという疑いをかけるかも知れない。
それは僕には耐えられない。
かと言って、誰が食べたか分らない串を拾い上げる気にもなれない。
今にも、店内に戻って、ここに捨てられているのは僕のじゃありません、と言ってしまいそうだ。
しかし、それこそ妖しい。
迷った挙句、僕はとんでもない行動に出たのだ。
天まで登るほど右足を後ろに振り、地面を滑らせるようにして、その串にトーキックを浴びせたのだ。
その串は、僕に蹴られ、驚きながら、そのサンクスの敷地内から、弾き出された。
これで安心、僕は善良なお客様だ、と思っていたのも束の間。
自分の過ちにすぐ気付いた。
なんの解決にもなっていない事に。
僕は、自分が人から良く思われたいと言うエゴの為に、「串の被害」を拡大させた。
何の罪もない、道路に。
あの時、見覚えのない串が飛んできた道路は、どう思っただろう。
道路は何も思わなかったのだろうか?
そこに飛ばされた串は、何を思っていただろうか?
串は何も思わなかったのだろうか?
道路や、串、今パソコンの周りにある物や、あなたが眺めている携帯電話、世の中の森羅万象の「想い」を決めるのは自分。
知っているのに、知らないふりをした僕。
それなのに僕が蹴飛ばしたあの串は、誰からも愛されることなく、肉と一緒に過ごした時間を胸に抱いて、東京と言う街を許してくれた。