斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

海浜実験

2012年08月26日 22時31分24秒 | 水難・ういてまて
津波では港からたくさんの浮くものが流されます。助かった人の話の中にはそういった浮力をもつがれきにあがり、水の冷たさから逃れたという話が散見されました。

今回、北九州市の企業の協力の元でさまざまな素材のがれきに見立てたものを準備して、着衣状態でそれらに乗りあがることができるかを中心に検証しました。

実験の様子


溺死の原因は、大きく二つに分けられます。一つは水没で直接死因は窒息です。他方は浸漬で直接死因は低体温症です。水温が17℃以上で十分温かければ呼吸さえ確保すれば短時間で亡くなることはないのですが、水温が17℃以下になると呼吸が確保できても長時間生命を繋ぐことができません。

今回の検証では、水から上がることが生命維持に重要であるという、生還者たちの証言をもとに、着衣状態で水から上がるという状況を再現しました。結果的には、水面から10cmくらいのうえに上がるのが限界で、上がる際の姿勢が垂直になるほど上がれなくなることがわかりました。

無事に上がっても外気温で低体温症になる場合があるし、低体温状態では上に上がるような運動ができなくなる場合があるので、この検証が全ての条件で有効ではありません。

前準備、後片付けを含めて3日間の検証でしたが、空想と違った点、あっていた点様々で充実していました。

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