昨日から3日間、国公私立高等専門学校・長岡技術科学大学及び豊橋技術科学大学の教職員が一堂に会し、教育研究の質の向上、教育方法の開発推進のための研究・事例の成果発表や意見交換を行うことにより、教職員の資質や高等専門学校の教育ポテンシャルの向上を目指すことを目的として東京で開催されています。
今日の午前中は「グローバル化に対応する高専−技科大の新たな取り組み」のセッションに参加しました。
グローバル化する社会情勢に対応し、その中で存在感をもって活躍するエンジニアを育成していくためには高専と両技科大の連携が重要となります。
第1部は『三機関(長岡技科大・豊橋技科大・高専機構)が連携・協働した教育改革構想 ~世界で活躍し、イノベーションを起こす技術者の育成~ 』
第2部は『グローバル化を目指した連携教育の実施例報告』
第1部において少し話をしました。その骨子です。「全国の高専を回っていて常に感じることは、各高専どころか各教員においても様々なアイディアをだして特徴的な教育がおこなわれています。草原にさまざまな種類の花が咲き乱れており、どれをとっても魅力的です。それは教育カリキュラムだったり、キャリアパスだったりします。学生にとっては選択肢が広がりよいことなのですが、何か柱がないことが気になります。野中の一本杉といいますか、これがあってそれを基準にして様々なカリキュラムやキャリアパスを吟味したほうがよいのですが、今、方向感が足りません。今回の3機関の連携はまさにその一本杉をどうみせるのか、技術科学大学に編入する1学年約700人の学生と専攻科に進む約1600人の学生が目指す一本杉はどうあるべきか、約8000名の学生が一本杉を基準に見ながらどのように周辺の花を選択するのか。それは1足す1足す1は3より大きくなり、しかも世界に比類ない技術教育が提供できるものでなければなりません。」
高専5年間の完成教育に(大学、専攻科)・大学院教育が連携して重なるとどうなるか、それは1足す1足す1は3より大きくなるということを示唆します。
午後はモデルコアカリキュラム(試案)導入ワークショップに参加しました。モデルコアカリキュラムは、高専が編成・実施する具体的な教育課程(狭義のカリキュラム)自体を示すものではなく、教育課程編成の指針として学生に身に付けさせるべき到達目標(アウトカムズ)を提示するものです。試案そのものは少し前に公開されていて、私も吟味しました。本日のディスカッションの最後に述べた骨子について記載します。「本モデルコアカリキュラムは、工学分野を学ぶ人が最低限勉強すべきことをよく表しています。さらに、高専教育として学ぶべき内容が表してあります。世界や国内の他の分野にもモデルコアカリキュラムが存在しますが、「高専教育である」ことを保証できるものという点で比類ないものに仕上がっています。これをベースに全国の高専の特色を載せていくことができればよいし、技術科学大学との連携を載せていくことにより、より明確な一本杉を編入学生、専攻科進学学生の双方に提供できるものと確信します。」
精力的にまとめあげた高専教員集団の皆様に敬意を表します。この試案をブラッシュアップして完成を目指すため、全国の先生方のこれからの努力に期待します。