斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

こういうの伝染させるのやめてくれない?

2016年03月25日 23時23分43秒 | 斎藤秀俊の着眼
芸能人の学歴チェックが伝染しはじめているような。。。

この人のこと、何も知りませんので、ご本人のことに触れるものではありません。
でも放送局が学歴チェックしたということに関して、なぜ芸能人にそんなことが必要なのか、まったく理解できず、さらに学歴の本質を理解していない世の中になりつつあることに危惧するようになりました。

われわれが放送に登場してコメントする行為と、芸能人が放送に登場してコメントする行為には本質的な違いがあります。芸能人として事務所に所属し、それを生業にしているかどうか。前者では、ギャラはゼロかちょっと有名になると数万円程度もらえることもあります。後者は事務所と放送局で協議してギャラを決めていくので、さらに大きな金額になるのが通例です。

われわれが放送に出ることができるのは、その背景になっている「xxxに詳しい」ってやつで、もっと言えば必ず「xxx大学教授」とか学歴を含めた肩書です。もし、あちこちのテレビに出ている私が大学教授ではなくて、水難学会という学会にも所属していなくて、全部でたらめであれば、コメントの信頼性は崩れ、タレント性もなにも感じない普通のおじさんは放送界から抹殺されるわけです。抹殺されてもノーギャラなら悔しくないし、ノーギャラならその怪しいおじさんの出演するテレビを見ていたみなさんも悔しくもなんともないでしょう?

芸能人は、芸能で生きています。学歴も芸能を構成するという特殊な場合もあるかもしれませんが、そもそも芸能に秀でているから放送に乗るわけで、しかもそうやって事務所が交渉するわけで、学歴が崩れたからといって、芸能に秀でているのであれば何ら問題ない。だって、現に学歴が正しくなかったのに、コメントを得るために放送局は事務所と契約していて、その放送を視聴する人たちがいたわけですから。ほんとうに学歴や職歴の裏打ちがほしいのであれば、コメンテーターは大学教授などの有識者を、しかも履歴書と証明書を提出させて出演させているはずです。ただ、そんなことは視聴者は誰も期待していません。

まとめると、要するになにで生業を立てているか、につきるのです。我々学者は、学問で生業を立てます。つまり、学歴・職歴は職を得るのに大変重要です。芸能人は芸能で生きていきます。芸能に秀でている今が旬で、旬がおわったかどうかは、視聴者が判断することで、立派な学歴があったって、旬が過ぎたら放送の世界からそっと身を引くことになります。

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