斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

水難の概況が発表になりました

2016年06月17日 16時07分00秒 | 水難・ういてまて
警察庁から平成27年中の水難の概況が発表になりました。

総数などは、原本を確認してください。
原本から直接読み取れない事項について、解説します。

1.子どもの生還率 77.0%でした。平成26年中の75.8%よりは若干上がっていますが、このところ続いていた80%に届いていません。
2.高校相当年齢以上の生還率 47.5%でした。こちらは順調に上がってきています。
3.都道府県別生還率(水難者総数20人以上)
宮城県 90%
東京都 84%
埼玉県 75%
神奈川県 73%
静岡県 68%

ここのところトップだった埼玉県を抜いてきたのが宮城県と東京都です。
富山県 16%
大阪府 19%
京都府 32%
三重県 36%

大阪府がこのところのワーストトップから若干改善ですが、むしろ富山県が急速に悪くなったという印象です。先日のため池事故を見ても、富山県では救助死撲滅のための啓発が重要です。

4.死者・行方不明者数
大阪府 72人
富山県 41人
沖縄県 37人
千葉県 32人
長崎県 30人
鹿児島県 26人
和歌山県 26人
神奈川県 25人
兵庫県 25人
新潟県 24人

少ない県
群馬県 1人
福島県 2人
宮城県 2人
栃木県 4人
東京都 4人

生還率が若干向上しても、やはり犠牲者の数はダントツトップの大阪府。群馬県や栃木県は犠牲者が少ないとはいっても、新潟や茨城で犠牲になる人の多くが群馬県人、栃木県人。







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間もなく水難の概況が発表されます

2016年06月13日 20時42分14秒 | 水難・ういてまて
さて、警察庁から毎年発表される水難の概況。間もなく平成27年中の報告があります。
昨年度の水難により亡くなった方の人数、都道府県別の状況、子どもの生還率など、気になるデータばかりです。

つい先日も富山県でお子さんを助けようとした夫婦が救助死されました。
子どもは浮いて救助を待つ訓練をしていて、生還率が毎年上がっています。その一方で、素人が素手による入水救助を試み亡くなる救助死があとを絶ちません。そのため、大人の生還率は子どもの半分です。



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大学院結晶構造特論受講者諸君

2016年06月13日 14時36分11秒 | 講義記録
本日の試験、お疲れさまでした。
解答は次の通りです。




以上


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水難学会コメンテーター

2016年06月12日 21時12分46秒 | 水難・ういてまて
水難学会では、水難が発生した際に番組等に出演してコメントを出すコメンテーターを配置しています。
報道番組などで水難事故に対するコメントが必要な際には、お問い合わせください。休日、夜間でも対応しておりますので、たとえば朝一番の番組に間に合うこともあります。

詳細はこちら

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国頭地区消防本部と関係の皆さま、よい仕事をしましたね

2016年06月12日 20時25分02秒 | 斎藤秀俊の着眼
沖縄県大宜味村の平南川上流で観光客ら18人が増水した川の中に取り残されたようですが、全員救助できたとのこと。日本全国どこでもそうですが、いなかの(失礼を承知で)消防では、消防、救急、救助の兼任で災害に立ち向かわないとならず、必ずしも全員が水難救助のプロでもないし、ましてや少ない人数で、これだけの人数の救助を完結できたということは、たいへん立派なことだと思います。もちろん、警察やアメリカ軍なども現場に入って合同で救助活動を行い、総力で救助できたと推測しています。

本日まで、東京海洋大学品川キャンパスで水難学会総会、学術講演会ならびに研修会が終了しました。今回の学術講演会では、河川における水遊びやそれに伴う水難の話題が提供されました。今回の平南川上流の水難は数年前にも同様なことがあったとのこと。また、過去には2008年7月28日に兵庫県神戸市灘区の都賀川で発生した水難などを見れば、平穏な川が突然人を流すほどの牙をむくことは、常識として想定しておかなければなりません。上流における突然の豪雨を予測したり、豪雨を瞬時に検知したりする能力がない限りは、川遊びの集団を引率することは極めて難しいと考えます。

もちろん、自分だけで行動することに対してとやかくは言いませんが、集団を引率するということは、引率されている人たちの「そこからいつでも立ち去る自由」を束縛しているのですから、それに見合う責任が発生することになります。

とにかく、水難に遭われた人たちと救助に向かった人たちの誰一人犠牲にならなかったことは、よかったことです。

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