木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

251.木製立体迷路の事故から、木材の使い方を考える

2021-10-27 10:04:50 | ウッドデッキ
先日、兵庫県の立体迷路で床板が落下する事故がありました。
この迷路は新聞で見る限りは5階建てで、1m角の床板パネルを柱と柱を連結した梁で支える構造になっているようです。
事故のことに関してマスコミの報道は「定期点検がちゃんとされていないのか」とか「監督官庁の責任は」と言うことをこの事故の原因として取り上げていましたが、
我々屋外木製施設の専門業者としては、腐朽対策がどうされていたのかが気になります。

一般的に市場で販売されている木材は3年しか耐久性のないものも30年以上腐らないものまでありますから、まず高耐久の木材を使ったのかどうか。
また耐久性の低い木材でも、加圧防腐注入と言う処理を行えばメンテナンスをしなくても耐久性は確保できます。ただ加圧防腐注入の場合は、材種や、木材の状態により、耐久性がかなり変わりますので、これらのことについての基本的な知識を有している必要があります。

新聞記事を見ると設置後7~8年で腐ったようですので、高耐久の木材も加圧防腐処理もされていないようです。
我々がいつも問題だと思うのは、日本では設計の方も施工する業者も防腐剤を塗布すれば防腐処理になっていると思われていることです。
特に、屋外木製施設に関係する役所・設計・施工の業者の方も、木材や木の耐久について知識をお持ちの方が少なく、耐久性が必要なところに木材を使う場合の方法をご存じありません(欧米だったら当然関係者はこれらの知識があります)。
そのため、このような事故が起きたのは、製作した業者が悪いとか、管理している遊園地が悪いと言うことよりも、根本的には日本の木造住宅や木製構築物に対する考え方の問題です。

私が材木屋に入社して45年経過しますが、これまで一度も無垢の木材でJASの製品を扱ったことがありません。・・・・JAS規程は存在するのですが、設計者も納材業者も施工業者も誰も使わないぐらいですから、防腐に関して関係者が知らないのは無理もないとは思います。
なぜJASで規程されているのに、・・・アメリカやカナダは輸入のツーバイフォー材に検査のマークが刻印されているのに、・・・日本の場合はされないのか・・・説明が長くなるので今回はしませんが、ともかく直接的な事故の原因は製造者と管理者と言うことになりますが、根本的には日本の監督官庁と業界の姿勢の問題だと思っています。

我々が最も心配するのは、間違えた知識のまま、欠点だらけの人工木材に変更したり、木材を使わずに、金属やコンクリートにされてしまうことです。
結果、日本人は木の良さを知っているのに木材を使わず、欧米人は木の欠点を知っているが故に、木材をたくさん使うと言うことになってしまいます。

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