東京駅近くで用事を済ませて、ランチを取ることにした。どこが良いか考えたが、先日読んだ「魯山人陶説」のブログに関連して川喜田半泥子のことを少し調べたら、東洋軒(洋食屋)のことが出てきた、そして東洋軒は東京駅に店舗があると知って行ってみようと思った。東京の店舗は東京駅の「グランスタTOKYO」の中にある。
東洋軒のHPによれば、「東洋軒の創業は明治22年、伊藤耕之進が『今福』の名で三田四国町に開業したのが始まりです。明治30年、伊藤博文や歴代の閣僚の薦めもあり、「今福」の隣に開業したのが「西洋御料理 東洋軒」でした。初代社長の伊藤耕之進は才能ある料理人を雇い入れ育成に努め、東洋軒から優秀な料理長を多く輩出しました。当時は東洋軒、精養軒、中央亭などが日本の洋食文化の草分けで、その中でも東洋軒は宮内省御用達として皇居内の晩餐会等出張しておりました。」とある。
そして、百五銀行の川喜田頭取との関係では、「津の東洋軒初代 猪俣重勝は大正13年より東京丸の内日本工業倶楽部調理部入社、後に東京芝区東洋軒本社入社。昭和3年川喜田百五銀行相談役と時の宮田貴族員議員の薦めにより県下初のビルディングであった百五銀行の4階に「東京東洋軒」出張所を開設。」とある。
なかなか由緒ある洋食レストランのようであるが知らなかった。混んでいるかなと心配して行ってみると、すぐに入れた。案内されたのは長いカウンターのような一人客用の席。前が壁ではなく、ビル内の大きな通りに面していて、曇りガラスの間から通りが見えるので圧迫感はない。混んでないので、2つの席を一人で利用させているのでスペースに余裕があったのはうれしかった。
ここはブラックカレーが有名なので、松阪牛を使ったブラックカレーのランチセット3,300円をたのんだ。2,420円の同じブラックカレーのランチセットがあるので何が違うかきいたところ、肉の量が多いか少ないかの違いとのこと。今日は奮発して高い方を選んでみた。
このブラックカレーというのも川喜田半泥子の提案でできたもの。「ブラックカレーが昔も現在も愛されている理由は、上質な松阪牛脂と小麦粉、秘伝のスパイスを手間暇かけてじっくり炒めた香ばしさと旨みのある“ブラック・ルゥ”にあります。真っ黒になったルゥは、松阪牛本来の甘みや旨みを強調し、口に入れたとたん、その見た目からは想像できないまろやかな味わいを奏でます。手間ひまかけた比類なき一品です」としている。
早速食べてみると、非常に上品な味であった。スパイスが強烈に効いているというわけでもなく、肉の味が目立つと言うわけでもなく、ビーフシチューのようなまろやかな味であった。高級ホテルでカレーをたのむとこんな味のカレーが出てくるな、という感じであった。また、カレー用の皿もなんとなく趣味の良さそうなお皿であったのは陶芸家の川喜田半泥子が関係していたからかと想像した。
食後は小コーヒーか小アイスとのことなのでコーヒーをたのんでゆっくり飲んでくつろいだ。
ご馳走様でした。
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