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博多座から歌舞伎「夏祭浪花鑑」を観る

2023年10月26日 | 歌舞伎

テレビで放映されていた令和5年6月博多座歌舞伎公演「夏祭浪花鑑」を鑑賞した。約2時間。テレビの放映でも副音声で歌舞伎座のイヤホンガイドが聞けるのでありがたい。題目の通り夏に上演される演目である。舞台で田んぼの近くで泥まみれになり、その泥を裸になって水をかけて洗ったりする場面があるためでもある。

出演は

片岡愛之助(団七九郎兵衛)
尾上菊之助(一寸徳兵衛)
中村萬太郎(玉島磯之丞)
上村吉太朗(傾城琴浦)
中村梅枝(団七女房お梶)
中村鴈治郎(釣船三婦)
中村歌女之丞(三婦女房おつぎ)
嵐橘三郎(三河屋義平次)
中村雀右衛門(徳兵衛女房お辰)
尾上菊市郎(大鳥佐賀右衛門)

この演目は夏の大阪を舞台に老若男女の義侠心が濃密に描かれる。

主人公は団七で、和泉の国に女房のお梶と一緒に住むてんびん棒かつぎの魚屋、お梶の父親義平次が悪賢く、夫婦を困らせる。これに団七の友達の釣船三婦(さぶ)と女房のおつぎがからみ、この二組の夫婦が玉島家のバカ息子磯之丞と身請けした琴浦夫婦を助ける、そして義平次が金のため琴浦を売り飛ばそうとして団七と刃傷沙汰になる。

見せ場としては、

  • 団七と一寸徳兵衛の立ち回り、義兄弟の契りを結ぶ場面
  • 磯之丞の玉島帰国に同行を申し出たお辰に対し、美人が同行すると間違えが起こると三婦(さぶ)が反対し、お辰は火箸を自らの顔に当てて心配には及ばないと言う場面
  • 団七の舅義平次殺しで本物の泥や水を使った立ち回りの場面(泥場)

この最後の泥場は、この歌舞伎の一番の見せ場、長屋裏の場で団七と義父の義平次が言い争いになり、勢い余って団七が義平次を殺しす場面、夏祭の行われている宵の口、長屋裏の田んぼの近くで親子で泥まみれの刃傷沙汰になる、泥を洗い落とすのに本物の水を使ったりして、臨場感がある。また、表通りには祭りの竿灯傘が提灯のあかりを綺麗につけて通り過ぎる色彩の妙。素晴らしい場面だ。

今回の演目で注目すべき出演者はなんと言っても主役の団七を演じた片岡愛之助だろう、歌舞伎以外でもテレビや映画などで大活躍だが、関西出身なので、この役は絶対やってみたい役だっただろう。以前は13世仁左衛門が得意とした役だが、それ以外でもそうそうたる役者が演じてきた。愛之助もこの役ができると判断されるくらいに成長したのであろう、よく演じていたと思う。また、同じ上方の鴈治郎も難しい役をよく演じていた。また、団七女房を演じていた中村萬太郎も出番が多く、頑張っていた。

歌舞伎ファンなら是非観たい演目であろう。

 



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