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気ままに生活してるシニアの残日録

八月納涼歌舞伎(第二部)を観に行く

2024年08月10日 | 歌舞伎

2024/8/12 一部内容訂正

記載内容に一部誤りが見つかったので訂正します、見え消し線で示した部分を削除し、新たな記載をそのあとに追加しました

今月も歌舞伎座公演を観に行ってきた、今月は昼夜三部制で、第二部、午後2時30分開演を観に行った。いつもの3階A席、5,500円、座席から見える範囲ではかなり席が埋まっていたようだ、終演は5時半

河竹黙阿弥 作
一、梅雨小袖昔八丈(つゆこそで  むかしはちじょう)

髪結新三/勘九郎(1981、中村屋)
お熊/鶴松(1995生れ、中村屋)
手代忠七/七之助(1983生れ、中村屋)
弥太五郎源七/幸四郎
下剃勝奴/巳之助
丁稚長松/長三郎(2013年生れ)
家主女房おかく/歌女之丞
車力善八/片岡亀蔵
加賀屋藤兵衛/中車
家主長兵衛/彌十郎(1956、大和屋)
後家お常/扇雀

江戸末期から明治にかけて活躍した、名作者・河竹黙阿弥の代表作の一つ、彼の代表作には三人吉三、白浪五人男、魚屋宗五郎などがあり、七五調のセリフの小気味よさが一つの特徴。黙阿弥の人生を描いた直木賞受賞作「木挽町のあだ討」(永井紗耶子)は昨年読んで勉強になった(その時のブログはこちら)奥山景布子の「元の黙阿弥」は昨年読んで参考になった(その時のブログはこちら

白子屋では一人娘のお熊に婿を迎えようとしているが、お熊は店の手代忠七と恋仲、その事情を盗み聞いた白子屋に出入りする髪結新三は、忠七に駆け落ちを唆し、その晩、お熊を連れ出すふりをしてお熊を拐かして身代金を要求しようと企んだ。お熊を取り戻すためにやって来た俠客の弥太五郎源七を追い返した新三だったが老獪な長屋の家主・長兵衛が交渉に来ると・・・

イヤホンガイドの説明によれば、本作は実話を題材にしており、材木屋白子屋では傾いた店の再建のため娘お熊と金持ちの男との縁談を進めていたところ、その男が醜男であったため結婚を嫌がり、その男を殺したという話、歌舞伎ではこれではお熊に同情が集まらないため改変して、髪結新三を悪役にし、お熊が新三にかどわかされる世話物狂言にしたとのこと。実話では、お熊はお縄となり、引き廻しの上、死罪、その引き廻しの時に梅雨小袖という高価な着物を着ていて話題をさらったため、本作の題名にもなった。

髪結新三を初演で演じたのは五代目菊五郎、その五代目菊五郎の娘と結婚したのが十七代勘三郎、その後継ぎが十六代勘三郎で、その長男が当代勘九郎、今回新三を初めて演じた、いつものことながらの全力投球の演技であり良かった、また、息子の長三郎が丁稚長松で出ており、こちらも頑張って演技していた。

今回、お熊を演じたのは中村鶴松であり、彼は一般人から歌舞伎役者になった異色、亡き勘三郎から見込まれ、精進した結果、今では勘九郎、七之助に次ぐ勘三郎家の三男の扱いを受けているとのこと、大したものだ、鶴松は昨年2月の猿若祭二月大歌舞伎の「新版歌祭文(野崎村)」でも主役のお光を演じていたのを観劇したところだ(その時のブログはこちら)

市川中車が加賀屋藤兵衛役で出演していた、彼は銀座のクラブで女性問題を起こし、その後は歌舞伎やテレビなどに出演しなくなったが、2022年の市川團十郎白猿襲名披露の「十二月大歌舞伎」に出演して今回だ、松竹はどう考えているのだろうか、目立たないように復活させるのか・・・

2時間という長い演目であるが、話が分かりやすく、場面転換も何回かあり、面白く観劇できた。

二、艶紅曙接拙(いろもみじ  つぎきのふつつか)

紅翫(べにかん)/橋之助(1995年生れ、芝翫長男、成駒屋)
虫売りおすず/ 新悟
朝顔売阿曽吉/ 中村福之助(1997年生れ、成駒屋、芝翫次男)
大工駒三/ 歌之助
角兵衛神吉/勘太郎(2011年生れ、勘九郎長男)
町娘お高/染五郎
蝶々売留吉/虎之介(1998年生れ、成駒屋、扇雀息子)
団扇売お静/児太郎(1993年生れ、成駒屋)
庄屋銀兵衛/巳之助

この演目は、夏に涼を呼ぶ、爽やかな風俗舞踊、人々が浅草・富士浅間神社に夕涼みに集まるなか、江戸で評判の遊芸を見せる紅翫がやって来て、お面を使った踊りや多彩な芸を披露するもの。

紅勘というのはこの踊りの主役・浅草の小間物屋紅屋勘兵衛のこと。化粧品の紅を売っていたことから紅屋を名乗っていたようだ。彼は青竹・味噌こし・しゃもじでこしらえた三味線を持っていて、太鼓やら笛やらを携え、芸をしながら町を歩く、チンドン屋のイメージだとイヤホンガイドでは言っていた。

この演目を初めて演じたのは初代中村芝翫、以後、芝翫家が演じるときは紅勘ではなく、「紅翫」と表記する習わし、今日は当代中村芝翫の長男中村橋之助が演じるので、紅翫、となっている。

舞踏は細かいことは抜きにして歌舞伎の様式美を味わうものだ、若手陣で楽しい踊りを見せてくれた、染五郎も久しぶりに見たが綺麗だった。橋之助は頑張っていた、扇子やタオルの黒子とのやり取りにミスがあったが、今後の成長に期待したい

さて、今日の昼の部は2時半開演、昼食は家で済ませてきて、幕間の甘味だけ松屋銀座店の黒船のどら焼きを2種類買って食べた、もっちりしていておいしかった。なお、私の好きな茂助だんごは先月で松屋店を閉店にしたそうでがっかりした

 

 



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