JR羽後本荘駅(秋田県由利本荘市)の駅前に「秀峰」というラーメン屋さんがあった。正直、「草臥れたラーメン屋」そのものの店構えだった。特に混み合うこともなかったけど、その割には入れ替わり立ち替わりで客は来た。ここでは「なんと250円」という激安の「のりラーメン」というメニューがあり、僕はそれが結構好きで、何度も食べに行った。駅前という立地から夜の需要が高かったと想像されるが、僕はいつも昼食を食べに行っていた。家人と二人で食べて500円。逆に申し訳ない気持ちになった。でも、ここで一番旨かったのが、一番安い「のりラーメンだった」。
一昨年のGWに、アメリカから一週間ほど知人夫婦が遊びに来た。家人がホームステイした先の夫婦であり、僕たちの結婚式の立ち合い人を務めてくれた恩人だ。夫のマイクさんは、以前に米軍の佐世保基地に従軍経験があり、当時は日本でラーメンとチャーハンを喜んで食べたという。日本滞在でもラーメンを楽しみにしていて、既に2回ほど食べていた。でも、ご夫妻にとって、いまの日本のラーメンは量も多すぎ、味も複雑になり過ぎているような感じだった。そんななか、僕は「2ドルでラーメンが食べられる店がある。そのラーメンは2ダラーズラーメンという」と多少の脚色をつけて食べに誘った。古い古い内装が、逆にかつて行った昔のラーメン屋さんを思い出させるのか、とても喜んでいた。奥さんのカレンさんも完食した。アメリカに帰って、きっと友人に「日本では2ドルでラーメンが食べられる店があるんだぜ」と言っているに違いない。友人は「そんな訳ないだろ。それはインスタント麺だろ」と疑うだろう。「これ見ろよ。本物のラーメンだろ」、iPhoneで撮った写真を見せている筈だ。そんな「秀峰」も閉店してしまった。それでも遠い異国で、ここでラーメンを食べたことを思い出にしている人もいる思うと、感慨深い。
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