花巻の神社に行ったのであれば、当然温泉に立ち寄るべきだ。それが古からの習わしに違いない。花巻には「定宿」と称す鉛温泉があるが、この時期には「しっとり、ひっそり」した台温泉を愛でたくなる。嗚呼、台温泉。川沿いの細い道に何軒もの温泉旅館が軒を並べる。かつて存在した商店も飲食店も閉店し、温泉街には何もない。享楽目当ての観光客もいない。ただ静かな時間が流れる。台温泉のお湯は熱い。それは刺激的な熱さではなく、一度身体を沈めれば馴染む優しい熱さである。川のせせらぎ以外の音は存在せず、まるで胎内に籠もるが如く時間を過ごすことが出来る。この日、温泉街は秋色に染まっていた。
ちなみに台温泉は袋小路状になったどん突きに位置する。その奥には行くことができず、そこに来た人は例外なく来た道を戻っていく。妙に安心するのは何故だろう。
※昨日掲載の神社に導かれた「町」の写真を明日移行掲載します。本来の順序(時系列)と逆になってしまいました。
X-PRO3 / XF23mm F2R WR
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