帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔百三十三〕つれづれなぐさむもの

2011-08-01 06:08:22 | 古典

 

 

 

                                  帯とけの枕草子〔百三十三〕つれづれなぐさむもの 
 

  言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。


 清少納言枕草子〔百三十三〕つれづれなぐさむもの

 つれづれなぐさむもの、ご、すごろく、物がたり、みつよつのちごの、物おかしういふ、まだいとちひさきちごの、物がたりし、たかへなどいふわざしたる。くだもの。
 
おとこなどの、うちさるがひ、ものよくいふがきたるを、物いみなれどいれつかし。

 所在なく退屈なのを慰めるもの、碁。双六。物語。三つ四つの幼児がものをおかしく言う。また、とってもちいさい乳児が、もの語りして、まちがえたというしぐさをしている。果物。
 
男などの門づけ芸人などが猿楽演じ、よくもの言うのが来たのを、物忌みなのに、門内に・入れてしまうよ(男などの色めきて、物のよくものいうのが来たのを、物忌なのに、うけ入れてしまうよね)。

 言の戯れと言の心
 「たかへ…違え…ちがえ…まちがい」「うちさるがひ…うち猿楽ひ…門づけ芸人などの振る舞い…戯れ交わる…はしゃいで交う…色めいて交う」「うち…接頭語」「物よくいふ…気の効いたことを言う…よく情けを交わす…よく利く」「物いみ…物忌み…言動を慎み身を清めて家に籠もること」「いれつかし…入れてしまうよね」「つ…完了した意を表わす」「かし…確認する意を表わす」

 つれづれを慰めるものに、此れに及ぶものは無いものを最後に表した。一義な言葉では、はっきり語れないほんとうのことを、言の戯れの中に顕わしてある。
 

 伝授 清原のおうな

聞書 かき人知らず   (2015・9月、改定しました)


 原文は「枕草子 新 日本古典文学大系 岩波書店」による