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帯とけの枕草子〔百三十三〕つれづれなぐさむもの
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔百三十三〕つれづれなぐさむもの
つれづれなぐさむもの、ご、すごろく、物がたり、みつよつのちごの、物おかしういふ、まだいとちひさきちごの、物がたりし、たかへなどいふわざしたる。くだもの。
おとこなどの、うちさるがひ、ものよくいふがきたるを、物いみなれどいれつかし。
所在なく退屈なのを慰めるもの、碁。双六。物語。三つ四つの幼児がものをおかしく言う。また、とってもちいさい乳児が、もの語りして、まちがえたというしぐさをしている。果物。
男などの門づけ芸人などが猿楽演じ、よくもの言うのが来たのを、物忌みなのに、門内に・入れてしまうよ(男などの色めきて、物のよくものいうのが来たのを、物忌なのに、うけ入れてしまうよね)。
言の戯れと言の心
「たかへ…違え…ちがえ…まちがい」「うちさるがひ…うち猿楽ひ…門づけ芸人などの振る舞い…戯れ交わる…はしゃいで交う…色めいて交う」「うち…接頭語」「物よくいふ…気の効いたことを言う…よく情けを交わす…よく利く」「物いみ…物忌み…言動を慎み身を清めて家に籠もること」「いれつかし…入れてしまうよね」「つ…完了した意を表わす」「かし…確認する意を表わす」
つれづれを慰めるものに、此れに及ぶものは無いものを最後に表した。一義な言葉では、はっきり語れないほんとうのことを、言の戯れの中に顕わしてある。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・9月、改定しました)
原文は「枕草子 新 日本古典文学大系 岩波書店」による