情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

究極理論の限界

2020-11-15 16:34:36 | 情報と物質の科学哲学
物理学では究極理論の構築に挑戦しています。

究極理論という言葉を聞くと宇宙の誕生から消滅までのすべての現象を説明するものだと思いがちです。

しかし、この理論では決して説明できない現象があります。
生命の誕生がそれです。
何故でしょうか?

究極理論の説明対象は、物理量で記述できるものに限ります。
しかも、物理法則は時間対称性を満たしています。
物理法則で説明できる現象は過去、現在、未来という時間の流れを区別しません。
アインシュタインは、過去、現在、未来という時間の流れは幻想であると言いました。

ところが、生命の進化は明らかに不可逆的です。
このことだけでも究極理論で生命を説明することは出来ません。

更に、生命は物理量だけで記述することが出来ません。
例えば、人間を物理量だけで記述できるでしょうか?!

クオリアや感情を物理量で記述できるでしょうか?
記述できないことは明らかです。
何故なら、クオリアや感情そのものを数字や言葉で記述することが出来ないからです。

従って、究極理論で説明できることは無機質な自然現象に限られるのです。

情報駆動型制御、クオリア駆動型制御、意志駆動型制御

2020-11-15 09:29:00 | 情報と物質の科学哲学
ロボットは、情報処理の結果を利用して行動を制御します。
これを、情報駆動型制御と名付けます。

言語を持たない動物は、情報処理とクオリアによって行動します。
これらの動物は、情報駆動型制御とクオリア駆動型制御に従って行動します。
本能による行動がこれに当たります。

ヒトは、情報駆動型制御、クオリア駆動型制御、意志駆動型制御に従って行動します。

情報、クオリア、意志などはすべて非物質的なものです。
従って、ロボットやヒトの行動を物理法則だけで説明することは不可能です。

非物質的な情報、クオリア、意志などは物質である脳の構造により創発される機能です。
約100万年という途方もない時間をかけて脳の構造が進化した結果、脳がこのような非物理学的機能を獲得するに至ったということです。

因みに、計算機もその構造によって情報処理という非物理学的機能を持つのです。

以上の事実から、脳という物質が非物質的な心を何故生み出すのかという心身問題は擬似問題であることが分かります。