クオリアは数理モデル化できない 2020-11-29 16:53:52 | 情報と物質の科学哲学 人工知能で大活躍している深層学習はヒトの神経回路を数理モデル化したものです。このモデルでは、回路に流れるパルスを1または0で表現しています。一方、クオリアをこのような数理モデル化することは出来ません。何故なら、心理的なクオリアを数値表現することは原理的に不可能だからです。これが人工知能やロボットの原理的限界を表しています。
人工知能には言葉を創造する能力がない 2020-11-29 11:13:36 | 情報と物質の科学哲学 人工知能は、ニューラルネットで複雑な計算をしています。しかし、計算以上のことをしている訳ではありません。計算結果を用いて入力された情報を分類しているだけです。その一例がパターン認識です。ヒトが進化の過程で獲得した言葉は、計算とは無関係な概念です。ヒト同士は身振り手振りで情報交換していました。この際、視覚のクオリアが重要な役割を果たしたのです。身振り手振りによる情報交換から発声を伴った情報交換に進化しました。それがヒトによる言葉の発明になりました。言葉の発明は、意味や概念などを作ることを可能にしたのです。人工知能には感覚野とそれが創発するクオリアがないので、言葉も発明できません。従って、人工知能は意味や概念を発明することも出来ません。
有機的検出器と有機的測定器 2020-11-29 10:42:48 | 情報と物質の科学哲学 犬は、多くの匂いを嗅ぎ分けます。気体分子が犬の嗅覚細胞に入ると、分子の種類に応じて創発された情報を表現するパルス列を感覚野に送ります。感覚野では、入力されたパルス列に対応したクオリアが創発されます。それが犬の運動神経を制御して人間に合図を送ります。製鉄所で働く熟練の職人は、溶鉱炉から漏れる鉄の色を見て温度を正確に読み取ります。この事実は、職人が精巧な有機的測定器であることを証明しています。これらの事実は、動物のクオリアが実在していることを示しています。クオリアには哲学者が指摘する神秘性はありません。動物の感覚野は、進化の過程でそのような機能を獲得したのです。