眠れないときや未明に目覚めたときなどは、
以前はYou Tubeを聴いていたけど、たまにCMがうっとうしい。
それで今はラジオアプリで朗読を聴いている。
以前は一話ずつの再生で面倒だったけと、
アプリがバージョンアップして連続再生出来るのも良いです。
で、
昨夜はなかなかに寝付けずラジル文庫を聴いていた。
寝落ちする前のお話が気持ちに残ったので、
今朝は改めて最初から聴いてみた。
久坂葉子作『スケッチブックからのエスキス』という作品です。
大会社の社長を父に持つ娘が主人公です。
毎年恒例のパーティには手の込んだみごとな着物をまとい父親のお供で出かける。
ホールに着くと帯に挟んだ小さなノートを取り出す。
ダンスを申込む男性はそこに名前を書き、娘と順番に踊るのです。
ひとしきり踊って化粧室に入り、出たところで見知らぬ男性に声をかけられ、
なぜかダンスの相手を受けてしまう。
父親の知る相手としか踊れないので見つかったら叱られるのですけどね。
ノートに名前のない男性は寡黙で身分も判らないが、
かろうじて名前だけは聞くことができた。
ダンスが終わって離れたあと姿を探すけど見つからない。
パーティが終わり会場から去るとき、離れた場所に男性を見つけ父親に分からぬよう会釈をした。
ただそれだけの出会いなのに男性のことがずっと心に残る。
後日パーティ会場となったホテルに問い合わせると、
今朝ヨーロッパへお立ちになったと知らされる。
娘はやがて父の会社に勤める人と結婚し二人の娘の母となる。
大戦後。
夫がシベリアから復員し、ようやく生活が落ち着いた頃。
あのときの着物を二人の娘用に仕立て直すのです。
その着物があの男性との再会を導くのですよ。
そこから先は読むか、NHK「らじるらじる」を聞くかしてね。
聴き終わって遠い遠い昔の自分を思ったですよ。
しばらくの間、話の世界にひたってしまいましたわ。
これを書いた久坂葉子さんは21才で亡くなっているのですけど、
その若さでこの話を書いたことに驚くオカンなのです。
You Tubeにもありました。