皆さん今晩は。
県教育委員会による高校統合についての説明会から一日経って、考えもまとまって来たのでもう一度記事にしておこうと思います。
大原、岬、勝浦若潮高等学校の統合に関しての、県教育委員会の説明は主に下記の通りでした。
(1)少子化により夷隅郡市内の生徒数が年々減少しており、高校入学者数も激減している。
(2)よって、県立学校の規模の適正化、および配置の適正化を進めなければならない。
(3)学校の適正な配置に当たっては、地域協議会を設け、地域関係者の意見も聴きながら検討を進める。
(4)しかしながらこれは(ほぼ)決定事項なので何とか了承して頂きたい。
これに対して、私が思う問題点は下記の通りです。
まず(1)に関して。
人口の減少は確かに事実です。
しかし、夷隅郡市内の高校の入学者数が減少しているのは、人口減少だけが理由ではありません。
県教育委員会による学校の再編(2005年の御宿・勝浦高校の統合)が失敗したこと、
そしてこの地域に魅力ある高校を作れなかったことで他地域高校への入学者が増えてしまった事も大きな要因なのです。
私はかつて塾の講師として働いていましたから、高校に対する評価を受験生から直に聞いてきました。
かつての勝浦高校は、確かに問題点は多々ありましたが、漁業科、水産科、通信科を有し、地域に根ざした水産高校として独特の存在感を持つユニークな高校でした。
しかし、2005年に御宿高校と統合し総合学科となってからは、低迷していた人気はさらにがた落ち。
受験生の間では、「個性の無い低偏差値校」、という評価が定着してしまいました。
当たり前です。総合学科など全国何処にでもあります。総合学科で学びたい生徒は、より偏差値の高い人気高校を受験するでしょう。
大原高校の健康スポーツ科にしてもそうです。
健康スポーツ科、とは名ばかりで十分な設備も実績も無く、またその名称から、悪い意味で普通科との差別化が起こり、人気は低迷。いまや定員割れを起こす事態となっています。
これまで、沢山の生徒から、「先生、近くに行きたい高校が無いんだ」という切実な悩みを聞いてきました。
優秀な生徒は皆、県北の有名高校や私立高校を受験し、そちらに入学してしまいます。
県教委のデータによれば、夷隅郡市内地域の中学卒業生が、そのまま地域内の高校に進学する率はなんと52%。
つまり、半数近くの生徒は地域内の高校に魅力を感じず、地域外の高校に通っている事になります。
これは、県教委が行った前回の統合が大失敗だった事を意味します。
生徒も保護者も皆、自宅から通える範囲内に魅力ある高校があればそこに通いたい、しかしこの地域内には魅力ある高校が存在しない。これは県教委の教育行政の失敗以外の何ものでもありません。
(さらにいえば、特色化選抜によって県内高校、特に夷隅地域内の高校の大幅な偏差値・学力低下を招いた事も大きな要因です)
これらの事実を認める事も反省する事もせず、また前回の統合から6年も経たないうちに、人口減少を理由に再統合など、まったく理由になっていません。
(2)に関して
規模、配置の適正化は確かに必要かもしれません。
しかし、生徒数が減少したとは言え、前述の通り地域内の中学生の多くが地域外に進学してしまっているという事実もあります。
現状の高校へのてこ入れや学科の再編など、規模の適正を図る前にやるべき事は沢山ある筈です。
また、配置の適正化と言いながら、大原高校へ統合にあたって、海から遠いから海洋科学系列は廃止します、園芸関連の施設は無いから新しく作ります、総合学科の設備も無いから新校舎も作ります、
というのではまったく適正配置とは言えません。ただ単に「地域内の中央に位置するから適正だ!」とでも言いたいんでしょうか。
総合学科として必要な設備を何も持たない大原高校への統合、そして新校舎建設は、
はっきりいって税金の無駄です。
(3)に関して
地域協議会を設けて地域関係者からの意見を聞く、との事ですが、地域協議会で3校統合などの具体的な話し合いが行われたとは聞いておりません。
市議会議員、という比較的情報が集まり易い立場にある我々ですら、3校統合の話は聞いておりませんでした。
また、市民によっては地域協議会の存在すら知らない方もおり、県教委のいう「地域関係者」とは誰なのかが、さっぱり見えてきません。
つまり、地域との意見交換や、情報開示がほとんどなされていない状態で、今回の突然の発表がなされたわけです。
これでは「地域の意見も聞きながら検討を進める」どころか、「関係地域の住民をバカにしている」としか言いようがありません。
ましてや、高校を無くす予定の勝浦市では説明会を行わない、というのでは全く納得ができません。
県教委は、もう一度関係住民に対ししっかりと説明を行い、住民からの意見を聞くべきです。
(4)に関して
今回の3校統合はあくまで「県立学校改革推進プラン(最終
案)」であるはずです。
しかしながら、今回の説明会で県教委は「統合はほぼ確定である」事を前提に説明を進めていました。
私が今回一番頭に来たのはここです。
住民の意見を聞きながら計画を進める、としながら、住民の意見は聞く耳持たず。これでは(案)ではなくて決定事項の伝達です。
また県教委によれば、今後説明会や意見交換会の予定は無いとの事。あまりに酷過ぎます。
質疑応答においても、いかにも役所然とした理想論に終始し、質問にしっかり答える事もせず、しまいには全く関係ない説明まで繰り返し、時間稼ぎのような答弁まで行う始末。
猿田勝浦市長の、「勝浦若潮高校が無くなれば、勝浦市は市としての要件を満たさなくなり市ではなくなるのでは」という質問(※)に対して、答えは無く。
一方で、今回全く関係のない銚子高校の説明に5分を費やしたり、質疑とは関係ない演説のような質問を長々と放置する等、質疑応答のやり方はまったく納得出来ませんでした。
(
※千葉県条例では、市の要件として学校教育法第4章に規定する高等学校が設けられていること、と定められています)
県立学校改革推進プラン(最終案)の基本的コンセプトには、
「地域の人が集い、地域に愛され、地域とともに歩む学校」をつくる、とあります。
かつての勝浦高校は、まさに港町に根ざした水産高校として地域の人が集い、
地元の漁業を様々な面で支える高校として地域に愛され、
漁業後継者の育成や水産加工実習等を通じて地域とともに歩む学校でした。
それを、何の魅力も無い低偏差値校に作り替えてしまったのは、県教育委員会です。
この失敗を真摯に反省する事も無く、上手く行かなかったからと言ってまた3校を統合するなど、住民を莫迦にしています。
今県教委が為すべきは、統合などではなく、学科再編など各学校へのテコ入れと、教育行政の大幅な見直しです。
我々勝浦市議会も、12月定例議会において、「勝浦若潮高校統合案の撤回及び海洋科学系列の継続を求める意見書」を全会一致で提出することを決めました。
また、現在区長会を通じて統合反対の署名を集め、県議会への請願を提出の予定です。これには12月15日時点で12,000人を超える署名が集まっています。
改めて申し上げます。
私は今回の県立学校改革推進プラン(最終案)による勝浦若潮高校統合案には、断固反対です!
千葉県ではパブリックコメントを募集していますので、皆さんも是非ご意見を県教委にお伝え頂きたいと思います。
県教育委員会「県立学校改革推進プラン(最終案)」
http://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/kaikaku/miryoku/saihen/suisin-plan/documents/plan-saisyu-zenbun.pdf
第一次実施プログラム(案)
http://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/kaikaku/miryoku/saihen/suisin-plan/documents/program-ann.pdf
「県立学校改革推進プラン(最終案)」及び「第1次実施プログラム(案)」に関する意見募集(平成24年1月6日まで)
http://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/kaikaku/iken/2011/kaikaku-suishin-plan.html
追伸:
今後日本の空を50年以上に渡って守る、航空自衛隊の次期新戦闘機がアメリカなど9カ国共同開発の「F-35」に内定しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111214/t10014641401000.html
F-35は未だ実戦配備さえされていない開発中の機体。ステルス機能など最新鋭の技術が投入されているため、日本企業が製造にどこまで関れるかも未知数です。
個人的には「タイフーン」を押していたのですが・・・
何にしても、これは我々の税金を使う、日本の国防上の重要な問題です。マスコミはもっと真剣に報道すべきですが・・・今回もやっぱりマスゴミですね。
【社会】次期戦闘機、未完成のF-35で大丈夫か
http://blog.livedoor.jp/vip_2ch_news/archives/51227476.html
過去記事
http://blog.goo.ne.jp/aggui/e/15e94be7b667a8712cd5d1dc83024159
この頃は「F-35」は候補にすらあがっていなかったんですなあ・・・