徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

志野と織部

2007-03-18 | 茶道具
志野と織部 ―風流なるうつわ―
2007年2月20日~4月22日
出光美術館

「志野と織部」なるタイトルがついていれば、是非行かなくてはと思いながらも、ようやく9日にようやく行ってきました。

桃山陶
イントロダクションとして、長次郎の赤樂茶碗 銘僧正、黒樂茶碗 銘黒面扇(こちらは昨年の名品展IIにも展示されていた)、瀬戸黒茶碗(個人蔵)、備前矢筈口耳付水指、伊賀耳付花生、美濃伊賀耳付花生が並びます。

志野-白いうつわ誕生
  • 国宝 志野茶碗 銘卯花墻  三井記念美術館;
  • 志野茶碗 銘通天 個人蔵;平瀬家旧蔵
  • 志野茶碗 銘橋姫 東京国立博物館;松永耳庵旧蔵
  • 志野茶碗 銘橋の絵 個人蔵;
  • 志野茶碗 銘軒端 個人蔵;
    ここまでは、銘卯花墻も橋姫も見たことあるので、なかなか並んでいるというところ。後期には、銘蓬莱山が出展されるのは楽しみ。ここから、鼠志野茶碗は他の美術館の名品。こちらは微妙な色合いの違いがあり、魅せられた。
  • 鼠志野茶碗 銘横雲 野村美術館;銘は小堀権十郎、鴻池家旧蔵
  • 重文 鼠志野茶碗 銘山端 根津美術館(3/10まで)
  • 重文 鼠志野茶碗 銘峯紅葉 五島美術館(3/28まで);銘は小堀権十郎;四日市九鬼家伝来
  • 紅志野茶碗 銘夕陽 マスプロ美術館

    このあと、鉢がならぶ
    志野山水文鉢、志野草花文鉢; 志野山水文鉢は、今回の展覧会のちらしを飾っている。山水画を鉢に収めようとして、その少し霞みかかった風景は、日本の山水画になる。もっけい趣味と同根でしょうか。
    重文 鼠志野鶺鴒文鉢(東京国立博物館)、鼠志野撫子文鉢(文化庁)、鼠志野亀甲撫子文鉢(五島美術館)、
    鼠志野葦雁文額皿(個人蔵)、鼠志野草花文額皿
    など。こちらは、絵の意匠がよく判り、画面として楽しめる。

    水指として、
    志野葦文矢筈口水指(根津美術館)、志野橋文矢筈口水指

    鼠志野草花文火入;鼠色がいい風合い。

    黒織部 -傾きの意匠-
    現代絵画も吃驚の自由で大胆な文様が茶碗に描かれています。太い線で大胆にデフォルメされた線は、この時代の屏風絵に描かれる人物がまとう衣装にも描かれているといいます。
  • 黒織部菊文茶碗 個人蔵
  • 黒織部茶碗 銘柾垣 個人蔵
  • 黒織部蕨文茶碗 個人蔵
  • 黒織部吊し文茶碗 個人蔵
  • 黒織部亀甲文茶碗 出光美術館
  • 黒織部葦鶴文茶碗 個人蔵
    二点織部の茶入れが
  • 織部茶入 銘餓鬼腹 野村美術館
  • 織部吊し文茶入 個人蔵

    黄瀬戸 青いうつわへの憧れ

  • 黄瀬戸茶碗 銘難波 個人蔵;益田鈍翁旧蔵
  • 黄瀬戸茶碗 銘春霞 出光美術館

  • 黄瀬戸宝珠香合 根津美術館(3/10まで)

    織部 -風流なるうつわ-
    <L>三彩花卉文輪花鉢 中国元末期から明初期 個人蔵
  • 二彩瓜文平鉢 長次郎 東京国立博物館
    で展示は始まるが、手鉢、向付、八角鉢など織部は、竹篭の代わりを目指したのでしょうか。自由な造形です。でも重たそうですが。

    志野と織部の文様の意匠
    別室では、魅力的な和の造形の秘密を探ろうとする展示。まずは、志野と織部に描かれた文様について、どんなものがあったか、屏風絵のなかの表現とも比較し展示してある。織物の幾何学的な文様、信仰に基づく文様、草花などいろいろな文様がある。解説されていたのは、順に、

  • 車輪
  • 籠・籠目
  • 網干
  • 吊し
  • 枝垂れ、揺らぎ
  • 門木
  • 傘と笠
  • 草樹
  • 千鳥
  • 垣根

    かたちの源流
    文様の次は、形について。陶器で、盆や蓋物を作陶しようとした様が展示される。


    確かに和食器の多様性の源流は、志野と織部にあったのかと、認識しました。

    史上最高のバブル景気に沸いたとされる桃山時代。それは日本に「うつわ革命」さえももたらしました。漆器や木器など木を主体にした中世までの食器文化を根底から覆し、陶器や磁器というやきもの主体の近世の食器文化へと移行させたのです。その新たなシンボル的なやきものが、志野や織部などの美濃陶器でした。
    志野や織部は、それまで中国産や朝鮮産の外国のやきものに独占されていた高級什器のシェアに食い込んだ初の国産のやきもので、かたち・色彩・文様、そして肌合いなど、すべての点で外国産のうつわとは異なる、魅力的な和の造形を創造しました。とくに志野の茶道具(茶碗や水指)、織部の懐石器(向付や鉢)は、日本のうつわを根本的に変えるような大きな影響を後世に残したのです。
    それではその造形の特徴とはいったい何だったのでしょうか。今回はその点を追求していきます。本展では、出光コレクションの志野と織部を一堂に会するとともに、国宝1件、重要文化財3件をはじめとする館外の秀逸な名作を特別出品し、現在実現できうる最高の「志野と織部」展を目指します。陶芸ファンには見逃すことのできない盛りだくさんな内容です。
    和のうつわのもつ醍醐味を存分に堪能していただけると幸いです。




    志野茶碗
    所蔵備考所収鑑賞履歴
    卯花墻三井記念美術館銘は片桐石州とされる。豪商冬木家旧蔵*1,*2*a
    朝萩  *1
    無地志野  *1
    朝陽  *1
    山端根津美術館 *1 *2*a
    志野織部筒  *1
    朝日影香雪美術館 *2
    広沢個人蔵東京赤星家伝来*2
    峯紅葉五島美術館銘は小堀権十郎、四日市九鬼家伝来*2*a


    *1 茶道美術手帳(淡交社)所収
    *2 名品茶碗(世界文化社)所収

    *a 志野と織部 出光美術館
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    季節の茶道具取り合わせ 畠山記念館

    2007-02-05 | 茶道具
    季節の茶道具取り合わせ
    2007年1月9日から3月11日
    前期 2月4日まで、後期2月6日から
    畠山記念館

    「平成19年冬季展 銀器の名工 沢田宗味」に併設して表記が開催されていた。「銀器の名工 沢田宗味」は、個人蔵の銀器を多く展示した展覧会。銀製皆具など、立派な道具から袖香炉のような可愛らしい小品まで38点が展示されていた。銀器は初めて。

    さて、館蔵品の茶道具。
  • 堺色紙 伝藤原公任筆; 「はるくれはや とにまつくさく むめの花 君かちとせの かさしとそなる」(古今和歌集 巻七雅歌 352 紀貫之) 薄藍紙の漉紙に銀泥で鳥、草の下絵を施した料紙。「むめの花 は梅の花」。早春に相応しい掛け物。
  • 梅画自画賛 千宗旦筆
  • 竹鶏図 松花堂昭乗筆 井上世外旧蔵品
  • 雪中竹林図 久隅守景筆;これは優品。余白で雪深い様子が表されている軸。
  • 十二ヶ月花鳥図 酒井抱一筆 水野家伝来;
    ここのまでが掛け物。初めの4点は前期のみの展示。

  • 割高台茶碗 李朝時代 古田織部所持;割高台が力強い.
  • 古瀬戸肩衝茶入 銘平野 平野道是所持 稲葉丹波守、冬木喜平次、松平不昧、松井庄三郎、姫路酒井家、益田鈍翁;かなり背の高い紡錘形の肩衝茶入れ。
  • 古銅花入 杵の折 松平周防守所持

  • 赤楽茶碗 銘李白 本阿弥光悦作
  • 祥瑞胴紐内兀茶碗 明時代
  • 独楽棗 江戸時代
  • 豆彩騎馬人物文茶器 清時代
  • 黒漆茶桶形水指 江戸時代
  • 芦屋松竹流水文真形釜 桃山時代
    など。
    (4日)
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    秋季展 中国宋元画の精華 併設 茶道具取り合せ展

    2006-12-14 | 茶道具
    秋季展 中国宋元画の精華 併設 茶道具取り合せ展
    併設 茶道具取り合せ展
    2006年10月3日~12月10日
    畠山記念館

    さてすでに終了してしまったのですが、併設の茶道具取り合せ展。

  • 御所丸茶碗 銘 堅田 小堀遠州箱書 益田鈍翁旧蔵;楕円形に歪んだ黒刷毛茶碗。近江八景の堅田の落雁に見立てた銘とのこと。
  • 古瀬戸肩衝茶入 銘 円乗坊 円乗坊宗円所持 雲州松平家伝来; 京都本能寺の僧で利休の女婿である円乗坊宗円が所持していた。本能寺の変でこの茶入れも罹災、宗円が焼け跡から拾った後、肌身離さず携行したいう逸話がある。本能寺の変を経た茶入れが目の前にあるというととても不思議な気持ちになります。

    このほかに目に付いたのは青磁
  • 青磁浮牡丹文瓢形花入 紀州徳川家伝来 南宋時代から元時代
  • 青磁つば付花入 南宋時代
  • 青磁鳳凰耳花入 越前土井家伝来 南宋時代;これが何と東福門院からの下賜品との箱書。この箱書きが事実とすると、表千家のホームページよれば「千聲」は徳川家から東福門院の入内にともない、天皇家へ、そして近衛家へと伝わった品。「萬聲」も和泉市久保惣記念美術館のホームページ寄れば、家光から東福門院に伝わったという。そうすると、徳川家にいくつの青磁鳳凰耳花入があって、東福門院はいくつ所持していたのでしょうか?何故東福門院はこんなに所持したのでしょうか?
  • 青磁桃香合 銘 三千歳 明時代;青磁桃は、形物香合相撲(1855)で西前頭筆頭。
  • 青磁一葉香合 団家旧蔵 明時代
  • 青磁袋鼠香合 明時代 
  • 青磁香炉 銘 浅間 井上世外旧蔵 明時代
  • 青磁香炉 銘 雨星 秋元子爵家伝来 明時代
  • 青磁一閑人酒呑 小堀遠州箱書 若州酒井家伝来 明時代
  • 青磁桶側入子酒呑 明時代
  • 青磁縞鉢 南宋時代
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    館蔵 茶道具取合せ展 五島美術館

    2006-12-10 | 茶道具
    館蔵 茶道具取合せ展
    2006年12月9日-2007年2月12日(12月25日から1月5日 休館)
    五島美術館

    昨年(記録はこちら)に引き続き表記にいってきました。
    茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型にしつらえという点、昨年は初めてで何のことかよく判らず鑑賞していましたが、床の間の枠がしつらえてあるということでした。また、昨年に引き続き、名物裂手鑑、茶室起絵図が展示されています。お茶を嗜まないので茶室についてはまだ興味はない。

    展示替は少なく
  • 松籟切 伝藤原行成筆(1/14まで)
  • 虎関師練墨跡 「松関」二大字(1/16-2/12)
  • 元日御製和歌 後陽成天皇筆(1/14まで)
  • 雪松図 尾形乾山筆(1/16-2/12)
    だけです。

    概要: 展示室に当館の茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型をしつらえ、館蔵の茶道具のなかから名品を選び取合せ展示する。今回は、新年を迎えるに相応しい目出度い趣向の茶道具を中心とした初釜の取合せ(濃茶・薄茶の二席分)を選び展観する。この他に茶室の床の間を飾る唐物(中国製)や和物(日本製)の「花生」、武野紹鴎や千利休など茶匠の消息(手紙)、懐石道具など約70点の展示。


    さて、
    花生
  • 胡銅大曾呂利花生 柳営御物 南宋時代・13世紀;「曽呂利」とは、首が細長く文様の無い胡銅(銅、錫、鉛の合金)製の花生をいう。古くから最も尊重され、特に桃山時代に人気があった種類の花生で、均整のとれた姿が美しい名品。とのこと。鶴のように長い細首の優品。

    青磁の花生が何点か展示されています。
  • 砧青磁筍花生 南宋時代
  • 砧青磁鰐細口花生 南宋から元時代;仏具の浄瓶の流れを汲む。
  • 重文 砧青磁鳳凰耳花生 南宋時代;益田家旧蔵(こちらは濃茶の床の間のしつらえに飾ってあります。青磁の美―秘色の探求でも拝見しています。)
  • 青磁菊蕪花生 鴻池家伝来 清時代;菊蕪の造形は、洒落ています。

  • 赤絵金襴手角瓢花生 明時代 16世紀(こちらは薄茶の床の間のしつらえに飾ってあります。)
  • 茶葉末下蕪形花生 大清乾隆年製銘;茶葉のいろは、それほど鮮やかではありません。

  • 黄瀬戸立鼓花生 銘 ひろい子 桃山時代;形姿は鼓(能楽や歌舞伎で用いる楽器)の形から得たもの。千利休旧蔵、北三井家所持。同種の花生としては、銘「旅枕」(重要文化財 大阪・和泉市久保惣記念美術館所蔵、千利休旧蔵)として著名だが、本品はそれより時代が降る。とのこと。
  • 古備前耳付花生 益田鈍翁旧蔵 桃山時代;
  • 古伊賀耳付花生 桃山時代(ただ年代上の考察は研究課題とのこと)

    消息
     秀吉のおちゃちゃ宛て書状、武野紹鴎 句入文、千利休 横雲の文、小掘遠州など茶匠の消息が展示されていました。

    懐石道具
  • 古備前平鉢 桃山時代・16世紀、戸田家、藤田家旧蔵
  • 鼠志野鉢 桃山時代・16-17世紀
  • 織部舟形手鉢 桃山時代・17世紀
  • 砧青磁鉢 大谷光瑞旧蔵 南宋から元時代
  • 祥瑞捻徳利 明時代・17世紀
  • 絵粉引徳利 朝鮮(李朝)時代・17世紀
  • 色絵和蘭陀盃 17世紀
  • 絵唐津四方筒向付 桃山時代・16世紀;出光美術館で唐津の優品を鑑賞して以来、絵唐津にすこしは目にいくようになりました。
  • 乾山色絵菊文向付 江戸時代・18世紀
    など。昨年と重なる品も多かった。



    以下、濃茶と薄茶の茶席風に展示されていた茶道具を。(花生は上述)


  • 松籟切 伝藤原行成筆 12世紀前半
    讃岐守顕季家歌合(日文研の和歌DB))断簡。承暦元年(1077)藤原顕季(あきすえ)(1055-1123)家で開催された「十番歌合」の巻子本の断簡。白胡粉地に鉄線唐草文様雲母刷した和製唐紙。1951年に断簡時の所有者三井高弘の号松籟に因む。断簡は、一番から三番で一幅。四・五番で一幅(サンリツ服部美術館)。六・七番で一幅。八番(MOA美術館)。九番(五島美術館)。十番が一幅。

    九番 祝

    ときはやまいはねにおふるまつはらはか
    すにきみかちよをこそしれ

    きみかよはかみかきやまのさかきはのよろ
    つよふともいろはかはらし

  • 元日御製和歌 後陽成天皇筆

    香合
  • 呉須赤絵四方入角香合 明時代、17世紀
  • 祥瑞宝珠香合 明時代、17世紀


  • 芦屋真形霰地紋釜 室町時代 15世紀;千利休愛用の釜、雲州松平家、姫路酒井家、高梨家伝来。筑前国芦屋の製品。永年の使用から底が痛み下半分を失ったため、尾垂れ(おだれ、側面が不規則に垂れた様子)になっている。
  • 芦屋高砂地紋釜 江戸時代 17世紀;鴻池善五郎-錺屋六兵衛-戸田露吟-井上家。鴻池家から益田鈍翁に伝わったもうひとつの高砂地紋釜があり江戸時代中期には二つ揃えであったという。高砂の場面と鶴、松竹と「我見ても久しくなりぬ住吉のきしの姫松幾代へぬらん」(古今和歌集巻十七雑歌上905番)の和歌を鋳出す。もうひとつはどなたが所蔵されているのでしょうか?

    炉縁
  • 高台寺蒔絵炉縁 桃山時代、16世紀
  • 寸松庵炉縁 沢栗 久以作 江戸時代17世紀; 寸松庵伝来の3点の炉縁の一つだそうだ。

    水指
  • 祥瑞蜜柑形水指 明時代 16世紀
  • のんこう桐紋水指; 外側は土膚に横に細かい縞の模様、箆で桐の模様を描く。やさしい風合い。 

    茶入
  • 瀬戸瓢形茶入 銘 春慶瓢箪 中興名物 桃山時代・17世紀;春慶とは瀬戸の名工加藤四郎左衛門景正のこと。轆轤水挽き成形は、極めて丁寧。腰部まで鉄釉が掛かり、一部に黄褐色のなだれが残る。小堀遠州(1579―1647)所持の後、堀田正盛、土屋政直、若狭(福井県)小浜の酒井家に伝わる。中興名物。  昨年も展示されていたようですが、新鮮に拝見。
  • 亀甲蒔絵棗 室町-桃山時代・16世紀; 蓋の甲が平たく、肩の張った形は武野紹鴎(1502―55)の好みとされる。今に伝わる蒔絵棗としては最も古い作例。梨子地の中に花菱亀甲文を配する。表千家九世了々斎宗左(1775―1825)が紹鴎所持と極める。

    茶碗
  • 重要美術品 伯庵茶碗 銘 朽木 江戸時代・17世紀; 徳川将軍家に仕えた医者曾谷伯庵(1569-1630)が、「本歌伯庵」茶碗を所持していたことからの名称。製産地を瀬戸(愛知県)と伝えるが、胎土が異なり、瀬戸窯にはない高台削りの手法がある。銘は、朽木稙昌(1643-1714)の所有にちなむ。 昨年も展示されていたようですが、これも新鮮に拝見しました。
  • のんこう黒楽茶碗 銘 三番叟 江戸時代・17世紀 ;春の優品展にも出展されていました。のんこうらしく釉薬がかかり美しく光る。
  • 御本雲鶴筒茶碗 朝鮮(李朝)時代・17世紀;飛雲と舞鶴の象嵌のある青磁茶碗。江戸初期の日本からの注文品。対馬藩運営による釜山窯で焼かれた。赭黒い素地に青磁釉がかかり素朴な象眼模様が施されている。 秋の優品展に展示されていたようですが、新鮮に拝見。
  • 志野亀甲絵茶碗 銘 ときわ 桃山時代

    茶杓
  • 本阿弥空中歌銘作茶杓
  • 本阿弥光悦作茶杓 共筒 銘 暁雪 江戸時代・17世紀

    建水
  • 砂張輪花口建水 鴻池家伝来 16世紀;輪花口造りは竹節繋ぎという文様ということ。モダンなデザインの優品。数学的な美しい曲線にみとれました。
  • 春慶胴〆建水 桃山時代 16世紀



    五島美術館の茶道具は、この一年でかなりのところは拝見したようですが、まだまだ新鮮に拝見している。次回も楽しめそうです。

  • 館蔵 茶道具取合せ展
    (2005年12月3日から2006年2月12日)
     織部・遠州それぞれの好みの茶道具、茶杓、千利休などと懐石道具
  • 館蔵 春の優品展 水墨画・古筆と陶芸(2006年4月1日から5月7日)
     茶碗(黄瀬戸、志野茶碗、楽茶碗)、水指
  • 館蔵 秋の優品展(茶道具 李朝の陶芸)(2006年9月2日から10月22日)
     李朝の陶芸
  • 光悦と樂道入 二つの樂茶碗 ふたりの交友 樂美術館(2006年9月12日から11月26日)
     光悦 黒樂茶碗 七里
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    赤と黒の芸術 楽茶碗  三井記念美術館

    2006-09-16 | 茶道具
    開館一周年記念特別展
    赤と黒の芸術 楽茶碗
    2006年9月16日から11月12日
    三井記念美術館

    素晴らしい樂茶碗展です。

    長次郎の茶碗が13点のと三代道入(ノンコウ)の茶碗が8点も出展されています。さらに本展では樂家初代長次郎から現代の十五代樂吉左衞門氏までの作品のなかから各代の代表作が一堂に紹介されています。さらに、樂家にかかわる文書類も出展されています。

    楽茶碗

    淡交社

    このアイテムの詳細を見る


    楽茶碗を読んだ上で鑑賞に臨みます。

    さて、展示室1,2は、長次郎のみです。
    小振りの手に納まるような長次郎作。利休の侘び茶の精神を実現するために、丹念に無駄をそぎ、負の方向への徹底した意識化。でも、何も飾り気がないようで、造形にこだわっています。無一物の徹底したそぎ落とした造形と、俊寛の意識的な造形の間をいったりきたりできるなんて、なんと素晴らしい展覧会でしょう。当初の予定ではなかった大黒まで特別展示されています。(パンフレットにも掲載されていません)

    長次郎 
    赤楽茶碗 銘 無一物 長次郎作 (重文 頴川美術館蔵)
    赤楽茶碗 銘 一文字 長次郎作
    黒楽茶碗 銘 ムキ栗 長次郎作
    黒楽茶碗 銘 大黒  長次郎作 (長次郎七種 重文)(9/16-10/1, 10/21-11/12展示予定)
    黒楽茶碗 銘 あやめ 長次郎作 (MOA美術館)
    黒楽茶碗 銘 まきわら 長次郎作
    黒楽茶碗 銘 利休 長次郎作
    黒楽茶碗 銘 小手巻 長次郎作
    黒楽茶碗 銘 つつみ柿  長次郎作
    黒楽茶碗 銘 俊寛  長次郎作 (重文、三井記念美術館)
    黒楽筒茶碗 銘 杵ヲレ 長次郎作 (樂美術館)
    黒楽茶碗 銘 蝸牛 長次郎作
    黒楽茶碗 銘 面影  長次郎作 (樂美術館)

    二彩獅子像 長次郎作 樂美術館蔵
    三彩瓜文平鉢 長次郎作 東京国立博物館(9/16-10/1展示) 

    展示室3は、宗慶、二代常慶、三代道入

    文献、参考出品として、
  • 「宗入文書」三通(1688) 宗入筆 樂家の系図
  • 消息 吉左宛 本阿弥光悦筆
  • 聚楽第図屏風 (三井記念美術館)
    が並ぶ。

    光悦は、1点。
    黒楽茶碗 銘 村雨(樂美術館)

    三代道入
    道入の景色に釉で変化をつけ、大振り、しかし薄く削られた茶碗は、絢爛。

    黒楽茶碗 銘 升 三代道入 (ノンコウ七種)
    黒楽茶碗 銘 あら磯 三代道入
    黒楽茶碗 銘 此の花 三代道入 (ノンコウ加賀七種 出光美術館)(9/16-10/29)
    黒楽茶碗 銘 山ノ端 三代道入
    赤楽茶碗 銘 鵺 三代道入 (ノンコウ七種 三井記念美術館)
    赤楽茶碗 銘 寒菊 三代道入
    赤楽茶碗 銘 僧正 三代道入 (樂美術館)
    白楽葵紋茶碗 三代道入 (不審菴)
    赤樂葵紋茶入 三代道入(樂美術館)
    緑釉鶴首花入 三代道入(樂美術館)
    赤楽兎香合 三代道入 (樂美術館)
    飴釉葛屋香合 三代道入 (樂美術館)
    緑釉割山椒向付 三代道入 (北村美術館)

    四代一入
    長次郎の小振りの作風に回帰。しかし釉薬は厚い。

    黒楽茶碗 銘 金毛
    黒楽茶碗 銘 浪まくら
    黒楽樵文茶碗 銘 山里
    赤楽茶碗 銘 山里

    五代宗入
    釉薬がこつごつしている

    黒楽茶碗 銘 亀毛
    黒楽茶碗 銘 糸遊
    赤楽茶碗 銘 独楽
    赤楽茶碗 銘 天晴




    当代、十五代吉左衛門氏の茶碗は、お茶を嗜むというよりは、花入れのように鑑賞したほうが素晴らしいかも。ゴツゴツシタ質感の「焼き貫水指(1997)」は、見事。

    初日なので、ゆっくりと鑑賞できました。茶碗に興味のない方にも、是非お勧め。

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    館蔵 秋の優品展(茶道具 李朝の陶芸)

    2006-09-12 | 茶道具
    館蔵 秋の優品展
    絵画・墨跡と李朝の陶芸
    2006年9月2日から10月22日
    五島美術館

    李朝の陶芸
    井戸茶碗が何点か展示されていました。どれも同じようですが、やはり違います。勉強になりました。
  • 粉引酢次茶碗 銘 呉竹 朝鮮(李朝)時代・15-16世紀;酢次を茶碗にするとは。
    片口の食器を茶碗に転用したもの。「粉引」(別名「粉吹」)とは、鉄分の強い黒い土のため、化粧掛けした白泥釉が粉を吹いたように見えるところからの名称。「酢次」とは、本来の用途「酢を次ぐ容器」の意味。内箱蓋(表)の金泥字「呉竹」は、近代の数寄者益田鈍翁(1847―1938)の筆。

    井戸茶碗が並ぶ。井戸茶碗は、どれも同じようにしか見えませんが、高台ちかくの梅花皮(かいらぎ)が鑑賞ポイントとのこと。
  • 重要美術品 井戸茶碗 銘 美濃 朝鮮(李朝)時代・16世紀(9/2-9/24)
    酒井守雅、不昧公伝来。梅花皮(かいらぎ)が鮮やか。
    井戸茶碗の中でも十指に数える名碗。高台近くの梅花皮(釉薬のちぢれ)が鮮やか。銘は、かつての所有者が美濃守だったからか。姫路藩主酒井宗雅(1755―90)、雲州の松江藩主松平不昧(1751―1818)が所持した伝来をもつ。


  • 井戸茶碗 銘 九重;松浦家伝来
  • 井戸茶碗 銘 八文字屋;京都の豪商八文字屋所持、鴻池家伝来;大振りで堂々としている。金継ぎあり。
  • 井戸茶碗 銘 いは本;別名 東横井戸。東横デパートにお茶席を1955年に設けたそうで。

  • 熊川茶碗 銘 千歳 朝鮮(李朝)時代・16世紀(9/2-9/24);外箱蓋書付けは不昧公
    朝鮮半島の対日貿易港として著名な熊川からの名称。銘は、鎌倉時代の歌人慈円(1155―1225)の和歌「雲の上によはひゆづると鳴鳥は君が千年を空にしれとや」(『拾玉集』第三・3767番)から。外箱蓋(表)の書付は、雲州松江藩主松平不昧(1751―1818)による。


  • 柿の蔕茶碗 銘 青柿 朝鮮(李朝)時代・17世紀 ;団琢磨所持;何故柿の蔕茶碗と呼ぶか。たしかに柿の蔕です。
    伏せた形や釉調から「柿の蔕」と呼ぶ。薄くかけた釉を通して鉄分の多い土味を見せる。内箱蓋(裏)書付の「あをがきの しぶしぶながらおちゃうけに あまきはやがて しものころかな」は、小堀権十郎(1625―94)の筆。団琢磨(1853―1932)の旧蔵品。


  • 斗々屋茶碗 銘 朝霧
  • 釘彫伊羅保茶碗 銘 苔清水;触ると確かに手がいらいらしそうです。
  • 御本雲鶴筒茶碗

    いくつか瓶、壺が。
  • 粉青白地掻落牡丹文扁壺 朝鮮(李朝)時代・15世紀 ;
    ユーモラスで素朴な味わいのある大柄な牡丹文を彫り出す。側面にも花文などを空間いっぱいに描く。扁平な形姿から、茶人が花生として愛好した。日本では「彫三島」、韓国では粉粧灰青沙器と称する種類。


  • 青磁鉄地白堆草花文梅瓶 高麗時代・12世紀前半;黒高麗 鉄泥を塗り青磁釉をかけた焼き物。
  • 青磁猿型小壺(水滴)高麗時代・12世紀前半;小倉コレクションで有名な小倉武之助旧蔵
  • 粉青象嵌文鉢 朝鮮李朝時代;15-16世紀;小倉コレクションで有名な小倉武之助旧蔵;外側はハケメ、内側は象嵌文。
  • 白磁辰砂蓮花文壺;辰砂とは紅色の釉
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    伝来の茶道具展 相国寺承天閣美術館

    2006-08-19 | 茶道具
    開基足利義満公600年御忌記念 改築事業完成オープン
    伝来の茶道具展
    2006年7月15日から2007年4月15日まで
    相国寺承天閣美術館

    開基足利義満公の600年御忌の記念事業として増改築に入り、昨年より一年休館していた承天閣美術館が、新館展示室や新収蔵庫の建設に加え、従来の展示室の内装も一新。今回は既存展示室を先行オープン。

    相国寺に伝来してきた茶道具をはじめとする名品の数々に加え、重要文化財や、旧萬野美術館から寄贈された作品など、当館初公開となる作品も含めて多数展示、新たな門出を記念する展覧会。江戸前期、金森宗和によって作られ、明治期に復元された鹿苑寺(金閣寺)内の茶室「夕佳亭」を、このたび展示室内にも再現。


    とはいうものの、初めて本美術館を訪れます。お香のいいにおいがします。重文とか重美とかは少ないのですが、一品一品が東京とは違い、室町文化、桃山文化の伝統真髄を感じさせる京都の五山ならでは展示でした。なお紙で頂いた目録を以下記録しましたが、一部追加はありましたし、展示順と異なっていたので、本当に展示されていたかは自信はありませんのであしからず。

    まずは、茶道具
  • 竹茶杓 千利休作共筒 画像と説明正月に五島美術館でも千利休作の茶杓を拝見してはいる。茶杓まで鑑賞しだすと始まらないのだが。
  • 竹茶杓 蒲生氏郷作 山田宗へん(行人偏に扁)書 桃山;

  • 天青釉双耳香炉 汝窯 宋;形押しの虎の顔がついている。
    青磁の茶碗が2点見入ってしまいました。(この2点はリストに掲載されていなかった)
  • 砧青磁篠木茶碗 宋;二十本の蓮木文が刻まれる。雨過天晴を呈し口金の金の覆輪と相俟って碧天の美しさ
  • 砧青磁平茶碗 銘雨龍 宋 自片桐石州 贈鳳林承章(相国寺第95世);釉中に釉だまりがあり、口辺から高台にかけて一本の貫入が橋って金つくろがある。
  • 天龍寺青磁管耳花入 元;相国寺で天龍寺青磁を見ると納得してしまいます。 

  • 錐呉器茶碗 銘さらし 李朝
  • 青井戸茶碗 銘嶺松 李朝
  • 高麗茶碗 銘柿の蔕 藤村庸軒所持 李朝
  • 御本茶碗 銘春錦 李朝;

  • 唐津奥高麗茶碗 銘関戸の宿 桃山;
  • 絵唐津茶碗 銘丸米 桃山;
  • 黒樂茶碗 長次郎造 宗旦・直斎箱書き 桃山;
  • 絵志野茶碗 銘桂川 桃山;
  • 古瀬戸褐釉割高台茶碗 桃山;

  • 古染付葡萄棚水指 明;
  • 伊賀耳付末広形水指 桃山;

  • 明初染付山水人物大壺 明;
  • 百合口花入 定窯 宋;

  • 蓮弁文碗 鎌倉時代;画像と説明;リストにはないが多分展示されていた。(鎌倉時代の茶碗が1点でていた記憶があり凄いとおもった覚えが。)

    香合はすばらしかった。HPでかなりの香合が解説してにも関わらず、今回のものと同一のものは1つもありません。それだけ香合は多くのものを所蔵しているようだ。
  • 青磁犬鷹香合 明;型物香合番付 東二段目四位
  • 交趾蟹香合 明;
  • 阿蘭陀染付有馬筆香合 18世紀;
  • 堆黒雁香合 明;
  • 堆朱倶利龍字香合 明;
  • 堆黒牡丹香合 明;
  • 祥瑞蜜柑香合 明;
  • 青貝琉球漆龍香合 江戸;
  • 夕顔蒔絵粉溜錫縁香合 室町;

    このほか(?)に天目茶碗(?)を含めた台子の茶道具一式が飾られていた。


  • 蘭渓道隆墨跡「宋元」 鎌倉時代;すばらしい。印象的。宋元への想いが伝わってくる。
  • 一休宗純墨跡 大燈佛法 室町;
  • 春屋宋園墨跡 體中玄 江戸;
  • 舞布袋図 沢庵宗彭 松花堂相乗筆 江戸;
    など

    書状など
  • 千利休消息 桑山式部大輔宛 桃山
  • 千道安消息 桃山;
  • 千少庵消息 九月十九日付 桃山;
  • 柳に燕図 千宗旦画賛 江戸; 

    絵画
  • 重美 春屋妙葩頂相 自賛 南北朝;画像と説明
  • 重美 夢窓疎石頂相 我無影像 南北朝;あまりに状態がよく感激。インターネットの画像とは違い実物はすばらしい。
  • 重文 毘沙門天像 雪舟等揚筆 室町;
  • 観音猿猴図 狩野探幽筆、狩野尚信筆、狩野安信筆 三幅 江戸;
  • 江天暮雪図 牧谿筆 東山御物;柴田勝家、秀吉、家康、紀伊徳川家伝来;
  • 重文 陸信忠筆「十六羅漢図」 元時代
  • 敲氷煮茗図 円山応挙筆 1780年 江戸;「開元天宝遺事」にみえる故事にちなむ。
  • 朝顔に狗子図 円山応端筆 江戸;
  • 雲龍図 能阿弥筆 室町;銀閣寺伝来 明治初期に海外に流出したが里帰り。

    「夕佳亭」再現
    金閣寺に所在の茶室。95世鳳林承章が金森宗和に作らせたと伝えられる。上段の間、鳳棲楼は1661年9月28日後水尾院行幸にあたって増築。茶会記は、金森宗和でまとめられていた。

    床  金森宗和消息
    香合 夕佳亭古材 擬宝珠
    花入 竹尺八 金森宗和作
    釜  「古芦屋松竹梅地紋釜」 金森宗和所持 覚々斎箱書 桃山時代;古芦屋釜というのは、はじめて拝見。
    風炉 唐物写八角形 定林造
    敷板 重文 相国寺法堂古材
    水指 白釉水指 野々村仁清造
    茶入 古瀬戸面取 金森宗和箱
    茶碗 色絵桐波文茶碗 金森宗和箱
    茶杓 金森宗和共筒ノムラ殿 休夢宛
    建水 古銅成化年製
    蓋置 金森宗和作 寄竹

    玉座の間
    煙草盆 鉄刀木
    火入 染付松竹梅紋
    (草冠に良)入 蒟醤
    煙管 吸江斎好
    (12日)
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    徳川美術館 常設展

    2006-08-14 | 茶道具
    徳川美術館 常設展
    2006年7月25日から9月24日(全期)
    前期(8/22まで)のみの展示あり。

    徳川美術館は侯爵徳川義親の寄附によって昭和6年に創立された財団法人徳川黎明会が運営している私立の美術館で、昭和10年(1935)開館。尾張徳川家の歴代相伝の重宝、いわゆる「大名道具」を収め、しかもその後、徳川宗家(将軍家)や紀州徳川家、一橋徳川家、蜂須賀家などの大大名の売立重宝の一部も購入し、岡谷家をはじめいくつかの篤志家の寄贈品をも収めてさらに充実し現在に至っている。国宝9件、重要文化財57件、重要美術品46件 など一万数千件。

    今回初めて、徳川美術館を訪れ、その一端に触れることが出来た。東京の展覧会とは違った、当時を再現した「大名道具とは何か」について膚で感じられた。

    第一展示室 武家のシンボル 武具・刀剣
    10 白絽地葵紋付波文陣羽織 徳川慶勝(尾張家14代)所用 江戸 19世紀; 陣羽織とはこのようなものかと。波文がおしゃれだ。
    19 唐銅飛龍形百目大筒 江戸 17世紀;大筒にわざわざ飛龍形の意匠をつけて,龍の口が銃口に。威嚇です。
    三所物(みところもの)三所物とは、小刀柄(こづか)、笄(こうがい)、目貫三点の総称。刀剣装具には、厳しい格式があり、小刀柄、笄をつける身分の武士は上級のもの。後藤家で製作された金具を使うのが慣例。後藤家は足利将軍家から徳川家に代々仕えた。とのこと。

    刀はさっぱり判らないのですが、鞘以外にも、細かい細工があることを勉強。

    第二展示室 大名の数寄 茶の湯
    名古屋城二の丸御殿にあった猿面茶室が再現されて、茶席が設けられ展示されている。
    1 山水図 伝周文筆 万里集九賛 岡谷家寄贈 室町 15世紀
    3 人物文染付花生(高砂手) 明 16-17世紀
    4 芦屋網代釜 江戸 17世紀
    5 南蛮砂張水指 岡谷家寄贈 明 16世紀
    6 瀬戸青柳手茶入 桃山 16世紀
    7 斗々屋茶碗 銘 螢 岡谷家寄贈 朝鮮王朝 16世紀
    9 竹茶杓 銘 山彦 織田貞置作 江戸 17世紀

    雰囲気はよくわかるのですが、個々の茶道具は、すこし距離が遠くてよくは鑑賞できません。「高砂手」とは、頸に二人の唐人、胴に松を描いた花瓶。

  • 19 珠光青磁茶碗 銘 荷葉 元-明 14世紀;珠光青磁茶碗については、先日出光美術館で拝見しました。こちらは釉薬は黄味をおび、猫掻手文様。
  • 20 唐物文茄茶入 銘 玉すだれ 元-明 14-15世紀; 文茄とは文琳(林檎)と茄子の中間型の意。黄釉の上に紫釉で文様。小堀宗中(1786-1867)箱書き。
  • 21 祥瑞阿古陀形薄茶器 明 17世紀;阿古陀とは南瓜のこと。青の発色がいい。

    第三展示室 大名の室礼 書院造
    押板飾り
    1 太公望・墨竹図 徳川光友(尾張家2代)筆 三幅対 江戸 17世紀
    4 菊花文青磁三ツ足香炉 元 14世紀
    5 青磁竹節中蕪形花生 元-明 14-15世紀
    6 梔子文堆朱香合 彫銘 「張成造」 明 16世紀
    8 火道具 江戸 19世紀
    9 饕餮文古銅分銅形花生 一対 明 15-16世紀

    三具足飾り押板(近世以降の床の間)の最も基本的な装飾形式が三具足飾り(みつぐそくかざり)。最も格式の高い室内装飾の形式。三具足とは花瓶、燭台、香炉(中央)。壁面に三幅対または五幅対。押板には、中尊と呼ばれる香炉を中心に、向かって右に燭台、左に花瓶、さらに左右に一対の脇花瓶を置く。

    中央の青磁の香炉と花生、脇の饕餮文古銅分銅形花生が取り合わせが武家らしい。

    違棚飾り
    10 古瀬戸肩衝茶入 銘 本阿弥 名物 室町 15-16世紀
    11 建盞天目茶碗 木下家寄贈 南宋 13世紀
    12 孔雀羽蒔絵沈箱 江戸 17世紀
    13 古銅鶏香炉 江戸 17-18世紀
    14 花鳥人物螺鈿食籠 明 16-17世紀
    天目茶碗も茶入も違い棚の上の方に飾られていてよく拝見できず残念。

    鎖の間
    上段の間
    4 鉄切合風炉・釜 辻与次郎作 桃山 16世紀
    5 唐銅花鳥文鍍金水指 明 14-15世紀
    6 金紫銅穗屋香炉蓋置 岡谷家寄贈 江戸 18世紀
    7 唐銅銀象嵌建水 江戸 18世紀
    8 砂張砧形杓立 明 16-17世紀
    9 唐物文琳茶入 明 15世紀
    10 上建盞天目茶碗 南宋 12-13世紀

    台子(だいす)の御点前の茶道具。黒を貴重とした侘び茶以前の茶道の形式。こちらも天目茶碗は見込みは拝見できず。

    次の間飾り
    12 七字一行書「長松下当有清風」 徳川斉温(尾張家11代)筆 江戸 19世紀
    14 七宝象耳花生 明 16-17世紀
    16 古芦屋八景釜 室町 16世紀
    17 唐物自在釜掛 明 16世紀
    18 萩茶碗 江戸 17世紀
    20 黒塗利休形大棗 岡谷家寄贈 江戸 17世紀

    こちらの唐物自在釜掛は、鎖の間に相応しい、細工の立派な作品。

    第四展示室 武家の式楽 能
    名古屋城二の丸御殿内の能舞台の再現がされていた。

    第五展示室 大名の雅 奥道具
    7 初音蒔絵耳盥 霊仙院千代姫(尾張家2代光友夫人)所用 国宝 江戸 寛永16年<1639>
    「初音の調度」は三代将軍家光の娘千代姫(ちよひめ)が寛永16年(1639)数え年三歳で二代光友(みつとも)に嫁入りした時に携えた婚礼調度で、附属の文書類とあわせて75件が現存している。
     意匠は『源氏物語』初音(はつね)の帖「年月を松にひかれてふる人に今日鶯の初音きかせよ」の歌に因み、歌文字の一部分が金銀の彫金で絵に隠れるように散らされる「葦手(あしで)」が用いられている。梨子地(なしじ)に多様な技巧を駆使した蒔絵技法と王朝美の伝統意匠とにより、近世蒔絵および近世大名婚礼調度の最高峰といわれる。幕府の御用蒔絵師の幸阿弥家(こうあみけ)の記録によると、同家の十代長重が製作に当り、千代姫誕生の寛永14年(1637)に早くも注文を受け製作を開始した。


    14 合貝 聖聡院従姫(尾張家9代宗睦3男治行夫人)所用 江戸 18世紀
    15 扇面散蒔絵貝桶 江戸 19世紀

    雅な婚礼調度です。
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    「茶道入門 ― 描かれた茶の風景 ―」@茶道資料館

    2006-08-13 | 茶道具
    平成18年企画展 「茶道入門 ― 描かれた茶の風景 ―」
    平成18年5月10日から10月1日
    茶道資料館(京都 裏千家センター)

    第一陳列室

  • 消息 二代少庵宗淳筆
  • 信楽肩衝茶入 近藤其日庵旧蔵(桃山);信楽の茶入は初めて拝見しました。
  • 北野大茶湯図 浮田一(うきたいっけい;けいは草かんむりに恵の旧字)(1795-1859)筆 江戸時代;浮田一は、土佐光孚・田中訥言に学び、大和絵の復興につとめた。同時に謹皇討幕の志士。宇喜多秀家の後裔。豊臣を称したらしく、天正十五(1587)年10月に豊臣秀吉が北野天満宮で開催した北野の大茶会の様子を描いたのでしょう。北野天満宮のなかの彼方此方で野点をしている様子が描かれています。「貴賎を撰ばず、数寄つかまつり候ほどの者まかり出で候」とのことですが、本当に北野の大茶会はこんな様子だったのでしょうか?いずれにせよ、楽しい絵です。
    この図は、もしかすると有名な絵で、北野天満宮所蔵のものかも知れません。(こちらのHPに図版があります。)なお、浮田一の絵で有名なものは、京都国立博物館には米艦浦賀渡来図 と、白鶴美術館には、浮田一「賀茂競馬図」があるようだ。

  • 加茂競馬図絵巻 江戸;上賀茂神社の加茂競馬の様子を描いた絵巻だが、こちらも野点を所々でしている様子が描かれているということで展示されていた。大倉集古館「国宝「随身庭騎絵巻」と男の美術」にて、会期の関係で久隅守景「加茂競馬図」を見逃したこともあり、なるほど、加茂競馬図とはこんな風なのかと判り楽しい。多くの作品があるようなので、今後注意してみてみたい。

  • 邸内遊楽図屏風 江戸:こちらも邸内での遊楽のひとつとして、茶の湯が描かれている。踊る人や、囲碁をする人、腕相撲、そのほかにバックギャモンのようなゲームが描かれていたが、何でしょうか?

    第二陳列室
    待合、懐石、炭手前、席入等、濃茶、薄茶の順に茶道具が展示されています。それぞれ品よく並んでいますが、目に付いたのは、
    懐石に展示されていた「秀衡小吸物椀 江戸」は煌びやかな文様。「爪紅糸目足付縁高 近衛忠房好 八代中村宗哲作(1828-1884)」は、品のよい糸目文様です。薄茶には「赤楽平茶碗 銘さざ波 楽左入作(1685-1739)」が展示されていました。

    最後にお茶をいただきました。

    鼓月のお菓子。辻村史郎氏(最近は細川護熙元首相の陶芸の師として有名)の織部のお茶碗で。軽めのお茶碗です。軸は、裏千家の先代の家元の千鵬雲斎の「滝 直下一千丈」(滝の字の一部を長く「し」のように伸ばし、さらに点が水飛沫と、滝のさまを表す)。青磁(京焼き)の花瓶。涼しげで夏らしい。青磁は夏向きの茶道具なのですね。

    (12日)
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    井戸茶碗 銘信長 @畠山記念館

    2006-05-27 | 茶道具
    井戸茶碗 銘信長 @畠山記念館

    平成18年春季展I
    -かがやく漆-
    蒔絵の美
    畠山記念館
    2006年4月1日から5月28日

    畠山記念館で、重要美術品の井戸茶碗 銘信長を拝見。
    外箱蓋裏貼紙書は、紹淪。

    信長井戸由来記
    織田内府信長公御物也、
    京極殿ニ傳リ太閤殿下御所持、
    其後古田織部正重勝之ヲ拝領、
    以後淀屋个庵ノ重器ナリ
    故有テ我ニ傳フ、子孫永寶ナスベキ也

    流石、信長公、秀吉公と伝わった如何にも武人好みの井戸茶碗。これが井戸茶碗かと納得。明日まで。

    他に茶道具として、
  • 千利休作 茶杓 銘落雲 豊臣秀吉所持 里村紹巴筒書
  • 瀬戸茶入 銘滝浪 小堀遠州・松平不昧箱書
  • 古銅龍耳花入 銘九州 柳営御物 徳川将軍家伝来
    古銅の花入っていつも渋くて結構趣味です。
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