赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

朝鮮半島情勢について コラム(155)

2016-03-13 00:00:00 | 政治見解



コラム(155):朝鮮半島情勢について


北朝鮮の核実験やミサイル発射に対する国際社会の制裁、米韓軍事演習、北朝鮮の反発などの報道を目にします。

そこで、朝鮮半島の本当の現状と望ましい姿を考えてみたいと思います。


北朝鮮は中国を敵視しはじめた

金正恩氏が北朝鮮の最高指導者に就任して以来、中国離れが顕著になっています。就任直後から今日に至るまで粛清された幹部の人数は100名以上にものぼり、そのほとんどが中国とつながっていた人たちです。

そのことを早くから掌握していた中国政府は、抗日勝利70年式典では北朝鮮代表を冷遇し、さらに昨年12月のモランボン楽団の中国公演の際、中国政府は楽団の意向を無視したり粗末な扱いをしました。

それから三週間後の本年1月6日、北朝鮮は核実験を行いました。その本当の狙いは中国に対する北朝鮮の意思表示だったのです。中国が北朝鮮に対しあいまいな態度をとっているのは、実は北朝鮮の核の恫喝に恐怖を感じているからです。


韓国は中国と距離を置き始めた

一方、韓国のパククネ政権は発足当初から、中国との政経協調をはかり、韓国経済を中国に依存し、中国のAIIB構想にも積極的に加担しました。

アメリカは韓国に対し再三警告を発し、さらに迎撃ミサイル・システムTHAADの配備を強く求めました。

また、中国の覇権主義の実態が国際社会から非難されていることや、中国経済の低迷が韓国経済に悪影響を及ぼしはじめたことで、中国依存体制に深刻な懸念が韓国内に広がりました。

実は、昨年12月末の日韓首脳会談での慰安婦問題の合意と、本年1月に発表された日米ミサイル防衛への参加やTHAADの配備決定の背景には、韓国政府の中国との決別という大きな決断があったのです。


このように、北朝鮮、韓国ともすでに昨年の12月の段階で中国に対する姿勢を鮮明にしています。これにより、南北に分断された両国がいずれも中国に対する共通の意識を持ち始めたのです。

したがって、米韓と北朝鮮双方による非難合戦はあくまで表向きのものであって、3月7日から来月末まで行われる米韓軍事演習の仮想敵は北朝鮮ではなく中国なのです。

実際、米韓軍事演習に対し、中国が「重大な懸念を示す」と述べていましたが、さすがに中国も米韓の思惑を見抜いているのです。


朝鮮半島の望ましい姿

国際情勢の変化は一般常識を超えたところで起こります。敵対していた国家同士が、ある日突如として同盟関係に入るということは珍しくありません。戦前には、独ソ不可侵条約締結のニュースに驚いた平沼騏一郎首相が「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」と述べて内閣総辞職に至った事例があります。また、1971年の米中接近は、ニクソン・ショックと言われるほどの衝撃が国際社会に広がり、日本も中国との国交を結び、台湾との関係を断絶した経緯があります。

したがって、中国と手を切り始めた南北朝鮮の統合のきっかけになる可能性も否定できません。

当ブログの信頼する情報筋からは、「北朝鮮は武力を用いて南進する意思はない」との見通しが寄せられています。

朝鮮半島が武力行使なしで平和裏に統一されるなら、これ以上のぞましい姿はありません。

かつての朝鮮戦争のように、民族内の憎しみが増幅され、虐殺や不幸が繰り返されてはなりません。早い時期に、朝鮮半島の平和的統一が実現することを望みます。



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